こんにちは、大井です。

 

前回に引き続き、先週開催された女性史特別補講「ミュージカル・エリザベート」特別編のお話です。

 

 

今回は「番外編」ということで、補講の終了後に寄せられた学生たちの声をご紹介いたします。私からの簡単なリプライも挟ませていただいています。

 

 

★先月予定していた宝塚の観劇が公演中止となってしまったので、こちらの特別補講は中止にならず良かったです。第一部で、明日海りおさんを見ることができて嬉しかったです。明日海りおさんは、演劇概論の授業で少し視聴した「ポーの一族」で一目惚れしました。その時は既に退団を発表されていて、観劇する機会はなかったので、いつか生の舞台やショーを見にいきたいです。

「エリザベート」を通して視聴し、エリザベートもですが、トートもエリザベートを求めたり(黄泉の国に誘ったり)拒んだり、不安定だと思いました。天邪鬼なのかとも思いましたが、死を望んでいても心の奥底で本当は生きたいと思っていて、エリザベートを連れていくことができなかったのではないかと考えました。エリザベートは「死」を望んでも、「生(他の誰か)」が彼女に生きることを望んでいる(彼女を必要としている)、そのようにも思えました。

貴重な機会をありがとうございました。女性史の授業を受講することができ、本当に良かったです。よりミュージカルと歴史を好きになる事ができました。来年の花組公演「うたかたの恋」チケット取れるように頑張ります!

 

(大井)そうですね!トートの人間臭さにどこか哀愁が漂っています。もはや死神でも黄泉の帝王でもありません。中身はそこら辺にいるごく普通の男性みたいです(笑)。エリザベートと出会い接しているうちに死神がだんだん人間ぽくなっていくところが面白いですね。

202×年、明日海シシィ見参。昨年から私がずっと言い続けている夢が正夢になることを願っています。でもそうなるとチケットの争奪戦が今以上に激しくなる・・・・今ですらこんなに厳しいのに。う~ん、悩ましいですね。

今回の古川くんのDVDには古川フェルゼンと明日海マリーのデュエット(「私たちは泣かない」)も収録されています。明日海マリーの方は降臨の日が近いかもしれませんよ。

 

 
 

 ★人気曲ランキングが全然正解できなくて悔しかったです。個人的には「マダム・ヴォルフのコレクション」と「パパみたいに」がかなり好きなのですが、あまり投票されてなくて意外だなという印象でした。

 

(大井)「パパみたいに」はリプライズと合わせると同率6位です!同じメロディとはいえ第1幕と第2幕の両曲は曲調があまりにも違いすぎますが・・・。「マダム・ヴォルフ」は・・・ランク外です(汗)。

 

★今回ミュージカル『エリザベート』を通しで観賞してみて、リプライズ曲が流れた時の登場人物の感情や立場の変化が、授業でぶつ切りで観賞していたときと比べてより分かりやすかったように感じました。また、二度目の観賞ということで今後の展開が分かっている分、前半パートで今後の展開の伏線のようなものを新たに見つけることができました。

 

(大井)そうですね。1回目のときと違い、今回は「感じながらさらに深く考える」ことができたのではないでしょうか?物語全体のつながりも見えてきたことでしょう。

                                           

★今回ミュージカル「エリザベート」を通して見る中で、授業時とはまた違った気持ちで観劇することが出来たと思います。話の内容を一度見て知っているからこそ気付ける伏線や発見、感動があり何度見ても心を動かされる凄さを感じました。また改めて城田優さんのトートを生で見てみたかったという気持ちが強まってしまいました。とても楽しい時間を過ごすことが出来ました、このような補講を企画していただきありがとうございました。

 

(大井)もし城田トートを生で観ていたら黄泉の世界に迷い込んでしまい、こちらの世界にはいなかったかもしれませんよ(笑)。危ない危ない。

 

★最初から通してミュージカルを見ることは初めてだったので、感情が忙しかったです。場面が切り替わるごとに変化する表情や声、見た目に注目して鑑賞しましたが、通して観ることで気づくことや感じ方があり、とても面白く鑑賞し終えた時不思議な気持ちになりました。女性史の授業をきっかけに、様々なミュージカルを鑑賞したいと思います。

 

(大井)そうですね。授業では解説を挟んでいましたので今回のようなポーズのない早いテンポには戸惑ったかもしれません。でもこのテンポの速さが集中力を高め、感情移入を深めることになりますので独特のリズムに慣れてみてください。言葉で言い表せないような「不思議な気持ち」もぜひ大切にしてください。なぜそういう気持ちが生じてるのか、自分自身の心と楽しく対話をしてみてくださいね。

 

★全編見てより生で見たくなりました。抽選外れてしまってチケットを諦めていたのですが、まだ希望が0ではないと知り、もう少し頑張ってみようかなと思いました。

 

(大井)第3部でチケット獲得のコツをレクチャーしましたがくれぐれも他言無用です!(笑)

 

★授業の時のように、場面ごとに視聴し、解説を聞くのもとても良かったが、今回のように全部通しで観るのも、感情移入出来て非常に良かった。来年留学したら、絶対にウィーンに足を運ぼうと思った。生きてるうちに現地でエリザベートを観るという新しい目標が出来たので、ドイツ語の勉強も始めたい。今年度前期で楽しかった授業No.1の女性史が終わってしまって悲しいです!半年間ありがとうございました!!いつか最前列を勝ち取る方法教えてください!!!

 

(大井)最前列の獲得には運とコツと執念が必要です。今回のイベントでそのコツを少しお話ししましたが、あきらめず悪あがきすることが何よりも大切です。

来年ウィーンで公演があるといいですね。なかったとしても6月末~7月初にシェーンブルン宮殿の野外公演がありますので機会があればぜひ足を運んでみてください。シシィが実際に住んだ宮殿をバックに展開される壮大なドラマ・ミュージカル。魂が震えるはずです。

 

★ミュージカル『エリザベート』を通しで見ることが出来てとても楽しかった。授業中は映像を見ながら演出や歌詞の意味などを考えながら常に気をはっている状態で見ていたが、授業も終わって意味や背景などを理解した上で見ることが出来たので、少し余裕を持って見ることが出来た。そのため衣装や舞台装置などの細部にも目がいくようになり新しい気づきを得ることができた。とても充実した時間を過ごすことが出来た。

 

(大井)今回の特別補講のねらいはまさにそこです!見事にそこを察してくれてありがとうございます!舞台装置も意外と凝っていますね(授業でも解説した冒頭シーンの墓場=カプツィーナ霊廟のように)。

 

★初めて観た時は、リアぺ何書こうとかいろいろ考えてしまい素直に観ることができなかったのですが、今回何も考えず、エリザベートという作品を素直に楽しむことができました。また、2回目ということもあり、初見では画面の真ん中、一番目立っている人しか見てませんでしたが、今回はその人を取り巻く、周りの演者さんの表情や動きにも視点が向き、違った視点でも楽しむことができました。

 

(大井)ミュージカルの注目ポイントは舞台中央やプリンシパルキャスト以外にもあります。何度も観ていると新たな発見が続々と出てきますので楽しんでみてください。劇場でも1階席前方、1階席後方、2階席ではそれぞれ見え方や発見も変わってきますので、今度はぜひ劇場でご堪能を!

 

★週ごとに分けて解説や考察を聞き考えながらミュージカルを視聴したおかげで、主な登場人物の関係や歌詞の意味をある程度理解できているため、今回の一気視聴では演出や舞台設備など細かい部分にも集中して見ることができました。カーテンコールでは、11人の笑顔が見れて会場全体で『エリザベート』の作品を完成させたような感じでとても良かったです。これを機に時間があれば、他のミュージカルを見てみたいと思いました。

 

(大井)授業時にはカットしたカーテンコールも今回はたっぷりと流しました。ミュージカルはやはり最後のカーテンコールも含めて一つの作品であり、キャストの笑顔と達成感に触れ、緊張した心がほっこり和らぐ瞬間です。

 

★今回の特別補講に参加したことでエリザベートへの理解がより深まったと思いました。講義ではぶつ切りで見ていた舞台「エリザベート」を通しで鑑賞することでエリザベートへの解像度が上がっただけではなく、ほどよく講義の復習にもなったと感じました。特別補講を開催していただいてありがとうございました!

 

(大井)前期の女性史は毎週リアぺあり定期レポートもありで、なかなかタフだったと思います。でもそれを頑張ってやり抜いたからこそ、今回の全編鑑賞の充実度も上がったのだと思います。学問を楽しくやり抜くと、こうしてご褒美が待っていますね。

 

★貴重な機会をありがとうございました!授業を通じて細切れに視聴するのも考察が深まって良いのですが、通しで鑑賞すると曲同士の繋がりが明確になり、ミュージカルの歌の部分が前面に出ていたように感じました。授業では観られなかったカーテンコールでゾフィー役の方の笑顔や花總さんの気品を見ることができたのも嬉しかったです!特別補講は今回が最後とのことでしたが、私としてはぜひ「マリー・アントワネット」も補講で通しで観られたらと思います…!

 

(大井)そうですね。前期の授業時は「歴史」の勉強がメインでしたが、今回はミュージカルに特化した補講でした。ゾフィー役の涼風真世さんはかつてエリザベート役でしたから、いずれは花總ゾフィーのお披露目も?見てみたいような、見たくないような・・・・(笑)。それにしてもカーテンコール中の花總さんは気品がありすぎてすごいですね。最前列でオーラに何度も圧倒されました。

 

★今回の補講では、講義のように分割することなく、第一幕、第二幕をそれぞれ通して視聴できたため、改めてシーンごとの繋がりや転換を意識しながら視聴することができました。特にエリザベートの自由さやあどけなさが残る第一幕では、エリザベートにとって楽しい出来事や喜ばしい出来事の「明るい」シーンと、その直後のトートによる「暗い」シーンの対比が表現されていることが如実に分かり面白かったです。

個人的に「うぅ…」となるシーンはルドルフとフランツの言い合いのシーン~ルドルフの死までのシーンです。講義内での視聴でも思うことはたくさんありましたが、今回もやはり強く印象に残り、やはり涙がでてしまうシーンでもありました。自分の中でなぜこのシーンがそんなに刺さるのか、と考えたとき、自分の意識がまだ子どもであり、常に誰かに支えてもらっている立場だからではないかと感じました。ルドルフが同志と共に、古くからの体制に逆らう働きかけを試みる中で、彼は常にトートを頼りにしているようであり、依存しているようでもありました。そして母親であるエリザベートと再会した際も、やはりとてもあてにしているようでした。私自身も、両親に見捨てられ、同じ志をもった仲間もいなくなり独りになってしまったら、ルドルフ同様絶望するのだと思います。

大井先生の言葉にもありましたが、視聴する年齢によって感情移入する相手が変化するということについて、現在の21歳の私はこの「ミュージカル エリザベート」をルドルフの視点から視聴していたのだと分かりました。この先、エリザベートやフランツ、そしてゾフィー等、自分自身の視点がどう変化していくのか、楽しみです。

冒頭の古川雄大くんのThe Greatest concertの映像、Youtubeで何度もPVを視聴していたのでその一部を見ることができ、とても嬉しかったです。今後何とかして入手したいと思います。エリザベートのチケットも(腹をくくり)、おけぴで御園座を二枚お譲りいただくことになりました。何とかして帝劇も入手できるように頑張ります。

これまでミュージカルに関心はあったものの、実際に見ることはなかった自分にとって、3年次の特殊講義での「レディ・ベス」、そして本講義で視聴した「マリー・アントワネット」「エリザベート」は、新しい世界を知る大きなきっかけとなりました。今後、社会に出てからも(趣味への出資は惜しまず)、自分自身の感性を磨く努力を忘れずに生きていきたいです。とても楽しかったです!ありがとうございました。

 

(大井)なるほど、ルドルフに感情移入ですね!もしいつか闇が広がりそうになったときは、ぜひこの作品をもう一度観て自分自身を見つめ直してみてください。そうすればトートが近寄ってきても大丈夫なはずです(城田トートの誘惑にはこのワクチンは効き目なしかも)。

素敵なコメントありがとうございます。お金のかかる趣味に目覚めさせてしまいごめんなさい(笑)。でも人生を楽しむ要素、自分を磨くためのツールが一つ足されたことは素晴らしいことです。

 

★今回の特別補講では、前記の講義の時からもう一度見直したい!と感じていた、ラストシーンのエリザベートとトートの表情に注目した。前期の最終講義では「エリザベートにキスをしたあとのトートの表情が浮かない感じなのは何故か」という疑問が残っていた。そのため今回二人の表情に注目したわけであるが、その理由を私はなんとなく感じたように思える。エリザベートが刺されてトートと抱き合うあたりまではトートの表情は、やっとエリザベートがこちら側に来たぞというようなほくそ笑みを見せていたが、エリザベートが歌い始めてからそのほくそ笑みが引きつった感じになり、最終的にキスをしエリザベートを寝かせ、あの浮かない表情で暗転していた。これはどうしてなのだろうか、と考えてみたときに、エリザベートのラストに歌った辛いことも苦しいこともあったが生きたのよという感じの歌が関係すると考えた。エリザベートは晩年死を匂わすことはあれど自ら命を断つことはしなかった。彼女なりに沢山の経験をし、生きるということを全うしたのだと考える。

ソクラテスの名言で「善く生きることと、美しく生きることと、正しく生きることは同じだ」という言葉がある。この美しさや正しさというのは一人称複数の社会的な「私たち」のものではなく、一人称単数、つまり「私」の魂に基づくものである。そしてこれは「善く生きる」ということが「善く死ぬ」ということに繋がると考えられている。特別補講でどなたかが「死生観」について質問を投げていたが、その視点と合わせると正しくエリザベートは「善く生き、死をもってその生を全うした」のである。このことは死のそのものであるトートは永久に経験ができない。人を生かす力も死なす力もあるトートであるが、彼自身はそれを経験することができないのである。だからこそ、エリザベートが死をもってその生を充足感のある美しいものに昇華させている姿に対し、あの浮かない表情が暗転の前に見れたのではないだろうか。彼女のすべてを手に入れ、永久の世界で生きていこうと嬉しく思っていたが、彼は結局彼女の魂を手に入れることはできなかったのである。まさに「私だけに」といったところなのかもしれない。

特別補講で区切りや講義を挟まずもう一度通しで見ることができたからこそ、他人には理解し難い彼女の「美しく(善く)生きる」ということの人生が心に激流のように流れ込んで来たのだと感じた。とても良かった。

 

(大井)なんと深くて素晴らしい考察力!もう私が言うべきことは何もありません。私自身、このコメントから大いに学ばせてもらいました。

たかが歴史ミュージカル、されど歴史ミュージカル。これだけ歴史や哲学や人生を考えるための素材を豊富に提供してくれる歴史ミュージカル。もはや立派な学問ツールだと私は思います。

 

 

コメントをお寄せいただいたみなさん、貴重な感想ありがとうございました!

楽しんでいただけたようで本当によかったです。

 

 

それでは次回の「後編」では、52名が選んだ「エリザベート」ベストソングのベスト3と全ランキングを発表したいと思います。

 

つづく