オーストリア皇妃エリザベート、その原点の地へ!【前編】
こんにちは、大井です。このブログでもたびたび登場しているオーストリア皇妃(ハンガリー王妃)エリザベート。近年『ハプスブルク事典』(丸善出版、2023年)や『ハプスブルク家の歴史を知るための60章』(明石書店、2024年)などで項目を担当させていただき、思うところや研究の成果を小論にまとめる機会をいただきました。2025年には勤務先の清泉女子大学で専門科目「歴史ミュージカルの世界」(1~4年次)が新たに開講されます。科目の設置提案者・授業担当者として、現在皇妃エリザベートについて再考察を進めているところです。この授業ではミュージカル『エリザベート』を題材に彼女の人生、およびその背景にある歴史を学びます。さらには歴史や偉人が現代のミュージカルでどのように表象されるか、文化と歴史の絡み合いを楽しく学ぶ!がコンセプトの授業です。※この科目の応用編「歴史ミュージカル特論」(3~4年次)でもウィーン系の他のミュージカルを取り上げる予定です。というわけで、今回は彼女の原点を探りにドイツのバイエルン州へ赴きました。皇妃になるまでの16年間、彼女が暮らしたこの土地に人格形成のルーツが潜んでいると考えた次第です。まずはエリザベートの生誕地へ!バイエルン公爵マクシミリアンの邸宅跡地であるルートヴィヒ通り13番地です。バイエルン公爵マクシミリアン(エリザベートの父)ミュンヘン中心部にあるバイエルン国王の居城レジデンツ。そこから北西に歩いて数分という抜群の立地にマクシミリアン公爵の邸宅がありました。バイエルン公女エリザベートは1837年12月24日にこの館でマクシミリアン公爵と妻ルドヴィカの次女として誕生しました。左側の建物がマクシミリアン公爵の館(1852年)残念ながら当時の建物は1937年のナチズムによる都市改造のため取り壊されてしまいました。現在目にすることができるのはその後に建造された公共の建物です。今は連邦銀行バイエルン州本部として使用されています。ご覧のように大通りに面したこの付近は車の通りも多く、都会の喧騒に包まれています。旧マクシミリアン邸も同じ大通りに面しておりましたので、館の周辺は市民や貴族の行き来で賑わっていたことでしょう。市民との交流を楽しみ、市民から愛されていたマクシミリアン公爵にとってはベストな立地だったかもしれません。この館で生まれ育ったエリザベートにもその居住環境は大きな影響を与えたに違いありません。ただ、少女時代のシシィは夏の時間の多くを避暑地で過ごしていました。父が別荘を保有するシュタルンベルク湖の湖畔です。それでは少女時代のエリザベートがお気に入りだったシュタルンベルク湖へも赴いてみましょう。彼女が幼少期に遊びまわり、皇妃となった後も頻繁に里帰りしていた父マクシミリアン公爵の別荘ポッセンホーフェン城です。ミュンヘン中央駅から近郊鉄道で20~30分ほどのところに位置するシュタルンベルク湖。その西側湖畔に位置するポッセンホーフェンへはミュンヘンから鉄道でも行けますが、今回は湖北のシュタルンベルク駅で下車し遊覧船でポッセンホーフェンへ向かいました。遊覧船の乗船場所はシュタルンベルク駅の目の前にあり、駅の出口から歩いて1分もかかりません。シュタルンベルク~ポッセンホーフェン間の航海は35分。乗船券は8.9ユーロ。船上から見渡す絶景と吹き寄せる爽やかな風は格別です。Shipping on Lake Starnberger SeeShipping on Lake Starnberger See. Infos about timetable, prices, events, charter, excursion tipswww.seenschifffahrt.deシュタルンベルクを出港して3つ目の停泊地がポッセンホーフェンです。いざ上陸してみると・・・・想像以上の大自然にびっくりしました。少女時代のエリザベートはここで兄弟姉妹と遊び、馬に乗って野山を駆け巡り、野生動物とたわむれていたと伝えられます。花嫁修業よりも遊びに夢中で天真爛漫な少女として育ったエリザベート。そんな彼女が木登り遊びを楽しむさなか枝から足を踏み外し黄泉の帝王トートが迎えに来る・・・・ミュージカル『エリザベート』冒頭のシーンを彷彿とさせるミステリアスな雰囲気を醸し出す自然豊かな土地でした。マクシミリアン公爵の別荘であったポッセンホーフェン城は現在個人所有のため中に立ち入ることはできません。その周囲は遊歩道や草原になっており、散歩やサイクリング、日光浴でくつろぐ地元の人にも出くわします。周りを自然豊かな緑に囲まれ、湖畔にひっそりとそびえ立つポッセンホーフェン城。エリザベートの時代と変わらぬ光景でしょうか。このお城を「ポッシー」と呼び、この土地が大のお気に入りだった純真無垢な少女エリザベート。そんな彼女は15歳の時に突如皇帝に見初められ16歳の若さでウィーンの大宮殿へ嫁ぎます。15歳までの少女時代を詳しく知っておくとミュージカル『エリザベート』の展開もいろいろと腑に落ちるところがあります。ポッセンホーフェンとウィーンの対比は特に大事かもしれませんね。来年4月から始まる新科目「歴史ミュージカルの世界」ではそのあたりの背景知識もたっぷり添えていきたいと思います。ウィーン・ホーフブルク(王宮)ウィーン・シェーンブルン宮殿(離宮)後編につづく