▼ 労働組合への手紙
そんなわけで、わたしは、労働組合に手紙を書くことにしました。
訴状の手紙は、書いたことがない。この件が取り上げられず、かつ手紙を書いたことが鬼子たちに知れ渡ったら、攻撃の的になるのは確実でした。
そこで、こんなことで困っています、という、相談形式にすることにしました。言葉を選んでていねいに、簡潔に。
内容は、鬼子が同僚たちの悪口を公的な場で発表している。自分もその被害に遭っている。鬼子が、自分に有利な仕事スケジュールをもらっている。事務鬼子がセクハラをした。
ふたりとも、労働組合に加入している全社員の安全を守るという係をしているにもかかわらず。
日時と起きたケースを順に書き出し、最後に、どうしたら良いのかわからない。アドバイスが欲しいと、事務的な文章にしました。
問題は、英語で書かなければならなかったこと。
インターネット上にある無料の英語添削サイトを利用し、毎日2時間以上かけ、苦労の末1週間後に完成。
▼ 白人社会での手紙の書き方
苦労して書き終えた手紙は、仲間の同僚3人に読んでもらいました。
さらに、大学で倫理学を教えたあと、大企業で秘書的な仕事についていた友達にも。
この手紙を書いたことが鬼子たちにばれて、復讐を受けるのが一番怖いと、友達に電話で説明しながら手紙を読み上げました。
「良く書けている。でも、このことを報告したことで、わたしが報復されないと保証してほしいという文章を入れなければいけない」とアドバイスされました。
え? 日本人の感覚からすると、そんな文章をこの手紙の内容に加えるという発想は起きない。でも、これは、我が身を守るうえで、カナダではとても重要なことだとも気づきました。
「保証」という文字を付け足すことが、日本人としての、なにもそこまでという気持ちと、このことは重要だという白人社会の常識のはざ間でひどく混乱してしまった私。困り果て、彼女にお願いしました。
どうやって書いたら良いのか見当もつかない。なので、わたしのために文章を考えてほしい。書き留めるので。
まるで、小学校の先生と生徒です。でも、それほどに日本人であるわたしは困っていた。一方、友達は、白人社会での訴状の書き方に熟知していた。
次の山場は、労働組合に電話をかけて担当者を探すことでした。
電話口に出た受付係から、あなたがなにを言っているのかわからない、と言われてしまいました。わたしはただ、職場でハラスメントが起きている。その担当者につないでほしいと伝えたかっただけだったのに。
不安になりました。わたしの英語でこの問題は解決できるのだろうかと・・・。
続く・・・。