▼ 研究のタイトル:
寛解期 潰瘍性大腸炎 患者におけるレミケード®の休薬についての多施設共同比較試験
1) 全約450ページの報告書: 医療関係者用で有料のため、全文読めず、公開されていた序文を紹介します。
発行日 2021年12月20日
▼ 序文
慢性疾患である炎症性腸疾の患患者が、レミケード®の生物学的製剤で治療される場合、維持投与を継続することが原則である。が、その長期使用は、悪性腫瘍や感染症のリスクを上げる可能性もある。
長期維持療法を受ける患者数が増えるにつれて、一部の患者では、これらの治療法を中止できるのではないかという医療的な疑問が生じ、いくつかの観察研究の結果が報告されている。
しかしながら、現状ではこの問いに答えるような質の高い証拠、たとえば生物学的製剤の継続と中止の直接比較のような研究は報告されておらず、またレミケード®の中止後再燃の予測因子についての意見の一致は存在しない。
すなわち、維持療法中の潰瘍性大腸炎の患者が、レミケード®を中止できるかどうか、またいつ中止できるかは不明なままである。
◎ 参加施設 14か所
- 北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター (集計担当)
- JA北海道厚生連札幌厚生病院IBDセンター
- 大阪医科大学第2内科(消化器内科)
- 四日市羽津医療センター
- 東京医科歯科大学消化器内科
- 広島大学病院内視鏡診断科
- 杏林大学消化器内科
- 福岡大学消化器内科
- 札幌医科大学消化器内科
- 兵庫医科大学炎症性腸疾患センター内科
- 岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科・消化管分野
- 弘前市立病院臨床検査科
- 横浜市立大学データサイエンス学部
- 東邦大学医療センター佐倉病院内科
他関連する事項
<コメント>
みなさんの病院は、参加していました?
レミケード®の2022年の売り上げは、346億円。ひとりあたりの年額代は、約70万円。利用患者数は、推計5万人。
レミケード®利用者は、関節リウマチが推計3万人。潰瘍性大腸炎/クローン病が推計2万人。クローン病の方が重、中症が多いので、潰瘍性大腸炎の年間利用者は、推計4千人から5千人ぐらい?
10年後、潰瘍性大腸炎でレミケード®や、少しだけ低額の後発薬を使う患者数は、2倍以上に増えると予想されます。厚労省が財政的に全員を支援できくなったり、個人負担が増える可能性がある。
長期寛解を維持してきた患者の中には、治療費を払えないことから、休薬せざるをえなくなるケースが出てくる。そのとき、休薬をしても大丈夫なのか、絶対にしてはいけないのかを判断できる基準があることは、とても重要になります。
◎ 図 アメリカでは、生物学的製剤の点滴治療の費用を抑えるため、病院以外でも受けられるシステムが作られました。
左から、病院、点滴治療センター、訪問での点滴。病院なら16万円、点滴センターなら7万円、訪問なら8万円。点滴センターがあるのは、リウマチ患者が多く、採算が取れるため。家庭訪問は、緊急時には対応が難しいので、医師から許可された患者だけになります。
次回は、東邦大学医療センター