私は仕事柄、中学生や高校生のお子さんをお持ちの親御さんと接する機会も多いのです。
中学生、高校生と言えば、反抗期の真っただ中。
口ごたえしてみたり、無視してみたり、タバコ吸ってみたり、大音量で音楽を聴いてみたり、髪を金色にしてみたり。
やってほしくないと思うことのほとんどをやるのが、この時期の子どもの特徴です。
そんなお子さんに手を焼いている親御さんも多いと感じています。
子どもの成長において反抗期とはどういう意味があるのでしょうか?
反抗期とは、今まで親の価値観の中で生きてきた子どもが、自分の価値観を形成して親から離れていくという精神的自立のプロセスです。
自分という存在を確認するために、人は他者を必要とします。
自分とは異なる他者とぶつかるという経験を通じて初めて、「自分」という概念を獲得し精神的に自立していくのです。
反抗期とはどんな子どもにも起こるものではありません。反抗期が起きるために必要な条件は以下の三つです。
1、子どもが、自分の感情、欲求、願望をしっかりと持っていること
2、子どもが、自分には力があるという確信を持っていること
3、子どもが、親に対して信頼感をもっていること
1について
子どもの中に、これが自分の好きなもの、自分はこういうことを実現していきたい、自分はこういうものを美しいと思う、など、その子独自の価値観がなければ、そもそも反抗する主体が存在しないことになります。
そのような感情、欲求、願望があるということは、自分という人間がしっかりとその子の中に根付いている何よりの証拠です。
2について
思春期は、心と身体が親にも負けないくらい成長する時期です。
自分という存在に力を感じるからこそ、自分の力でやってゆきたいという気持ちも生まれ、それが反抗となって表れてくるわけです。
心と身体の成長がなければ、反抗もできません。
3について
反抗というのは、ぶつかる対象に対する信頼がなければ成り立ちません。
物理的にぶつかっても、心理的にぶつかっても、この人ならば自分を受け止めてくれるという安心感・信頼感がある相手に対してのみ、人は反抗をしてきます。
反抗というのは信頼感があればこそ起きる現象なのです。
この3つを見て分かることは、反抗期とは素晴らしい子育ての結果だということです。
その子の中に自分の価値観が育ち、心身ともに成長し、親子の間にしっかりとした信頼感があって初めて、反抗期が訪れるのです。
反抗期を迎えて、お子さんへの対応に苦慮されている親御さんも多いかと思いますが、いつまでも親の言うことをハイハイと聞き続ける「よい子」は本当によい子なのでしょうか?
そういう「よい子」は、親や大人にとって「都合のよい子」ではあっても本当によい子とは言えないのでは、と私は考えます。
反抗期とは、子どもたちが順調に自立のプロセスを歩んでいる証拠です。反抗期を経験してこそ、人は自立した大人になれるのです。
反抗期は素晴らしい子育ての結果です。どうぞご自身の子育てに自信をもってください。
ちなみに表題の発言は、20数年前に私が母に対して吐いていた言葉です。
立派かどうかは定かではありませんが、そういう時期を経て今私も生きているのだなぁと思います。
書いていて「お母さん、ありがとう」と改めて思いました。
両親に感謝です。