前回の続きになります😊

 

 

 

 

日本書紀』が伝える神武天皇即位の日を新暦に換算して紀元節2月11日:現在の建国記念の日)、明治天皇の誕生日である11月3日天長節(現在の文化の日)として祝日に設定した意図についてでした。

 

 

 

 

 

私は次のような授業を展開しています。

 

 

 

 

私が勤務する高等学校では、日本史教科書に山川出版社『詳説日本史』を採用していますが、まず授業で生徒に教科書から江戸時代に存在した征夷大将軍を全て探させています。

 

 

 

 

江戸時代の将軍は全部で15人15代)いますが、この知識に関しては中学校程度のものです😅

 

 

 

 

予め15人全てを知っている生徒もいますし、そうではない生徒もいますが、大切なのは15人の将軍の名前が全て教科書に書かれてある、ということなのです。

 

 

 

 

教科書から15人の将軍探しが終わったあとで、今度は江戸時代における天皇教科書から探させます。

 

 

 

 

江戸時代には当然ですが京都天皇がいて、朝廷の最高権威者として君臨していました。

 

 

 

 

征夷大将軍という官職を武家に与えるのは天皇ですから、江戸時代における将軍名が教科書に全て記載されているということは、江戸時代に在位した全ての天皇名が記載されていてもおかしくはないからです。

 

 

 

 

しかし、教科書には天皇家略系図が記載されてはいますが、教科書の本文(欄外を含め)からは江戸時代に在位した天皇の全てを見つけることができません。

 

 

 

 

江戸時代、徳川幕府は天皇・朝廷がみずから権力をふるったり、他大名に利用されることのないよう、天皇や公家の生活・行動を規制する体制を採用しました。

 

 

 

 

天皇は幕府が制定した法律に支配され、京都には天皇を監視するためのさまざまな機関・仕組みが構築されました。

 

 

 

 

天皇はみずからの家臣である藤原摂関家武家伝奏天皇の家臣である公家から選出)によって朝廷内部から監視され、さらに幕府が設置した京都所司代によっても監視されるなど、幕府の厳重な監視下にあったのです。

 

 

 

 

幕府は朝廷(天皇)を表面的には敬う姿勢を示しながら、陰では朝廷が目立つことのないよう、彼らの力を抑制する政策を行っていたわけです。

 

 

 

 

 

しかし!

 

 

 

 

 

 

1867(慶応3)年12月9日王政復古の大号令が発せられ、江戸幕府の260年以上にわたる歴史に終止符が打たれることになります。

 

 

 

 

江戸幕府を倒した新政府は、将軍はもちろん、朝廷の摂政・関白も廃止して、「天皇のもとに」新たに総裁議定参与三職を設置する決定を行うのです。

 

 

 

 

ここでついに日本の支配者が将軍から、天皇に代わるわけです。

 

 

 

 

天皇を中心とした中央集権国家体制の構築を推進した明治国家は、五箇条の誓文を公布するなど、諸外国に向けて天皇を首長とする新政権の存在を積極的にアピールしています。

 

 

 

 

では国内に向けては、どのような政策を採用することで天皇の存在を浸透させようとしたのでしょうか

 

 

 

 

日本の統治者は将軍」という認識から、「日本の統治者は天皇」という認識への転換をはかるための方法…。

 

 

 

 

その1つの政策が、天皇に深く関係する日を文明開化の象徴である太陽暦における祝日とすることで、天皇の存在を強く国民に認識させるというものでした。

 

 

 

 

 

 

祝日があると、今日は何の日だろうかと思いませんか

 

 

 

 

祝日は学校や仕事が休みになりますから、国民の多くにとって有り難い日ということになるはずです。

 

 

 

 

この有り難い休日を与えてくれたのが天皇であるということになるのです。

 

 

 

 

こうして国民は、天皇という存在に対する認識を深めていくことになります。

 

 

 

 

江戸時代においては、その存在が目立たなかった天皇

 

 

 

 

この天皇を擁立した薩摩長州を中心とする明治新政府は、天皇という存在を国民に深く認識させるべく、天皇に関係する日を祝日としました。

 

 

 

 

明治国家は実に巧妙な手段を使って、国民に「天皇」を根付かせていったのです。

 

 

 

 

 

こうした歴史を学ぶことは、現代を生きていく上でとても役に立ちます。

 

 

 

 

権力者は何を実現させるべく、どのような政策を推進していくのか。

 

 

 

 

私たち国民は、常に国の政策に関心を持っていなければなりません。

 

 

 

 

為政者の真意を探ることは、国民生活を送る上で重要なことだからです。

 

 

 

 

みなさんは、どう思いますか❓

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