フジファブリックのアルバム『CHRONICLE』を聴いている。
知っている人は知っているであろう、僕の数ある尊敬する人の中に志村正彦という方がいる。
今になっても定期的に聴きたくなる。
このアルバムはその志村正彦が全曲作詞作曲をしている。
正直ネガティブな歌詞が多くて、賛否両論あるのだろうと思う。
でも僕の中では屈指の名盤。
他の何にも変えが効かないのである。
そんなこのアルバムの1曲目は「バウムクーヘン」。
僕の好きな食べ物もバウムクーヘン。
元々好きだったけれど、この曲を思い出すためである理由も正直2割ぐらいある。
間奏の唸り上がるギターソロと、歌詞とメロディーライン、志村さんの歌が好きだ。
最近またこの曲を聴いた時に、深読みかも知れないけれどはっと気づいたことがあった。
この曲はとても臆病で、それはそれは不器用な人間の歌詞。
曲中に一度もバウムクーヘンという言葉は出てこない。
でもタイトルはバウムクーヘン。
バウムクーヘンは樹木の年輪。
最初から丸太なのではない。
歳を積み重ねてやっと出来た人生みたいなものだから、このタイトルなのだと今までそう思っていた。
でもそれだけではないのではないか。
どれだけ歳を積み重ねてみても、心の真ん中はぽっかり空いたものがある感覚を、バウムクーヘンと重ねているのではないか。
そんな心の中を志村さんは誰かに見てもらいたかったのではないだろうか。
そう感じてやまないのである。
恥ずかしい感情を曝け出す、最高にロックな曲たち。
クロニクルも、同じ月も、ないものねだりも大好きだな。
いや、全曲大好きなんだけど。
そう思うと、ナナクロニクルってとっても良いグループ名だよね。
このアルバム然り、村上春樹さんのねじまき鳥クロニクル然り。
クロニクルってめちゃくちゃ良い。