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※この本(『発達障害の原因と発症メカニズム』)には発達障害の発症のメカニズムと予防方法が書かれています。実践的な治療方法を知りたい方は『発達障害を克服するデトックス栄養療法』(大森隆史)、心身養生のコツ』(神田橋條治)p.243-246 (2023/10/11のブログに掲載)、『発達障害の薬物療法』(杉山登志郎)、療育の方法を知りたい方は人間脳の根っこを育てる(栗本啓司)、もっと笑顔が見たいから』(岩永竜一郎)も併せてお読みください。
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『発達障害の原因と発症メカニズム』の本文をすべて載せ終わりました。専門的で難しい内容と感じられたかもしれませんが、本書で述べられていることを要約すると次のようなことになると思います。


 • 発達障害は健常者と明確に区別できるものではなく、健常者と発達障害傾向の人(発達障害グレーゾーン)と発達障害の人は連続的に繋がっている(自閉症スペクトラム指数(AQ)や対人応答性尺度(SRS)によって測定できる)(第2章)

 • そのため、発達障害であるかどうかの診断は、特に境界域にある人の判断は難しく、なおかつ診断基準(DSM)が曖昧な表現で書かれているので、経験の少ない医師は誤診をする可能性がある。経験豊富な医師にかかることが重要である。(第2章)

 • ここ数十年の間に発達障害の人の数は明らかに増加している。米国では発達障害の増加は、診断基準の変更によって診断される人の数が増えただけなどの「みかけの増加」に過ぎないのではないか、という論争があったが、厳密な疫学調査ではやはり増加していることが明らかになった。純粋な遺伝性の疾患ならば数十年の間にこれほど増加するはずはなく、発達障害の増加には環境要因が影響しているはずである。(第3章、第4章)

 • ここ数十年の遺伝子研究によって、発達障害は明確な原因遺伝子があるわけではなく、多くの関連遺伝子(ADHDは数十、自閉症は数百の関連遺伝子)と環境との相互作用によって発症することがわかった。つまり、発達障害の遺伝子的な「なりやすさ」は人によって異なるが、発症するかどうかは環境の影響が大きい。(第4章)

 • 発達障害では、社会性やコミュニケーションなどに関わる、脳の中で最も高次機能だけが障害されている。この高次機能の獲得には、脳のさまざまな領域を繋ぐ長い神経回路の形成が必要である。この神経回路は脆弱で、環境汚染物質の影響を最も受けやすい。(第5章、第6章)

 • この発達障害に関わる脳の高次機能を担う神経回路の形成《脳のニューロン(神経細胞)の増殖・発達》が最も盛んな時期は、胎児期から4〜5歳くらいまでである。そのため、その時期には発達障害の原因となる(= 脳の神経発達を阻害する)農薬、水銀や鉛などの有害重金属、PCB類を含む食品はできるだけ食べないようにするのがよい(第7章、第8章、第9章)

 • たとえ発達障害を発症したとしても、4〜5歳くらいまでに治療・療育を行えば発達の遅れを取り戻しやすいため、早期発見、早期治療、早期療育は重要である。
(第10章)

いかがでしょうか。気になった箇所があれば、その章に戻って読み直すことをお勧めします。


次回からは実践的な治療法を載せていきます。
まずは、神田橋條治医師の『心身養生のコツ』p.243〜246を載せていこうと思います。