リロクック塩谷です。

格付け本が相次いで発売される時期です。

そうです。みんな大好きミシュランです。

もう15年にもなるんですね。

 

以前も書きましたけど、かなり以前にはフランス料理の格付け本、

日本で唯一であり、最も知見の深かったと思われる「グルマン」

という本がありました。

当時修行真っただ中だった僕は、その本で2つ星の店で働いてたけど、

発行されるしばらく前からは、かなり緊張していたものです。

 

自分がこの店の評価を下げたならどうしよう、とか思ってました。

僕は当時その店でたった一人で28席分のデザートと、販売の菓子を作ってました。

毎日ほぼ満席のその店は、現在のようなお任せコース1本みたいなスタイルではなく、

アラカルトも多く、コースも2コースでしたので、デザートもかなりの種類を用意していました。

デザートの占める大きさはわかっていたので、猶更ドキドキして発表を待っていました。

 

幸いにも僕がシェフパティシエをしている時期には評価は下がることなく、

ちょっと自慢ですけど、東京トップレベルのデザートとコメントされていました。

嬉しいものです。他人の評価と言うのは。

 

ただ、当時はそれが真っ当な評価なのかどうかは知り得ませんでした。

時間はそれからとても長く経ち、このミシュランの時代になり、

更に評価本の影響力や認知力は格段に上がり、

ネットの飲食店の点数などとともに、一般の方々が飲食店を選ぶ基準にもなっています。

それ自体はすごくいいことだと思いますし、

多くの方々にフランス料理、イタリア料理、懐石、鮨、中華料理の

素晴らしい店を開拓するためのツールでもあるし、店の為にもなり得ると思います。

そう、その評価自体が真っ当であるなら。

 

本国フランスよりも多い星付き店舗。

肌感覚的に良くわからない判断基準。

果たしてそのジャンルはミシュランという理念に必要なのかどうか。

年数を重ねるごとに疑問が湧いてきます。

 

例えば、ですよ。あくまでね。

店外に出なきゃ手洗いにいけない店が星を取れるんでしょうか?かの国では。

たった1種類のメニューを提供する極端に安価な店はどうですか?取れますか?

あくまでも肌感覚ですよ、ドリンクの価格も曖昧で、意味不明に高額で、

料理の価格すらその時々によって変えてみたり、又は人によって変えてみたり、

そんな店は山ほど知っている。肌感覚でね。

どういう価値基準で店舗を選定してるんだろう。

真っ当である店を選定するには張り付かなきゃわからないよね?

同じように、肌感覚的にぼったくりのお店も張り付かなきゃわからないよね?

 

当然そんなことしてないわけで。

一度、又は二度程度の視察で、しかももろバレの視察の方に、

お店側も歓待、歓迎、もてなし能力の全てを注ぎ込むわけで。

裏側にいればわかるけど、その手の情報は店同士で凄くまわっている。

どこどこに誰が来た的なね。

 

出来ればもっと明確な価値基準が欲しい。

ジャンルも絞ってほしい。

しっかりと見ることが出来るだけの店舗数にしてほしい。

対価格に対してもっと鋭敏であってほしい。

真っ当を評価の基準に入れてほしい。

僕の個人的見解ですよ。

全くの個人的なね。

 

ミシュランは料理しか基準じゃないらしい。そう謳ってる。

でも厳然として店の格、作り、什器、サービス、はその中に含まれている。

いや、含まれて当然なんだと思う。

わざわざそこに旅行をしてでも訪れる価値のある店は、

どれが欠けても成り立ちはしない。

だとしたらさ、色々欠けてない?

年々そう感じることが多くなるこの時期です。

 

真っ当であること、騙さないこと、価格と言うお客様との契約を守ること。

そのくらいはちゃんとしてほしいと願う今日この頃です。

 

あ、サスティナビリティって言葉、最近多すぎません?

使えばいいってもんじゃないですよ!

意味解ってますか?

リロクックはサスティナビリティ企業を目指していますけどね。