我が家の愛犬、にこ姫。

 

ちょうど1年前に急性膵炎を発症し、入院もして、つらい時期でした。

 

それを乗り越えましたが、てんかん発作が頻発するようになり、6月から投薬を開始。

 

繊細なにこ姫は、投薬があわないのか、最初は下痢をしましたが、1週間ほどでおさまり、今は無事に投薬生活を続けています。

 

オランダで処方されたのは、Phenoral 12.5mgというお薬。

朝、晩に2分の1錠ずつ投薬します。

 

オランダの動物保険には加入していませんが、薬は安価です。

 

久しぶりの長時間フライトも経験しましたが、てんかんの発作も出ることがありませんでした。

 

そんなこんなで、先日無事に10歳を迎えることができました。

 

 

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にこ姫を我が家に迎えたのは、初めてお腹に授かった子を流産して1年も経たない頃でした。虚無感があったのかもしれないし、私の中にないと思っていた母性を宿した矢先に、流産という形で失い、行き場のない母性の行く末に出会ったのが、このワンコ、にこ姫だったのかもしれません。

 

まだ2ヶ月半頃のにこは、チワワらしい顔をしていなくて、一緒にケージに入っていたポメラニアンに踏んだり蹴ったりされていました。

そんな彼女に取り憑かれるように惹きつけられて、うちにお迎えしたのです。

 

我が家に笑顔を灯してくれるから、「にっこり」の「にこ」という名前にしました。

 

それから10年。

 

 

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その時には微塵も予想していなかった、「この子とずっと一緒にいれないかもしれないという可能性」。

 

急性膵炎になった1年前には、その可能性をわたしの肌の傷という傷に塗り込むように残して行ったのでした。

 

 

 

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コロナでリモートワークができるようになったせいか、オランダでも、そして日本でもペットを飼う人が増えている、と感じています。

 

オランダでは、犬が買えるようなペットショップはありませんが、ブリーダーを探して犬を飼い始めた人が周りに増えました。

 

 

 

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正直、あんな辛い時期を過ごしてしまったので、犬を飼い始めた人に手放しで喜べない自分がいます。

 

「犬はいいよ〜いつも寄り添ってくれるよ」

「かわいいよね〜犬好きの仲間ができてよかったね〜」

 

と思いつつ、

 

「あなたが看取るのよ。いいの?その覚悟はできてるの?」

 

と考えてしまって。

 

私に犬を飼う相談をしてくれるな、と思います。なんせネガテイブ思考を刷り込んでしまいそうなので。

 

 

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けれど、犬と暮らすというのは本当にすばらしい経験です。

普段家の中で寝てばかりいるにこ姫ですが、いるのといないのとでは、室温が5度も10度も違うのではないかと思うほど。

彼女がいるだけで暖かくて、にこ姫はいつも家族をほんわりと包み込んでくれるのです。

 

私が泣いていると気づくと、向こうの寝室からちょこちょこと歩いてきて、ポンと膝の上に乗り、涙をぺろぺろと優しく拭ってくれるわけなんです。

 

本を読んでいる時、テレビを見るとき、何も言わずに、ただそっとお尻をくっつけてきます。

 

一緒に寝るときは、いつもドアに一番近いベッドの場所を陣取って、勝手に(笑)見張りをしてくれます。

 

叱られると、しゅんっと眉尻を下げて、「こんな小さい犬を叱る私はなんて極悪非道な人間なんだ!」と思わずにはいられなくなるような表情をするわけです。あたかも人間のように。

 

大人になるまで犬が怖かった私に、犬と暮らす楽しさを教えてくれたのは、まぎれもなく彼女だし、人間以外のものに愛情を持ち、命の尊さと失うことの辛さを教えてくれているのも彼女なのでした。

 

 

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そうそう、余談ですが、

犬を飼った経験もない頃の私は、ある知人の愛犬が交通事故に遭って天国へ行ってしまったという話を聞いて、なんと返事をしたやら全くわからないくらいの感性の持ち主でした。私になんやかんやと返答された相手も心底がっかりしたに違いありません。

 

あの頃の自分よりは、痛みのわかる人間にしてもらえたと思えます。

 

 

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残りはあと何年なのか。

考えたくもないけれど・・・

オランダににこを連れてきたのは、明らかにいい選択でした。

ここは犬と人間が交通機関でもカフェやレストランでも共存できます。

私は、それをとっても幸せに感じています。

 

 

最近読ませていただいた、作家の辻仁成さんの犬愛と文章に感化されて、私なりの犬思い作文をここに残しておこうと思いました。

 

 

犬愛が溢れて、にこ姫のかわいい表情を集めました。

下記よりご覧いただけます。