同期会 | 給食のおばさん

給食のおばさん

新米・給食のおばさんが見た、いまどきの学校給食の現場へようこそ。
毎日、ドジっては落ち込み、舞いあがりながらも、楽しく働いています。
事実に基づいた創作エッセイです。
エピソードは実際の出来事をもとにしていますが、
登場人物や施設、団体は架空のものです。

同期入社の人たちと、仕事の後、待ち合わせしてお茶した。

彼女達とは、入社時の2日間の研修と健康診断で会ったきりだったが、

ぞの後、それぞれの職場でどうしているのだろう?


私より年齢が上で、大学生の子どもが2人いる中村さんは、
植生第一中学というところで働いている。

ここは、隣にある植生小学校との親子給食だ。
親子給食とは、給食を作る学校=「親」、

それを配給される学校=「子」という仕組みで、
1校で2校分の給食を作ること。
少子化で生徒数の減った学校や給食設備が弱い学校の給食を統合して、効率化を図るシステムらしい。
「最初に小学校の給食を作って配缶して、トラックで運んで行くのよ」
「へえ~」
「週に2回くらい、小学校出張当番がまわってきてね~。けっこう大変だよ」
「小学校と中学校じゃ、味が違うんでしょ?どうしてるの?」
「うちの中学の栄養士の先生が献立作ってるんだけど、小学校の方じゃ、
カレーやマーボー豆腐が辛すぎるって言われるね」
「小学校の栄養士の先生は何してるの?」
「それがさー、2人の先生があんまりコミュニケーションとれてなくて…、
あ、チーフに先生の話とか、外でするなって言われてるから、ここだけの話にしてね。
小学校当番で行くとさ、小学校の先生に、中学の先生のことですんごく愚痴られるの。
うちらはさ、ただ言われた通りに作るだけで、特に私なんかまだ下っ端だから、
愚痴られてもどうしようもないんだけどね~」

下っ端と言いつつ、すでにベテラン給食のおばさんの風格が漂っている。


大学卒業後、フリーターから給食のおばさんになった梶原さんは、
給食のおばさんというより、「お姉さん」。
働きながら栄養士の資格をとりたいというがんばりやさんだ。

英洋小学校というところで働いているが、ここは地域でも評判の新築校。
給食室も最新式らしい。
「ドライシステムなんです。研修でちょっとやりましたよね。
水を一滴も床にこぼしちゃいけないという…」
「え~!どうやって洗い物とかするの?」
「シンクがドライ仕様っていうか、こぼれにくい形にはなっているんですが、
それでも気を使いますよ~。
チーフが厳しくて、特に午前中は、ちょっとでも水をこぼすと叱られます」
「こぼしちゃったものはどうするの?」
「水は流しちゃいけないから、タウパー(紙)で拭き取ります」
「でも、きれいなところで働けていいね。休憩室なんかもきれいなんだろうな~」
「そうですね~。トイレもついてて、便利ですよ」
「いいな~、うちなんか、トイレは外よ!外!面倒くさいから、つい我慢しちゃうの」
「それ、身体に悪いよね」
「トイレ、面倒だよね。給食室出る時白衣を脱いで、トイレに入る前にズボンも脱いで。
手を洗うのも、トイレを出る時、給食室に入る時、2回も洗わなきゃいけないし」
「ネットで見たんですけど、Tシャツも脱いで下着姿にならなきゃいけない学校もあるらしいですよ」
「え~!!冬なんかどうするの?寒そう~」
給食のおばさんのトイレはかなり大変なのだ。


中村さんの職場のチーフは30代前半の男性。
「マスクしてるとね、ちょっと福山雅治に似てるのよ。背、高いしね」
「きゃー、いいじゃないですか」
「だけど、マスクをとるとね・・・・がっかりしちゃうんだな~。
口と顎のラインが違うのよ~本物と!
だから、スタッフはひそかに“上だけ福山”と呼んでるの」
「あはは、それ、笑える~」

若いチーフもおばちゃんたちにかかると…なんだかな。


数日後、その“上だけ福山”チーフが、なんと大石小に研修にやってきた。
私は笑いをこらえるのに必死だった。
だって本当に、マスクしてるとカッコいいのに、とるとがっかりしちゃうんだもの・・・。


同期といっても、年齢も環境もまちまち。

でも、同じ「給食のおばさん」という仕事でつながっているから、心強い。

話が盛り上がって、楽しいひとときだった。

みんながんばっているんだな~。私もがんばらなくちゃ。