前回の続きになります。
第一次世界大戦を契機にして、「国のシステム」が大きく変化した国が存在する。
この「国のシステム」変化が、日本の米騒動につながっている。
その国とはどこであったのか❓
ということでした。
正解は、ロシアです。
第一次世界大戦が長期化する中で、ロシアでは1917年にロマノフ朝支配と大戦継続に反対する労働者・兵士による革命が起こります。
ロシア革命です。
ロシア革命とは、1917年3月(ロシア暦2月)の民衆蜂起(3月革命)に始まり、11月(ロシア暦10月)のボリシェヴィキ(ロシア語で多数派を意味する。のちの共産党)による権力奪取(11月革命)に至る政治的・社会的変動をいいます。
ロシアのロマノフ朝は、1917年の革命の中でニコライ2世が退位し、ロマノフ朝支配が終わりを告げます。
こうして世界で初めての社会主義国家(のちのソヴィエト連邦)が誕生することになりました😲
レーニン率いるソヴィエト政権は、1918年にドイツ・オーストリアと単独講和を結んで戦線から離脱してしまいます。
ちなみに、第一次世界大戦の影響で、ドイツ・オーストリアの両国は、国のシステムが変ってしまいました。
ドイツでは国内で労働者による武装蜂起が起き、ホーエンツォレルン朝が崩壊します。
そして、ドイツではワイマール共和国が誕生しますが、わずか14年間でナチスによって倒されてしまいます。
オーストリアも第一次世界大戦の敗戦によって、長期にわたり権勢を誇った名門王家であったハプスブルグ帝国が崩壊します。
戦争には、その国が持つそれまでのシステムを変えてしまうほどの力があるのです😲
第一次世界大戦において、ロシアと同盟関係にあったイギリス・フランスなどの連合国は、東部戦線(中央ヨーロッパから東部ヨーロッパ)の崩壊と社会主義国家の誕生を恐れ、ロシアに干渉戦争をしかけ、日本にも共同出兵を促します。
日本は、欧米列強からの共同出兵の提唱を受けて、シベリアに派兵を決定します。
シベリア出兵です。
この日本政府によるシベリア出兵宣言によって、商人などが戦争による特需(とくじゅ:特別需要のこと)における物価高騰を狙い、大戦景気で米価が上昇している中で、米の売り惜しみや投機的買占めを行ったのです😲
この結果米価が急騰し、米騒動へとつながっていくのです。
「投機(とうき)」とは、将来の価格の変動を予想して、現在の価格との差額を利得する目的に行われる商品の売買のことです。
米騒動の原因は、いままで述べてきたように様々な要因が絡み合っています。
①大戦景気による物価上昇に伴う米価上昇
②寄生地主制下における農業生産力の停滞
③シベリア出兵に伴う米の投機的買占め・売り惜しみ
上記のような事象が、人々の食生活の基盤となる米の値段をつりあげ、ほぼ全国にわたる民衆蜂起となって、当時の寺内正毅(てらうち まさたけ)内閣を退陣へと追い込んだのです。
米騒動という歴史的事象から、様々な歴史的事実に触れることができます。
やはり歴史は「なぜ」から始まる学問である、と私は思っています。
授業においても、ただ教科書を教えるのではなく、歴史の「なぜ」を生徒に考えさせることが大切である、と私は確信しています。