諸君、今日はバレンタインディである。
かの製菓会社の陰謀により、女子から男子への「義理・本命」、女子から女子への「友チョコ」、また「自分チョコ」なる珍妙奇妙なものまで世に浸透しつつある今日このごろ。
最早、信じられるのは君たち同志のみである。
今年は貰った数が、去年の1/5までになった。これは由々しき事態である。
中学から高校と舞台も変わり、生活も変わり、部活も変わったが、こうも人心は変わるものなのか。
諸行無常という仏教思想はあれど、少しくらい変わらぬ真理があってもよかろう。
教室では仲睦まじき男女が「ワタシノキモチ」という悪魔の呪文を嬉々として唱え、
気味悪き黒ずんだ「ナマチョコ」なる物体を押しつける。
親しき友人はそれを囃しながらも心中穏やかならず、
諸男子は涙にむせびハンカチを濡らす。そして口々にこう叫ぶ。「爆発しろ!」
しかし、眼前に存在するは青春を謳歌する愚かで愉快なリア充どもである。
憎き彼らに天誅を!毘藍婆よ、彼らを心行くまで吹き飛ばせ!!
今年は私も、同志と共にハンカチを濡らすこととしよう。
「三倍返しの法則」というものがある。
バレンタインにもらったチョコ。男はホワイトデーに、その三倍の価値のあるもので「お返し」をしなければならないのである。
しかし、私は気付いた。
女の子は専ら手作りチョコを持参する。そのチョコの“価値”はいかほどだろうか。
確かに、材料費・光熱費などのみで換算すれば、それは一つ当たり10円にも満たない。
(ただし、ものによるだろうが。そしてそんな高価なチョコを貰う男子は割腹が義務である。)
しかし、そこが“ハンドメイド”の神秘、魅力、恐ろしさである。
そこに含まれるのは、そう、“真心”である。
そしてそれはきっと、「プライスレス」。
しかし、プライスレス=0円 ではない。価格無し、ではなく測定不可能なだけである。
よって、この“真心”分もお返ししなければならない。
市販の物でお返ししようとしている諸君。気を付け給え。
もし君が、620円のチョコを買ったとする。中々高価である。
そして忘れてはならないのが、それが「三倍返し」の結果であるということだ。
つまり、(材料費+真心)×3=620
(真心)≒200円
「酷いっ!私の真心をたったの200円というのね!?」 そういうことである。
そして、私がこんなくだらないことを考えていられるのはなぜか。
お返しする必要が希薄だからである。
どこに返せばよいのだろうか。
哀しき男たちは、今日も枕をしとどに濡らすのだ。
訂正:費用は10円未満ではなく、50円はかかってるそうです。お詫び。