なが~い途方もない漂流のはじまり !!
御前崎沖の辺りから天龍川沖に、雨はやんだが
風と波はまだおさまらない。
全員髪を切って伊勢太神宮に祈ることしかできず、
丑時(午前2時)に有り伊良湖沖と出た。
お~三河ダ~ 全員で歓喜、
ここから伊勢の湊まで5里(20K)是より
湊入りの火を見せたまえと願う。
だが、風が戌亥(西西北)変わり益々激しくなり、
伊勢の湊近くまで来たのに
波は高く荒波に大いなる家のごとく、
お城のような大浪で恐ろしく吹き戻された。
御前崎沖の辺りまで吹き戻され来てしまい、
後日の言い訳にと、橋舟を要吉の為に流してあげようと
皆の意見でやむへず流してしまった。
この辺りまでは、まだまだ希望があったが、
伊豆方で助け舟を出さんとすれども大風・大浪では、
船を出す方法もなく。
沖へ沖と流されつつ、足腰立たずほど揺れ、
今は舵も無く、帆柱もなく、橋舟も、
この日も夜に入り、午後8時ごろに伊豆の土島と新島との間を、流れる。ここで碇を降ろせども、海の底は深くとどかず、碇(怒り)を引きずり流れ行く。6日の朝に三宅島の前を流れ、島の人是を見て、助けたくは思うが、かかる大風・大浪では、こちらの船まで寄る事も叶わず、橋舟があればと!!
只波風に任せての、皆々車座になって、ただ念仏を。
五日たち、十日がすぎ、やっと風と波もおさまったが、
生きて帰ることができたら自分たちの供養碑を建立しようと、
互いに約束を交します。
ついに洋上で正月を迎え、乗組員13名、
参考資料
ご縁があり、訪問頂き
皆様に ありがとうございます。
よろしくお願いします。
吉良荘にしおの案内人ようさん
船長日記 池田寛親自筆本
愛知の輝く人々
ふるさと散歩道
一色の民話
漂流の記録
鈴木太吉の船長日記
絵 中根正治
千石船200年目海の男 「船頭重吉の会」
会長 水野克宣氏
村松澄之氏
会員 平野陽三