書籍の紹介をさせて頂きます。
「生きる力」の強い子を育てる 天外伺朗 著
ソニーで、CD、犬型ロボットAIBO、ワークステーションNEWSの開発を主導した天外伺朗さんが教育論について綴った1冊です。
今の日本の教育は、管理すること、大脳新皮質を鍛えることばかりに一生懸命で、それが人間の生きる力を損なう方向に作用している、と著者は主張します。
それではどうすれば良いか?
著者の考えは以下4つです。
1、無条件の受容
2、大脳新皮質の前に古い脳を鍛える
3、何かに夢中になる経験させる
4、大自然と対峙する
自然豊かな環境で、受容的な大人に囲まれながら、身体を使った遊びに夢中になることで、生きる力の強い子どもが育つ、というのが大切だということですね。
人間の脳は、脳幹、大脳辺縁系、大脳新皮質、という三層構造になっていて、言語や論理的思考を統制するのは、1番新しい脳、大脳新皮質です。
今の日本の教育がターゲットにしているのはこの層なのですが、これを鍛えるよりも前に、身体を使った遊びを通して、古い脳を鍛えることが、生きる力の強い人間を育てるために必要なのだと感じました。
確かに今、遊びといえば先ずゲームですが、あれは新しい脳を使ってばかりで、古い脳を鍛えることには、ほとんど寄与していないのだろうと思います。
私が子どもの頃は、もちろんゲームはありましたが、田舎の山の中で育ったために、川や野でたくさん遊ぶことができました。
今、街の中で育つ子どもたちは、人為的に管理された環境の中でしか遊ぶことができない状況になっています。
その環境で想像力が育まれることは難しいだろうなぁと感じます。
学校の勉強を通して新しい脳を鍛えるだけでなく、自然の中で身体を使った遊びを通じて古い脳を鍛える。
子どもを育てるためには、さまざまな要素が必要とされるのですね。
人を育てるという仕事は奥深く、やりがいがあるなぁと改めて思いました。
良かったらぜひ手に取ってみてください。