米雇用弱者の苦境強まる 追加対策も効果薄 (2021/1/4 FINANCIAL TIMES Taylor Nicole Rogers & James Politi)
米カリフォルニア州サンフランシスコのベイエリア。チェース・コプリッジさんはバンの中で眠り、それから1日16時間、バンで仕事をする。食品雑貨店のそばに他のドライバーたちと車を止め、インスタカートかドアダッシュ、アマゾンフレックスのアプリから仕事が来るのを待つ。どのアプリで仕事をするかはその日次第だ。

職を失った人が配達代行の仕事に登録するため、一人ひとりの仕事は減っている=ロイター
だが配達代行の依頼はまばらだ。冬の新型コロナウイルス感染拡大でいくつかの州が新たにロックダウン(都市封鎖)を導入する中、アプリ経由の仕事は競争が激しくなっている。以前は楽に日に400ドル(約4万1200円)稼いでいたが、経済と自身の収入に大きな打撃となった2020年の年末は1日100~150ドルしか稼げなくなったとコプリッジさんは話してくれた。
「これが今のギグワークの現実だ」と言う。「なんとかやっていくために、家族や友人との時間など普通の生活を犠牲にしている」。33歳のこの男性の苦境は米国の労働市場の厳しい状況を映し出すものだ。最初のコロナショック後、米雇用情勢は予想外の回復を見せたが、再び失速の様相を呈している。
コロナ危機でリストラされた人員の再雇用はなかなか進まず、20年11月の雇用者数は24万5000人増と前月の61万1000人増から大幅に減った。
配達代行への登録が急増
レストラン、映画館、小売店などサービス業の雇用にしわ寄せが及ぶ中、宅配代行などネットを通して単発の仕事の請け負いを始める人が増え、収入が圧迫されているとギグワーカーは言う。
小売大手ターゲット傘下で即日配送を手がけるシップトでは、買い物代行・配達サービスに登録する個人事業主が19年末以降、2倍以上に増えている。宅配代行サービス大手のインスタカートは20年4月だけで30万人の配達員を採用し、さらに25万人の増員計画を発表した。
コロナ対策の規制は配車サービスなどにも影響が出ている。ウーバー・テクノロジーズは20年8月、4~6月の配車予約が前年同期比75%減となったことを明らかにした。
労働市場の回復が止まったことは、通常の失業保険の対象外に置かれたギグワーカーや個人事業主向けに導入された失業手当の申請件数の急増にも表れている。労働省によると、20年12月12日までの1週間に「パンデミック失業支援(PUA)」制度への申請件数は、その2週間前のほぼ2倍にあたる45万5037件に達した。12月26日までの1週間の申請件数も30万8262件と高止まりしている。
「8月以降、景気はほんのかすかに上向いただけで、そのまま新たな感染拡大に突入してしまった」と、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のイライザ・フォーサイス教授(経済学)は言う。「サービス業で働く人、接客業の人、低賃金労働者、ギグワーカーがこの期間中、最も打撃を受けている。職を失って失業保険に逆戻りしているのも同じ人たちだ」
個人の仕事量は減少
コロナ対策の規制が比較的少ないテキサス州などでも、低賃金労働者は仕事を再び見つけるのに苦労している。
建設業で働くウィリー・ソリスさんは19年後半から仕事が途切れると、次の仕事が見つかるまでシップトなどの配達代行を請け負い、同州ダラス郊外を走り回っている。シップトの配達員としての収入は数週間前から減り、ガソリン代や保険料、コロナ対策の個人用防護具への追加出費もあって手取りはさらに減っているという。
シップトやインスタカート、ドアダッシュの配達員たちの非公式労働組合「ギグ・ワーカーズ・コレクティブ」でも活動しているソリスさんは、自分以外にも仕事が減ったと愚痴をこぼす人が多いと話す。「個人個人が受ける依頼が減っている」
一方、シップト側は配達員への依頼件数が19年の同時期を上回り、個人用防護具を無料で提供したり年末特別手当も出したりしていると述べている。
昨年末、コプリッジさんやソリスさんのような労働者に大きな救いがもたらされた。数カ月にわたる曲折の末、議会とホワイトハウスが9000億ドル規模の追加経済対策を成立させたのだ。年収7万5000ドル以下の人に600ドルが給付されるほか、小規模事業者への支援も盛り込まれている。コロナ禍の影響をまともに受けている数百万人の低賃金労働者やギグワーカーには、週300ドルの緊急失業手当の支給が11週間延長される。
受給するにはさらに数週間
「非常に大きな支援ではある」とシンクタンク、センチュリー財団のアンドリュー・ステットナー上級研究員は言う。「貧困に陥らずにすんだし、極めて大きな困窮も避けられたが、それでも多くの人にとって限定的な措置にすぎない。彼らは依然として苦境にあえいでいる」
低賃金労働者の擁護団体「ナショナル・エンプロイメント・ロー・プロジェクト」のミシェル・エバーモア上級政策アナリストは、失業手当の受給者は各州のシステム更新が完了するまで数週間待たねばならず、対策成立の遅れは最も打撃を受けている労働者にさらに犠牲を強いるとみている。
支援には、マイノリティーの労働者と他の労働者の格差という問題もあるという。「支援を受けられる人が少なく、黒人や中南米系、先住民の労働者の多い州ではその水準も低い」とエバーモア氏は指摘する。
カリフォルニアのコプリッジさんは、景気が回復するまでギグワークに代わる仕事は見つからないと考えている。給付金は車の経費の足しにはなるが、コプリッジさんはこう話した。「ベイエリアの大部分の人にとって、これはほとんど何の役にも立たない。自分たちは一発屋だが、犠牲者でもあるんだ」
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