▼ ヒトとサルの血液の比較
ヒトの血液: A型、B型、AB型、O型
サルの血液: 共通は、A型
チンパンジー A型、O型
ゴリラ A型、B型
オラウータン A型、B型、AB型
テナガザル A型、B型、AB型
ヒトの遺伝子は、サルよりもほんのわずか発達?しているから、4つの血液型があるのでしょうか??
▼ サルから血液をもらうことはできない?
ヒトはサルから血液をもらうことはできるのでしょうか? かなり探しましたが、それに関する文献が少ない。
やっとみつけた文献には、同じABOグループであっても、完全に同じではないので、輸血したら問題が起きる可能性が高いとのことです。どこが完全ではないのか?
さらに、サルよりもブタのほうが、ヒトとの血液となじみやすく、このため、ブタの心臓をもらう移植が可能とされています。
ヒトとブタの赤血球との違いは、赤血球の長さ、体積、寿命が短い。
ということは、サルの血液は、構造的には同じでも、長さや体積、寿命がヒトと異なり過ぎるため、輸血できないのかもしれません。
▼ 魚の血液
地球史始まって以来の生物の初の血液は5億年ごろに現れた魚です。ですが、血液型についての研究が進んでいない。
▼ 魚の次に進化した生き物は、4億年前の両生類、3.6億年前の昆虫、2.5億年前の爬虫類、そして、2億年前の哺乳類です。
▼ ワームの血液型
質問: そうだ、思い出した! 以前、光が届かない深海に住む不思議なチューブワームという生き物のこと、特集したよね。
からだの赤い部分は、血液との説明だった。
答え: そうでした。すっかり忘れていました。
▼ 説明: チューブワーム:
5億年ぐらい前から生息するとされている。上記のチューブワームは、水深2000から3000メートルの海底火山の熱い噴火口のすぐそばに住むのが好み。写真のようにうじゃうじゃと生息し、海底はアマゾンの原始林のようになる。
からだは、赤血球が詰まった固いエラと、白い固いチューブ状の殻に包まれた細長い袋からできている。
赤い固いエラの入り口からは、海中の酸素、噴火口からのイオウ(温泉地の臭いのもと)を吸い込む。
エラの下には、白い固い殻の筒がある。中には、ソーセージのようなものが1本入っていて、細菌がぎっしり詰まっていてる。細菌は、イオウを分解しエネルギーにして、チューブワームの栄養として届けている。
チューブワームと細菌は、大家と下宿人の関係で、どちらが欠けても生きていけない。
質問: チューブワームのエラ部分が赤いということは、赤血球があるの?
答え: 赤血球はありません。ですが、赤血球の中身のヘモグロビンがあります。
ヘモグロビンは、鉄の分子とたんぱく質でできています。鉄は酸化するので、チューブワームのエラが赤く見えます。
ヒトとチューブワームのヘモグロビンの違いは、規模の違いです。
ヒトは、ヘモグロビン4個でワンセット。酸素分子を4つもつことができます。
一方、チューブワームは、144個でワンセット。酸素分子は144個です。(専門名:エリスロクルオリン)
質問: からだが小さい割には、ヘモグロビンは、極力特大サイズ・・・。ヘモグロビンは、血管の中にあるの? そもそも、血管自体あるの?
答え: はい、血管があります。
質問: 血管があるということは、心臓もある?
答え: あります。
質問: いくつ心臓があるの? タコもイカも3つ心臓があるよ。
答え: 下の図によるとひとつだけです。
質問: 動物は、脊髄、つまり、・・・骨で赤血球を作る。チューブワームには、骨がない。でも血液を作る。
答え: みみずも、脊髄がありません。でも、血管と血液、そして、心臓は5つあります。さらに、食道、腸も卵巣もあります。
質問: みみずには、赤血球があるの?
答え: ありません。
質問: つまり、チューブワームと同じで、赤血球の中身のヘモグロビンがあるということか・・・。
質問: ヘモグロビンは、どこで作られるの?ヘモグロビンを作る細胞はあるの?
答え: わかりませんでした。
質問: ということは、推測するしかない。
ヘモグロビンを作る場所は、チューブワームは、赤いエラ以外に考えられない。
みみずは、腸?
答え: 腸の移植手術をした人の腸の中で、腸提供者の(新鮮な)白血球が見つかっています。なので、可能です。
質問: チューブワームもミミズも、赤血球の中のヘモグロビンはもっている。でも、血液型を決定する赤血球はもっていない。
遺伝子を調べれば、みつかるかもしれない。
答え: 研究論文が見つかりませんでした。
結論: チューブワームには、血液型がありません!
もしかして、血液の病気もない?? 腸がないので、難病にはならない。
ということは、複雑に進化した生き物ほど、いろいろな病気になりやすいということ?
でも、複雑に進化したことで、病気を治すシステムも進化しているはず・・・。
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魚の血液
https://www.thepharmajournal.com/archives/2020/vol9issue6/PartH/9-6-15-365.pdf
http://pronet.s.kanazawa-u.ac.jp/J/STUDY/hemoglobin.html
https://www.hitachi-zaidan.org/reference-room/data/work04_22.pdf
赤血球は腸でも作られる
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/post-11376.php