20211211日・18日、そして年が明けて115日。清泉女子大学の生涯学習講座「ラファエラ・アカデミア」「知りたい世界史」3回講座(各90分)を担当させていただきました。

 

テーマは

ハプスブルク帝国のもうひとつの姿

 ―海をめざした大陸帝国の歴史―

 

です。

 

本来であればこの3回講座は20215月に開講が予定されていましたが、コロナ禍で2度延期され、今回ようやく実現にこぎつけました。年末年始にオミクロン株が急速に広がり、開講中止も危ぶまれましたが、ギリギリ滑り込みセーフといった感じで全3回を無事に終了することができました。

 

今回の講座では、ハプスブルク帝国の歴史を一般の人にでも分かるよう丁寧に講義させていただきました。さらには、「定説」だけではなく、視点を変えた「異説」も提示いたしました。ハプスブルク帝国は、「実は海洋国家でもあった!」という少々常識破りな歴史の見方です。

 

 

 

 

「大陸国家」としてのハプスブルク繁栄の歴史はよく知られていますね。しかし、ハプスブルクの歴史は実のところそれだけ完結せず、海の世界へも広く展開していました。海外や日本といろいろな形でつながり、19世紀に入ると海軍や学者たちが世界中に進出し活躍していました。横浜や神戸などにもオーストリアの軍艦は毎年姿を見せ、下船した軍楽隊が頻繁に港でコンサートを開き聴衆を楽しませています。

 

そういう意味で、この講座は教科書や概説書には登場しない「もうひとつの」ハプスブルク帝国史というスタンスでありました。

 

実際に講座で使用したスライドをちょっとだけ公開させていただきます。スライドは全部で500ページ以上あったため、これらはそのごく一部となります。

 

 

他のヨーロッパ諸国では王朝の交代がめまぐるしいなか、なぜハプスブルク家はあれだけ長いこと存続したのか?そして神聖ローマ皇帝の位を400年以上も独占できたのか?この講座では、ハプスブルク帝国に関する基本的な歴史や謎の解明から始まり、さらには大陸を飛び出して海や世界とのつながりにまで話を広げました。そしてその先で待ち受けていた日本との出会いと別れ。最終回では日本人が西洋史を学ぶ醍醐味にも触れました。

 

ちなみに、こうしたハプスブルクの歴史を知っておくと、ミュージカルや映画も楽しく観ることができます。皇妃エリザベートにのしかかったハプスブルク600年の重みとは?ゾフィーとフランツ・ヨーゼフ1世の母子は、なぜあそこまで宮廷の伝統にこだわったのか?史実を知るとミュージカル「エリザベート」の見方も少し変わってきます。

 

また、オーストリアを旅したときに役立つ情報(宝物、博物館など)と重ね合わせながら、楽しくハプスブルクの歴史を語らせていただきました。もちろんわずか3回(270分)の授業ですべてを語り尽くすことはできませんでしたが、現代の我々が歴史を学ぶ意味と楽しみ方が少しでも伝わったのであれば嬉しいかぎりです。

 

熱心にご聴講いただいた受講生のみなさま、ありがとうございました!

 

来年度は、20231月に「運命と闘ったクイーンたち」というタイトルで再び3回講座に挑戦させていただきます。1年後の開講に向けてこれからじっくり準備を進めてまいります。来年はコロナに怯えることなく無事に開催できますように!