俺が一口食べるごとに
「どう?……まずい?」
って聞いてくるれいちゃんに押され、結局あっという間に全部食べてしまった。
「おいしかった!ありがと。」
「よかったー!」
「もう帰ってもいいよ、移っちゃうかもしれないし、翔くん心配してるよ多分。」
「………大丈夫?なんかあったらすぐ電話して。」
そう言ってれいちゃんは、俺の携帯と自分の携帯を手に取り、交互に見ながら連絡先を交換してくれた。
玄関まで見送りに行く。
「じゃあね」
れいちゃんがドアを開ける。
心配そうな顔でこっちを見て、
手を振って。
「……行かないで」
ドアが閉まる。
絞り出すようにして出たかすれた声。
笑って送り出すことはできなかった。
自分に嘘がつけなかった。
いつもの自分じゃなかった。
いつもの自分でいられなかった。
今さっきまで俺に向けられていたれいちゃんの笑顔は………
俺のものじゃなくて、翔くんのものなんだ…。
「行かないでよ……」
やっぱり熱が高いのかもしれない。
