周知のとおり、相居飛車戦の王道は矢倉、角換わり、相掛かり、横歩取り、雁木である。そのため私が好んで指している嬉野チックな力戦は傍流、B級戦法と言えよう。とはいえ個人的に愛着をもって楽しく指しているのは嬉野や鳥刺しなので、たまに、この戦法批判をされると心が痛むのもまた事実。冒頭に挙げた五つのメジャーな戦型は、どちらかというと上級者から高段者向けなのではないだろうか。覚えなければならない定跡や細かい変化手順が、これらの戦型には膨大にあって、中級者位の実力である私には到底入り込めないものがある。
 ただ、前回の記事でも取り上げた角換わり早繰り銀や今回振り返る横歩取り·後手4五角戦法は、なぜだか以前から、ちょっと引っ掛かるところがあり、数十局に一局程は採用してみたくなる。おそらく序盤早々からの期待感、勢いある攻めっ気が爽快に感じるのだろう。とはいえ比較的、形が分かりやすい早繰り銀に対して、それとは丸きり戦型も世界観も異なる4五角は、頭の弱い私には基本的な変化が、なかなか覚えにくく、大きな苦労を感じている。まさに、これから…。
 将棋ウォーズで、この戦型になった時(盤面に△4五角放った、その瞬間!!)出て来るのが、谷川浩司十七世名人の、とてもカッコいいエフェクトである。
※以下は、かなり前に対局した10秒将棋通常戦[2022年11月11日夜9:43〜、対二段の方]。
 私が手早く指せるのは横歩取りのオープニングから、この銀打辺りまで。激しく、潔い、生き生きとした将棋世界である。
 △4五角のスペシャリストYouTuberというと、アマ強豪こいなぎさん。あと横歩取り得意なクロノさんも、▲先手番をもって、これを指された時に「ああ、シゴカクか」という感じで冷静に対処しておられたのが私は印象に残っている。エフェクト説明文にある通り、【先手が正確に受ければ切れ模様】(横歩取りは大概先手番有利という事がよく言われる)なので、ただでさえ横歩取りを指さない私にとっては、かなり厳しい道のりである事は間違いない。今の段階だと五回中、一回勝てるかどうか。
 10分切れ負けより10秒将棋のほうが攻めが繋がりやすいかもしれない。お相手の受けミスを待つのは良い事ではないけれど…。展開の楽しさ、痛快さは嬉野力戦を上回る!?いや、神経滅茶苦茶つかう戦型である。
 馬引かれて、どうかなーというのはあったけど、この歩の垂らしは感触良かったかもしれない。
 互いに即死しそうな展開になるのが相居飛車戦、特に横歩取りでは、あるある。ただ先に飛車打ち込める展開、攻め駒が何枚か相手の敵陣の急所に絡んでいく状態になると、かなりゴールは見えて来る!
 未熟な戦法理解ではあるけれど、この将棋に関しては、なんとか勝利する事(106手迄△後手勝ち)が出来た。充実した棋の対話。また機会あれば時折指してみたい。

【お知らせ;この一年間、断続的に記していった10秒将棋紀行ですが次回、第16回をもちまして最終回となります。いつも見てくださる方々に深く感謝です。ありがとうございます!最終回(※もしかすると一つ違う記事を挟んだ後に投稿するかもしれないですが今年度3月中には公開予定)も、どうぞ宜しくお願い致します。】