弘法大師・空海が日本にもたらし、現在真言宗の常用経典
になっているのが理趣経である。正式には大楽金剛不空真実
三摩耶経と言う。空海が私の前世ではないかと思っていた
密教僧・不空三蔵の訳である。密教チームは誰かが現世に
出る時、他の者がスピリチュアル・ガイドに回るので、
あり得る話である。
理趣とは悟りの真実の智慧のことわりの事だ。大日如来が
金剛サツタなどの菩薩たちに教えを説く。本文は17章から
成る。第1章は人間存在の実相は情念の実在であるとして、
男女の性愛関係の快楽シーンを17段階に分析して、その
すべてが清らかであると高唱しているのである。
「妙適清浄句是菩薩位」
妙適とはサンスクリット語でソラタ。
性愛の快楽のことだ。大楽三昧の金剛サツタもソラタの意味
だ。私たちは安楽と利益を願って、その心は休むことがない。
男と女もまったく平等に快楽を得るのは自然なことである
というわけだ。
日本人にとっては、当たり前の事だ。それを空海ゆかりのお寺
で毎日唱えられている。世界的に見ると、腰が抜けるほどおかしな
国かもしれない。日本民族の集合的無意識に属する古事記、
イザナギ・イザナミの国生み神話まで遡ってみても、男神と女神
は平等である。男の凸と女の凹を合わせ、協力し合って国を産む。
アメノウズメ命は岩戸の前で乳房をはだけ、ホト(女性器)を
丸出しにして舞い踊り、神々が大笑いする。その
楽しさにつられてアマテラスが覗き見る。性に対してはまことに
大らかな国民性がある。蛇足ながらトとは古代語で男女の性器を
表す。「嫁ぐ」というのはホト(女性器)のトをツグ=継ぐ・塞ぐ
という意味である。
神道では巫女が大きな役割を担っている。女性の持つ霊力が
神通力だった。女性独特の直観力が神々の資格であり、それを
具現化したのがアメノウズメの裸踊りだった。だからこそ日本人は
ソラタだよねーとすぐに納得出来るのである。