気が付くと、このブログはいつ頃からか私しか記事を更新していない。

「歴女同盟」というのは盟主ごまめさんの命名であり、

ふれこみが「新選組本のライターだった私達のブログ」である。

 確かにね。そうではあったかもしれない。

であるから、そこに興味をもって当ブログを訪問して下さる方々がいると思われる。

しかし、昨今は「何だしょうもない、新選組の記事はちっともないし、

書いてあったとしても大したことじゃない」と失望されているはずである。

 

 研究文や新しい情報を求めてきて下さる方には申し訳ないが、

私はもはや研究から離れて久しいし、今思い返すと

研究などとはおこがましい。

ただただ歳三や新選組に肉薄したい一心であちこち出かけていき、

史料に当たり、読めないところは人を頼り教えを請いながら

気ままに書き散らしていた、というのが正しい。

請われて締め切りに追われて書いていた、というのもまた事実ではある。

貴重な出会いをしたし、楽しかったし、しんどかったりしたけれども

実に良い経験をさせて頂いた。

 

 今時はなんでもネットで、欲しい情報はすぐ拾える。

昔は何かを知ろうと思えば、図書館や史料館で

膨大な量の検索カードを繰るという作業が先ずありき、だった。

 もはや検索カードの棚はあってもほとんど誰もその前に立っていない。

利用したこともないという若い人もいるのではないかしらん。

その引き出しは、開けると独特の饐えた匂いが漂う。

一瞬広がるこの鼻をつく匂いの中に、未知との出会いの一歩があった。

およそ基礎的とか、これは絶対外せないという書物はすぐわかる。

検索カード自体が手垢のついた、と形容するのがぴったりで、

カードの角が柔らかく丸まっている。

検索する視線にさらされて、何度もピックアップされるので

カード自体が折れたり、幾分くたびれているのだった。

角がとがってカード自体も固く張りのあるものこそ、

あまり人の目に触れずにスルーされ続けている証拠で、

実はそういうものにこそ、何か未知の事実が記されているのではないか

と心が躍った。

 検索方法は進化して実に簡単にスピーディになったのは喜ぶべきこと。

図書館に行かずとも欲しいデータがネット上で公開されている事もあるので

部屋に居ながらすぐに情報にたどり着くのも可能になった。

ではあるが、簡単に情報に行きつける分、

貴重さもまた損なわれて、軽く扱われている気もする。

 

 若い人が知らない昔を懐かしんで、どうだ、大変だったんだよ、

などと上から目線な事を書きたいのではなくて、

時間も手間もかかってもやめられなかった自分が、

今書かないのはなぜか、という心情の吐露である。

 

…おそらくは、若い頃に一時全身全霊で

向き合った歳三や新選組に対しては燃え尽きてしまったのかも?

今はたとえれば彼らは空気のようなもので

あるのが当たり前、なじみ過ぎてことさら意識して能動的に

動けなくなったというべきか。

 

熱は冷めても愛情は残っている。

それってまるで年取った夫婦じゃないか?

いやいや、夫よりも付き合いは長いのよ(笑)

 

 

であるので、ブログをやりたいと13年前に盟主ごまめさんに誘われた時、

私は新選組は書かないかも、とすでに言っていたのだった。

その分盟主ごまめさんは新選組ネタを書いてくれる「はず」であったのだが、

どういうことか、ここ暫く(いや数年)記事更新が滞りっぱなしである。

 

 ブログを開始して13年目である。

えええ?そんなになるのびっくりと我ながらビックリした。

そう思い始めると「新選組本のライターだった私達」と

標榜するこのブログの在り方が、実態と合わなくなってきているので、

ちょっとしんどくなってしまった。

 

 筆を折るか。

暫く離れようと思った昨年は夏以降全く更新しなかった。


 

 歴史ネタに限定しているので、

ふと思った事でも「裏」を取らないと書けない。

若い頃にならいざ知らず、老化著しい脳みそは

覚束ないことばかりで、自信が持てない。

確認のために本をひっくり返したり、図書館に行くわけだが

そこから「連鎖」して新たな発見や出会いをするのは楽くはある。

だが、まったくの不発、釣りでいう「ボウズ」で

がっくりすることも多い。

 別に締め切りがあるわけでもなし、書かねばならないと思うほど

ブログに傾注しているわけでもない。

そうなると一気に疲労感が押し寄せるようになった。

段々と感受性も老化し始めているのだろう。

 

 そういうことを敢えてやらない、と決めたら、

それはそれで、楽なんだなよなあ。

 

 しかし、楽だと言いながら、これでよいのか、私。

 

 気ままに無責任に書いたり書かなかったりの13年だが、

それはそれで生活の一部になっていたのだ、と改めて思う。

 

 では今後、何も書かないで人生過ぎていくか、いけるか?

 

 いや、それはない。

 

 目下色々考え中である。

 

 

 しばらくは今まで同様、不定期にあれこれ

好き勝手に書き散らすことをお許しくだされ。

 

 アクセス数の多い記事は当然のことながら、新選組ネタである。

 

 盟主様にこそ新選組ネタを書いていただきたい。

 

「同盟」と謳っているのなら、なおさらである。

 

 モヤモヤを書いてみて、少し気が晴れた。

であるので、次回への予告がてら

手元の図録から転載させていただき一つ絵をアップしておく。

 

 

     (江翠)