▼ 症状を抑えるって?
「症状を抑える」と聞くと、今ある症状をおとなしくさせるという印象があります。
「症状が改善される」は、健全な状態に近づくかな?
ですが、この論文の説明では、「症状が後戻りして良くなる」の意味です。つまり、健康な昔の状態に後戻りするということ。
さらに論文の説明では、「進行型の症状は、これ以上、悪くならないように進行をスローダウンさせる、あるいは、止める」ことが重要となっています。
ということは、薬で症状が良くなり、症状が後戻りした。でも、病気自体は、前進する性質があるので、将来、悪化する可能性があるということになります。
▼ イメージは、宇宙のビッグバン。
ビッグバンで誕生した宇宙は、ひたすら大きくなっていく。強大なふろしきに包んで広がるのをスローダウンさせたり、止めることはできるかもしれない。でも、なにかのきっかけでふろしきの結び目がとけてしまえば、再び成長していく。
▼ 薬は病気の根本を取り除かない
では、病気は薬で改善できないのでしょうか?
例えば、薬を使ったら、出血や下痢、痛みがなくなった。このとき思うのは、症状が改善されて良かった!
でも、病気の原因は、大腸の粘膜に残っている。取り除いたわけではないので、治っていない。
薬を使い、炎症現場をそっと包むことで、症状が見えなくなっただけ。なので、薬の効果がなくなると、包みが消えて症状が再び見えるようになる。
▼ 医師は、どう説明したら患者に理解させられる?
わたしが、潰瘍性大腸炎と診断された時、医師から薬についてこんな説明を受けました。
「薬は、一生、使い続けることになります。良くなっても、きちんと使い続けないと、症状は戻ってきてしまい、もっと悪くなることもあります。」
それに代わって、こちらの説明を受けたら、病気についてもう少し理解できたと思います。
「この病気は進行性で、症状は次第に重くなっていく特性があります。薬はその進行を止めたり、スローダウンさせます。
薬で病気の原因を取り除くことはできません。症状のない状態になっても、原因は大腸の粘膜に残っています。なので、薬が効かなくなったり、なにかのきっかけがあれば、せっかく症状の進行がストップしていたのに、再び炎症が起きてしまいます。なので、薬は、きちんと続けることは、重要です。」