『NUTRIENT POWER―HEAL YOUR BIOCHEMISTRY AND HEAL YOUR BRAIN』(Skyhorse Publishing, 2014)

著者:William J. Walsh

chapter7 autism(自閉症)

98ページ

※日本語訳は引用者が行いました
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この本は自閉スペクトラム症とADHDの原因最新の治療方法について書かれています。予防方法についてはこれまでに掲載した『発達障害の原因と発症メカニズム』(黒田洋一郎)の第8章と第9章(2020/12/29〜2021/1/15に掲載)を、具体的な治療方法については『発達障害を克服するデトックス栄養療法』(大森隆史)心身養生のコツ』(神田橋條治)p.243〜246(2023/10/11のブログに掲載)をお読みください。
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症状と特徴

昔から「一人の自閉症の子供に出会ったなら、一つの(新しい)自閉症例に出会ったことになる」と言われているように、自閉症の症状や特徴は子供によって大きく異なる。たとえば、多動の人もいれば、不活発な人もいる。完全に言葉を話せない人もたくさん居るが、かなりよく話す人もたくさん居る。気性の激しい人もいれば、とても穏やかな人もいる。自閉症の人の約30%は脳波に異常があり、発作の傾向がある。

こうした個人差はあるが、一般的に主に次の4つの領域において症状や特徴が見られる。

社会性の障害:たとえば、他人に興味が無い、抱っこされたり抱きしめられたりすることに抵抗する、自分の世界に入り込むことを明らかに好むなど、社会的スキルが非常に乏しい状態。

言語の障害:発話をしない、発話の目立った遅れ、会話を始められないまたは続けられない、他の人の音を繰り返す傾向(おうむ返し)、会話における異常なトーンまたはリズム、表現する語彙が非常に限られている、など。

行動の障害
・身体を繰り返し揺する、回転させる、手をぱたぱたさせる、などの繰り返しの行動。
・決まりきった行動、または反復的な動き。
・全くあるいはほとんど目を合わせない。
・特定の物への執着(強迫的な関心)、たとえば回転するおもちゃを眺めている、車の車輪の回転に固執する、おもちゃの部品を思いもよらない方法で使用するなど。
・変化への対応力の欠如。
・接触や光や音への過敏性。 
・通りに跳び出すなどの衝動的な行動。

認知機能の障害:新しい知識や技能の習得の遅さと、知識を日常生活へ適用することの苦手さ。

加えて、自閉症と診断された子供は、高い割合で、免疫機能が弱い、重度の便秘、食物アレルギー、腸内での酵母菌の異常な増殖、有毒金属に対する感受性が高いなど、重大な身体的問題を抱えていることがある。こうした問題は、酸化ストレス、免疫機能の不全、解毒機能の障害など、広い意味での生理的問題に分類される。