カードゲームが大好きは息子と親友のY君。

2家族で大富豪をやったある日、Y君の順番が来た時、Y君が

「もうだめだ!もういやだ!」

と繰り返しつぶやいた。

Yくんがつぶやくたびに、Y君のママは

「そういう姿良くないよ!」

「まだどうなるかわかんないじゃん」

「どうしてすぐそういうこと言うの?」

と間髪入れず反応する。

 

そのうち、一緒に遊んでいた私の夫も、

「男だろ~!勝負しようぜ!」

 

Y君のママも、私の夫も、Y君を励まそうとしただけ。

悪気は全くない。

 

でもY君は小さく丸まり、下を向いて固まってしまった。

 

「…それはつらいよ…」

と一部始終を見ていた私は、ついつぶやいてしまった。

 

すると息子も

「うん、つらいよ…」

 

Y君のママが

「え??」

 

私が、

「どうもしなくていいよ。そうなんだね、でいいんだよ。」

というと、息子も

「うん」

と。

 

するとY君の目から大粒の涙がポタポタと。

背中をさすり、

「泣きたいね、泣いていいんだよ」

と言うと、さらに安心して泣ききった。

 

これなんだよね。

 

Y君のように、子どもたちはこうやって「いやだ」「つらい」「不安だ」…

本音を感じ、表現すると、周りからは

「言っちゃダメ」「我慢しなさい」「前向きに」「男は強くあれ」

そのうち自分でも

「泣くな」「弱い自分はだめ」「我慢しなきゃ」

と追い込んでいく。

 

そもそもY君のママも夫もそうやって育ち、弱い自分を受け容れてもらえなかった不安や恐れ、悲しさを持ったまま、生きているからこそ、Y君の

「もうだめだ!もういやだ!」

という言葉に、身体が不快を示し、受け容れられないんだよね。

 

ここに向き合わずに、子どもの表面の姿を何とかしようとしても、やればやるほど、

子どもは自分の本当の感情にフタをし、自分をどんどん追い込むよ。

 

Y君が帰った後、息子と話した。私が

「Y君の気持ちわかった?」

と聞くと、息子は

「うん」

と。そして

「あなたならどうしてほしかった?」

と聞くと

「何も言わないでほしかった」

と。

…そうだよね。そうなんだよ。