本日613日は「狂王」ルートヴィヒ2184586)の命日です。

 

1864年に18歳でバイエルン王国の国王に即位したルートヴィヒは、その美しい外見から「美王」と呼ばれ国民の期待を一心に集めていました。ところが、次第に政治や外交に関心を示さなくなり、もっぱら芸術と建築に熱を上げ国の財政を傾けてしまいます。ついには、家臣の陰謀で廃位を迫られてしまう何とも切なく儚い「狂王」として歴史に名を刻むことになります。ちなみに、彼が散財の果てに残したお城の一つが、ディズニーのお城のモチーフにもなった有名なノイシュバンシュタイン城です。

 

 

廃位され幽閉中の1886613日、彼はシュタルンベルク湖において水死体で発見されます。その不審な死をめぐっては、自殺、他殺、事故死など諸説が流れ、謎多き怪死の真相はいまだ闇の中にあると言っていいでしょう。

 

 

先週6月9日の木曜日、東京国際フォーラムで上演中の新作ミュージカル「スワンキング」を観劇してきました。原作のないオリジナル作品であるため、音楽もストーリーも一から丹念に作り込まれた労作です。音楽家リヒャルト・ヴァーグナーとその妻コージマを強くクローズアップしている点もこの作品の一つの特徴だと思います。

 

 

ちなみに、ルートヴィヒ2世のミュージカルには、宝塚歌劇団花組「~愛と孤独の果てに~ ルートヴィヒII世」(2001年)が過去にあります。こちらも史実とエンターテインメント性のバランスに優れた秀逸なミュージカル作品だと思います。

 

 

私の授業では、2020年度「西洋文化史特殊講義IIIbでルートヴィヒ2世を数回に分けて扱いました。受講者には事前に動画配信サイトで映画「ルートヴィヒ」(2012年)を視聴してきてもらい、そこで得られた予備知識をもとに史実を講義しました。

 

 

今回はその時に使用したスライドの一部を少しだけ掲載させていただきます。

 

 

来年2023年度の授業では、新登場となる楽聖モーツァルトに加え、この狂王ルートヴィヒ2世を再登場させてみようと考えています。ドイツ語の研究資料から得られた新たな知見を盛り込み、さらには巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ルートヴィヒ」(1972年)も部分的に活用してみたいと考えています。映画、ミュージカル、最新の歴史研究をうまく混ぜ合わせながら、来年度はこの謎多き人物にスポットライトを当てる予定です。あわせてオーストリア皇妃エリザベートとの関係にも追っていきます!