『発達障害を克服するデトックス栄養療法』(阿部出版,2018)

著者:大森隆史

はじめに

1〜5ページ
.....................................................................

はじめに

 現在、発達障害の研究はアメリカが中心です。最近では、発達障害の発症要因は遺伝的なものだけでなく、有害重金属である水銀・鉛などの環境汚染物質が子どもたちの発達に影響を与えているとする論文が増え続けています。
 一方、日本では有害重金属の研究は著しく減少し、遺伝子レベルの研究を目指す若い研究者が増え、発達障害の原因遺伝子を発見することに集中しています。
 そして、発達障害の子どもたちに対する治療は、子どもたちが将来、社会的に自立できるようにするための教育、いわゆる「療育」が中心となっています日本におけるこの状況は何年も変わっていませんこれでは発達障害の根本的な解決にならないのではと危惧しています
 私は工学部で化学を研究した経験と臨床医であることを生かし、自ら考案したデトックス栄養療法(2018年8月に商標権取得)を5年前から発達障害の子どもたちの治療において実践しています。
 デトックス栄養療法とは、体内に蓄積された環境汚染物質である有害重金属などをデトックス(排泄)する引き算と、健康を維持するために欠かせない必須ビタミンやミネラルを補給する足し算を組み合わせた治療法です
 具体的には、発達障害の子どもたちの脳神経の状態を推測するために、毛髪ミネラル、尿中有機酸などの検査を行って分析し、よくない影響を与えている有害物質を排泄し、その後それぞれの子どもたちに必要な栄養素を補給していきます
 この治療過程において、子どもたちの症状や治療開始年齢の違いにより、改善のスピードは異なりますが、ほとんどの子どもたちそれぞれに好ましい変化が現れています。時間はかかっても、少しずつ言葉を身につけ、感性が豊かになっていく子どもたちを見ていると、発達障害の子どもたちとご家族の皆さんに、この治療が効果的であることを何としても伝えたくなります。
 以前、「子どもの発達が遅いのでは?」と心配され病院を訪れたが、「まだ小さいので様子を見ましょう」と医師に言われるまま1年経過し、その後、再度受診したら「自閉症ですね」と言われ、とてもショックを受けたと私に話してくれたお母さんがいらっしゃいました。このことから言えるように、少しでもわが子に心配なことがあるなら、まだ幼い場合でも医療的見地から原因を見つける努力をすることも必要なのではないでしょうか。
 本書は、私が5年以上にわたってデトックス栄養療法で子どもたちをサポートし続けてきた経験をもとにまとめたものです。2014年に出版した「発達障害を治す」(幻冬舎)では、 海外を中心にした多くの文献から、発達障害発症のメカニズムや治療の重要性をまとめました。主に医療従事者、保育関係者などの医学知識を保有する専門家向けに書いたものであったため、一般の方には少し難しかったかもしれません。
 そのことを踏まえ、本書では、実際に発達障害の子どもを抱えたご家族の皆さんに向けてイラストや図を多用し、発症のメカニズム、要因から検査、治療方法と流れが分かるようにまとめました。さらに、5年ほどの間に、実際に治療を受けられたご家族の皆さんからよく質問された事がらについても解説しています。また、発達障害治療のもう一つの柱といえる療育との関係についても説明しています
 より深い理解を得ていただけるよう、項目ごとに関連する他の項目について、その番号を章の最後に記し、関連項目もあわせて読み進めていただけるような構成にしています。
 私は臨床医であり、普段は成人患者向けの治療をクリニックで行っていますが、小さな子どもを持つご家族のために、発達障害専門のサポートもしています。そこでは、それぞれの子どもたちとそのご家族にあった最適な方法で、デトックス栄養療法を実践していただいています。また。少人数でのセミナー開催も検討しています。
 本書最終ページには私へのメールアドレスとホームページアドレスを記載しましたどうぞホームページもご覧いただき、メールでご相談をいただきたく思います
 本書が子どもたちの「明日へ架ける橋」となり、子どもたちとご家族の未来がより輝きを増していく端緒になることを願っています。
 最後になりますが、私と共に三人四脚でオリジナルサプリメントを用いたデトックス栄養療法に取り組んできた子どもたちとご家族の方々をはじめ、日々の診療、カウンセリングに従事してくれているスタッフ、家族へも感謝します。

 2018年初秋                                                 
  大森隆史

※引用者注―発達障害の根本的、実践的な治療法が書かれている良書だと思います。本文をすべてブログに掲載することはしませんので、興味のある方は購入してお読みください。