虐待を受けて傷付いた子供達へ。


私達スタッフは、クリスマスパーティーの準備をしてるよ。


宗教的な意味ではなく、みんなが楽しめて

いい思い出になるように。


軽度の情緒障害の子も、重度の子も、

みんなで幸せを感じられるようにパーティーしよう。


年末年始、

一時帰宅の許可の下りる子もいるでしょう。


その子達の喜ぶ顔、

早く見たいな。


年末は忙しいのと同じくらい楽しみもある。


全ての子供達が健全に愛情を受けて

大人になってほしい。

十何年も前の話。


母と父が喧嘩して、その家の子供二人を置いて、

母親のほうが家を出て行った。


父は子供達に、「お父さんと一緒にいくか?」と聞いた。


長男のほうは

「いかない・・・」と不安そうに言う。

次男は

「いく!」とうれしそうに言った。


長男は家を飛び出した。

何かを感じたそうだ。


少したって、家を振り返った。

家は、空高く燃え上がっていた。



父は次男と一緒に逝った。

ガソリンを全身に浴びて、家中ガソリンをまいて、

次男と一緒に炎につれられ空へ。




最近は特に、

心病む人が多いように思う。



子供達だけでなく、その親とも接触している

私は親がどんな精神状態なのか知る機会が多い。


統合失調症、双極性障害などが難易度が高い。



双極性障害を抱えている10代の母と面会した。


彼女はこのとき躁状態だった。


躁状態の彼女は声高々に

「子供を引き取る、

私本当に気分が最高!!」

と目をキラキラさせて言っていた。

でもその彼女自信に根拠はなく、

会話にも一貫性が感じられない。


少しでも私が「こうしてみようか?」と

提案(彼女からすると否定)しようもんなら

彼女はイライラしはじめ大声をあげて怒鳴り散らす。


躁状態の典型だった。



統合失調症の20代の母は

被害妄想が強く健忘を伴う。

やはり言ってることが矛盾していて

会話に一貫性がない。




彼女達に共通しているのは、

社会的立場が弱いということ。

そして精神的にも弱い。

それを批難はしない。


精神的に弱いのが人間。

そして支えあうのが人間。


もし、愛されるべき存在の子供を守れない親がいたとして、

世間はその親を批判し責めるだろう。

でも、

その前に批判し責める気力があるのなら、

少しでも手助けをする努力をしたら、

悲しい死に方をする子供も減るのではないか・・・?


いつも言うとこだけど、

悲しい子供を人事だと思っている人は多い。

そんな人達は、

実際事件が起きてからその親を批判する権利はない。

まこ「犯されました」


主治医「誰にですか?」


まこ「最初ですか?それとも二度目ですか?それとも・・・


主治医「全て話してもらえるかな?出来たらでいいよ」


まこ「一番最初は義理の父です。二度目は彼です。三度目は

彼の男友達数人です」


主治医「最初の人格はいつできたかな?」


まこ「・・・・・分かりません」


主治医「お母さんは知っているかな?」


まこ「知りません。知ってると思うけど、知らぬふりです」


主治医「最初の人格は誰かな?」


まこ「・・・・あおいです」


主治医「あおいさん、か」


まこ「・・・・・」


主治医「どんな人かな?」


まこ「・・・彼の友達が、

私を犯すとき、

いつも彼女が代わってくれました」


主治医「そうか・・・いつかな?」


まこ「・・・いつって?」


主治医「いつあおいさんは現れた?」


まこ「8歳の春です。桜の木の見えることで、されました。

辛かった・・・・・痛かった・・・苦しかった・・・桜の木は、

綺麗なのは、人の血をすっているから・・・」


彼女に初めて催眠療法を試した。

驚くほど詳細に記憶を引き出せた。

私はマジックミラーから

医師と彼女の会話の一部始終を観察していた。



まこ(仮名)15歳。


8歳の春。

桜の見える部屋で義理の父から性的虐待。

膣裂傷。当時、子宮内膜症発症。

実母気付かず。


9歳の春。

義理の父、実母、離婚。


10歳の春。

実母、別の男性結婚。

まこ、男性不信。男性は誠実で「まとも」であったが

まこ、懐かず。


14歳の夏。

初めての彼が出来る。

合意なしの性行為。所謂レイプ。

膣裂傷の古傷、再び裂ける。


出血止まらず病院へ。

レイプされたと言えずに処置。

医師感付く。

児童相談所へ連絡。

まこ一時保護される。


14歳冬。

児童相談所から帰宅。

まこ、彼に会いに行く。


そこで

レイプした男(彼)の同級生が集団で彼女をレイプ。


肛門裂傷、膣裂傷、帯下止まらず。

クラミジア陽性。

何日も嘔吐。


嘔吐物から精液検出。

大量の精子を無理やり飲まされたと推測。

まこ、それを否定。


ガンジダ発症。

急性胃炎。

子宮内膜症。


微熱続く。

健忘、離人感あり。


この施設に連絡。

受け入れ許可。


解離性同一障害であると診断。


8歳のときに人格ができて、

15歳までほとんど障害が出なかったケース。

彼女の中の人格の数、性格など詳しい事は

全く不明。


催眠療法にて、

彼女の治療開始の日である今日。


彼女が語ったことは、まこ基本人格が語ったとは

考えにくい。驚くほどの記憶の詳細。

初めての催眠療法でここまで語るのは逆に違和感がある。


それに、14歳の輪姦のことは

あおいが代わったと言った。

まこは健忘もある。


今日の催眠療法は、

きっと、まこ以外の人格が話したのだろう。


それが誰か、まだ分からない。


でも、「まこ」に成りすまし、

スタッフさえ欺く人格、頭のいい一番

厄介な人格であることは間違いない・・・。

昼下がりの気持ちのいい風。

この地域は晴れだった。ポカポカ陽気の

明るい空の下で、

土いじりをしている子がいた。


どうしたの?と声をかけた。


何も答えずずっと土いじりをしている。

というより、地面を掘っている。


「何が埋まってるかな?宝物かな?」

私は敢えて楽しそうに聞いてみる。


やっと彼女は答えた。


「お母さんに、もう一度会いたいの・・・」


彼女のお母さんは犯罪被害者で、

彼女の目の前で地面に埋められた。


「そのにはお母さんはいないよ・・・

他を探そう」


私がそう言うと、

彼女の手が止まった。

泣き出した。


お母さんはもういない。

それを彼女が理解してりことは明らかだ。


重度のPTSD。摂食障害。

140センチ前後の身長で

20キロ弱しかない彼女。


何年も何年も前に埋められた母を

今尚捜し求めて土を掘る。

もう一度、会いたいと・・・


こんな平和な空の下で、

今このときでさえ、世界のどこかで悲惨なことが起こっている。

そして悲しみが消えず背負わなければならない人がいる。


世の中はこんなに綺麗な空なのに・・・。

「猫を解剖しました」


「どうだった?」


「ステーキの肉より柔らかかったです。

あ、でも

肉なのに魚のような生臭い臭いがしました」


「・・・・どうやって殺した?」


「後ろから大きい石を猫の頭にぶつけました」


「そしたら猫は倒れた?」


「はい。それで頭に袋を被せて縛りました」


「猫は鳴いたり動いたりしなかった?」


「鳴いたり動いたりしました。でも、袋を被せた上から

また石で殴りました


「そしたらもう動かなくなった?」


「はい!だから!!やっと出来るって思って!

もぉ~~うれしくて!!」


「・・・そして猫を解剖したんだ・・・」


「はい!!」


「楽しかった?」


「はい。とても勉強になりました!」


「猫って・・・あなたと同じ、痛かったり苦しかったり

するんだけど、そういうことは考えなかった?」


「・・・・え?猫が痛いとか苦しいとか感じるって、

誰が決めたんですか?」



かずみ(仮名)11歳。


彼女は目を真ん丸くして、

本当に理解できないのであろう

猫の痛み苦しみを誰が決めたのかと

質問してきた。


私「・・・猫が決めたの」


かずみ

「・・・でも、猫が痛いって言ったのなんか

聞いたことないですよ(笑)」


私「あなた、自分が殴られて痛かったりしない?」


かずみ

「先生、今は猫の話ですよね?私が殴られて

痛かったりしないって、どういう意味ですか?

今は猫の話ですよね?解剖して・・・

猫は痛かったり苦しかったりするという話、

痛かったり苦しかったりするって誰が決めたかという

話・・・」


私「もういいよ。」


かずみ

「先生!!猫の話から私の痛み苦しみの話になって

もういいよ?何がいいのでしょうか?

私の痛みや・・・」


私「口を閉じて黙って!!!!!」


急の大声に彼女は黙った。

口を、

閉じて、

黙って。

彼女は、その通りにした。



彼女が重度の精神疾患をもっていることは

明らか。

度重なる奇行に

ついには猫を殺しその死骸をバラバラ(彼女曰解剖)に

するという凶行を行った結果、

児童相談所経由でここへ来た。


今の所、彼女の病名、その原因、

生い立ち、IQ、何もが不明。


特に何も感じなかった両親との関係

も、もしかしたら何かあるのかもしれない。

ある今は閉鎖された精神病院の話。



精神病院はどこも大体そうだけど、

閉鎖的だ。


その病院も例外ではなく、かなり閉鎖的で

外部との接触は一切禁止。


家族との面談は、許された時間、

許された場所でのみ。


かなり重度の患者を収容する病院で名高い。


その病院へ、研修で派遣された事がある。

主な仕事は精神科の医師による患者への治療の観察。


どんな精神疾患の患者にどんな薬を使うか、

どんな療法が有効か、どんな生活リズムを指導しているか・・


24時間張り付いて事細かくお勉強。


その中で、気付いたことがあった。



精神疾患の患者が人間として扱われていない・・・


その病院へ入院するのは大人ばかりだったけど、

精神疾患というものを背負っている人達は、

自分で正常な判断が出来ない。

まして

閉鎖的、精神疾患ということが加わると

尚更・・・助けなければいけない状態だと知る人もいない。



その病院は何か異質な感じがした。

純粋にいい人だと感じる看護師、医師も

いたことはいた。


でも、何かが引っかかった。


数年後。

その病院が内部告発され、

患者の家族、弁護団やマスコミが騒いだ通り、

その病院は閉鎖に追い込まれた。

当然だ。




その閉鎖病棟の中で、行われていたのは

人体実験・・・拷問・・・


起訴されても、最後の最後まで

「治療の一環」と知らぬフリをする院長。

そんな残酷な人間。


私は一応関わった人間として、

裁判に傍聴に行き、そこであの病院の実態を知らされた。


手足を拘束(縛る)することは、

現状的に多少しかたない部分もある。

人道的に見るとそうは思えない人も多いだろうが・・・


でも、あの病院はそうではなかった。

拘束なんてものじゃない。


両手両足を縛りつけ、

そこで行うのは新薬の投与。

全裸で導尿され、尿検査、糞検査、

血圧、脈拍、皮膚の色、

それを分単位で観察される患者。


何分後、苦しむ。

嘔吐した。下痢した。血便出た。

それを細かく記入。


結果。この新薬はこの病気には効果なし。

(許可の出てない薬を投与するのは法律違反)


他人に攻撃的になる患者へは拷問。


歯を・・・麻酔なしでペンチで抜く。

家族には暴れた拍子で・・と言っておけばいい。


厚い布団でグルグル巻きにし、紐で縛り、

何時間も放置。トイレもそのまま・・・

布団が汚れた。

患者は自分がされたことに気付かずに

「すみません」と謝る。


手足を縛り、熱湯風呂に入れ押さえる・・・

患者の言葉。

「熱い!!熱い!!」

精神疾患の患者は熱さは分かるらしい。


熱いスープを飲ませる。

精神疾患は熱いスープを

口に入れた瞬間熱いとわかるらしい。


憂さ晴らしに叩く。蹴る。


健忘が激しい患者は本当に忘れているのか

確かめる為同じところに何度も針をさす。

痛がり方をそのつど記入。

一度目普通。

二度目「痛い」と言う。

三度目また「痛い」

四度目「すごく痛い」

五度目皮膚が硬くなり針がなかなか刺さらない

「ぎゃっ」と言う

六度目 手足をバタつかせる


など・・・事細かく記入。



私は絶句した。本当にこれが人間のやることか?


精神疾患の人が痛み熱さ苦しさ・・・

そんな感情感覚を持つことが、

実験しないと分からないのか?

そんなこと・・・子供でも分かる。



新薬実験のほかに、どこまで耐えられるか?という

毎日のように行われていたことがある。





モルヒネ・・イヤ、ヘロイン投与。

麻薬だ。


ヘロインを注射して、時間、症状、禁断症状を調べる。


どんな快感か?

何時間も勃起しっぱなし

気分がいい

心地よい

快楽で身を包んでいる・・・


どのくらい気が狂うか?

激痛と激しい悪寒

皮膚の中で虫が動き回っている

関節の間に虫が入り込んだ

蛆が大量に体を溶かす



被害者の彼らは今も

肝不全腎不全を含む後遺症で苦しんでいる。



精神疾患。

それは、人間の病気。

人として生きることになんら恥じる必要のない病気。


治す立場の人間は治す義務があり、

病気に罹った人間は治す権利がある。


私は、

その病院での「異質な感じ」を

追求することをしなかった自分に、

今も罪悪感と責任を感じている。


そして、

人として生きることを、ずっと忘れない。

重度の統合失調症の母。

その長男7歳。


二人で生活保護を受けて細々と生活している。


この二人家族の長男のほうと

児童相談所であってから

ちょくちょく連絡をとっている。


長男かずとくん。


かずとくんは7歳でありながら

非常にしっかりしている子。

7歳の幼い子とは思えないくらい

母を支えている姿が凛々しい。



昨日、かずとくんから連絡をもらった。

夜中の1時半だった。



時間が時間だけに私は緊張して電話をとった。


電話口にでたのは母だった。

母「辛いの・・・一家心中したらいけない?

  私これから子供殺すわ。私は精神疾患だから

  減刑されるんだよ・・・フフフ・・・」


緊張した。すごく不安になった。


この家族の住んでるところから非常に離れている。

一体どうしよう・・・


ありきたりの言葉でなだめる事しか出来ない。



電話から声が聞こえる・・・

叫び声・・・

母「かずとぉぉ!!!

  何してんだよぉぉぉ!!!

  ふざけんなぁぁぁぁ!!!

  ○×△□・・・」 


甲高いヒステリックな叫び声。

かずとくんの母は平常心ではない事はあきらかだ。



緊張が走る。

必死になだめる。

でも私の声は届いてない。


電話口にかずとくんが出た。


かずと「もしもし、先生・・・ママ、今少しおかしいの。

    普段は先生の事大好きだよ。今はお酒飲んでるから・・・」


私「大丈夫だよ。分かってる。これはね、病気のせいだからね。

  絶対治るから、心配しなくていいからね。

  かずとくんは叩かれたりしてない?」


かずと「うん」


私「そう。ママはあなたが大好きだからね。

  今は少しお酒飲んでるだけだからね。もう休もうね」



ひぃ!ひぃ!コン!コン!

過呼吸の発作だ。

彼女が発作を起こした。


かずと「ママ・・・おかしくなってる!どうしたらいい?」


私「紙袋あるかな?ビニール袋でもいい。

  それを渡して、呼吸をゆっくりさせて」


かずと「うん」


・・・・・・・・・


かずと「渡した。どうしたらいい?」


私「その苦しそうな状態が5分以上続くようなら

  救急車を読んで」


かずと「・・・。救急車よんだらいけないの。

    近所の人がママの悪口言うの。救急車なんか呼んで!って

    ママが悪くなっちゃう・・・でもママが・・・どうしたらいい?

    先生・・・どうしたら・・・いい・・・?



涙が出そうになった。



近所の人が悪口を言っているかどうかは分からないけど、

本当だとしても、そうでなくても、

かずとくんの苦しみ不安が伝わってきた・・・



私「かずとくん、救急車は呼んでいいんだよ。

  ママは調子悪いんだから。調子悪い人のための車だからね

  5分以上続くようなら絶対呼んでいいからね


かずと「あ、ママいま倒れた。動かない」


私「鼻に手をあてて息してるかどうか確かめて」


かずと「息してる」


私「首のへんを楽にして。ボタンとかあったらはずして」


かずと「首のへん楽にした」


私「ママは今日薬飲んだ?」


かずと「うぅぅん・・・飲んだ」


私「こういう調子悪い日はたまにある?」


かずと「お酒飲むとある・・・」


私「前救急車呼んで悪口言われたの?」


かずと「分かんない。でもママがそう言ってて

     辛い顔してたから」


私「そう・・・。今ママどうかな?」


かずと「同じ・・・寝てる」


私「お布団かけて、かずとくんも傍でゆっくり寝てね」


かずと「うん。先生・・・僕、ママと一緒に寝るね・・・」


私「何かあったらまたすぐ電話していいからね。

  そしてママがもっと調子悪くなったら救急車呼んでいいからね。

  それと、

  ・・・・少しでも恐い事があったりしたら・・・・

  外へ逃げなさい」




こんな事言わなきゃいけないなんて、

辛かった。

辛くて仕方なかった。



母は悪くない。

病気が悪い。



かずとくんの不安、苦しみ、

母を思う気持ち・・・

どれだけ幼い心で頑張ってるだろう・・・



業務外のため、

どうする事も出来ない自分が

ふがいなかった。


私は児童相談所と連絡をとった。

通院先の医師から

母の現在の近状報告もしてもらった。


子供にとって母と一緒にいることが一番であると

同時に、離れて暮らす必要もある場合もある。


悲しい悲しい現実。


全ての子供達の為に。

そう思いは変わらなくても、

どうしても体と時間が足りないふがいなさ・・・

自殺未遂の少女。

彼女の手記を見た。


小さい頃の事故がもとで、

少しの知能障害と左半身麻痺で、

障害者として生活している彼女。


彼女を支えるのは実のお母さん。

そのお母さんが再婚した。





ー彼女の手記ー


「私は喜んだ。

お母さんが喜ぶ顔が見れたから。

おとうさんはいい人だった。

やさしそうで、大きくて、守ってくれると思った。


でもおとうさんはあるひ、私が一人のときに

私の部屋へ来た。私のふとんの中へきた。

びっくりした。でもおとうさんだから一緒に寝ようと思った。


でもおとうさんは寝なかった。

私の体をトントンして、変なとこをナでてきた。


びっくりした。恐くなった。それを伝えたら急に

怒った。

殺す、と言われた。もっと恐くなった。


体の左が動かない。

恐い。

苦しい。


いきなり激痛。

大事な部分がすごく痛い。

あまりに痛くて叫んだ。

泣いた。右手で必死におとうさんを

どかそうとした。


その時、おとうさんの顔が見えた。

おとうさんじゃない。おとうさんは

こんなに恐くてひどい顔をしてる人じゃなかった。


やさしくて、大きくて、守ってくれるんだもの。

おとうさんは、私にこんな事しないもの。


おとうさんは、私とおかあさんを守ってくれるんだもの。


おとうさん・・・・

おとうさんなの?


やさしくて、大きくて、守ってくれそうで・・・

大好きだった。

楽しい生活になると思ってた。

色々ゆうえんち行くんだよって言ってたから、

それが楽しみだった。


でも

おとうさん。


痛いよ。

ずっと

ずっと

ずっと

痛い


痛くて、我慢出来ない。血まで出た。

きっとどこかケガしたんだ。

私の大好きなおとうさんは

どこ?


大好きなおかあさんと

新しいおとうさんと

ずっと笑って暮らせると思ってたのに。

あの日に戻りたい・・・」






以上、彼女の手記。


必死に覚えた漢字で一生懸命書いていた。

彼女は13歳で、少しの知能障害の子。


その純粋な彼女が信じて疑わなかった笑顔の生活。

喜んで受け入れた「おとうさん」。これからの未来。

その全てを奪った罪は決して消えませんよ。


おとうさん、だけじゃなく、人間として、

その資格があるんですか?



彼女を受け入れるかどうかか、検討中です。

この施設も受け入れ困難です。


私の体が一つだけじゃなかったらいいのに。

今日は施設の子供同士が喧嘩をした。


AちゃんBちゃんが

罵りあいながら殴り合いの喧嘩。

珍しい事ではない。


内容はごく普通の子供のきっかけと、言い分。


でも、

人を傷付ける、

人を罵る、などの残酷さを見せられると辛い。


仲介に入ると

私や他のスタッフまでもが

罵声を浴びる。


「殺すからな!全員レイプされろ!私はアイリーンだ!!」

情緒障害を持つ子達は過去に傷付けられている。

心に負った傷を相手に負わせる事もある。



ちなみにアイリーンというのは

有名な連続殺人犯の女。


自分はアイリーン・ウォルノスの生まれ変わりだという。


何度もレイプされ、

道具のように扱われた少女達を

元の少女に戻すのは容易ではない。


身の毛もよだつような虐待話を毎日毎日聞かされ続け、

自分自身の心が麻痺していくのが分かる。


アナルがさけた。

輪姦された。

膣に煙草を押し付けられた。

便を食べさせられた。

エイズ、クラミジア、淋病・・・




ここは、心を麻痺させないといられない。

一番人間の本質が見える場所かもしれない。


人間の本質は、

善悪どっちなんだろう・・・

はるな(仮名)14歳の中の人格、

アサミ30代。


アサミ「汲み取り式トイレに顔を突っ込まれて

    こう言われたんだ。

    お前はトイレの中のモノ以下だってね。

    あの時、ここで産んで放置してやれば

    よかった。ウンコにまみれて死ぬなんて

    お前にお似合いじゃないか!!ってね。」



私「そう。もう、止めよう。過去を断ち切ろう。」


アサミ「いいや。ダメだよ。はるなは私が眠らせた」


私「あさみさん、あなた最近出てこなかった。

  それは平たく言うと治療が効いているって事だけど」


アサミ「違うよ。最近お前との会話する機会が

     あまりなかったからだよ・・・フフ・・」


私「そうね。確かに最近医師との催眠療法が

  中心だったものね。私も久しぶりに話せてうれしいわ」


アサミ「私がうれしいなんて一言でも言った?

    私はお前を潰す為に出てきた」


私「それは・・」

アサミ「はっきり言って、催眠療法も効いてない。

    あれは全て演技だからな」


私「だったら今までの話も全て嘘?」


アサミ「嘘だと思いたければ思えば?」


私「そんな自虐的な嘘言ってどうするの?」


アサミ「私が嘘だと言った?」


私「あなた、何がしたいの?どうしたいかな?はるなちゃん」


アサミ「私ははるなじゃない」


私「はるなちゃん、答えて。一番どうしたい?」


アサミ「はるなじゃねーっつってんだろ?!」


私「復讐したい?」


アサミ「・・・復讐・・・?」


私「そう。あなたの心を踏みにじったお母さんへ、

  復讐しよう」


アサミ「どうやって?」


私「知りたい?はるなちゃん」


アサミ「・・・・はるな・・じゃない・・・」


私「あなたがね、幸せになる事よ。

  あなたを否定した母へ、あなたが生を受けた事は

  素晴らしいことだって、知らせることよ。

  はるなちゃん、そしてアサミさん。あなたがね」