本日の読書感想文



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​魔術

​芥川龍之介


あらすじ 

インド人の活動家のミスラ君は魔術を使えるとの噂がたっていた。主人公はその魔術をぜひとも観たいと思いミスラ君と約束をとりつけ、魔術を彼の部屋で披露してもらう。すると主人公はたちまちミスラ君の不思議な魔術に魅了されてしまったのだった。

自分も習得したいと懇願する。ミスラ君は欲を捨てる事を条件に魔術を主人公に教える事となった。

はたして主人公は欲を捨てきれるのだろうか?

グッときたポイント 

ある雨の降る晩に主人公は人力車に乗り大森界隈の竹藪に囲まれた小さな西洋館を訪れる。ペンキのはげかかった古い玄関に、「印度人マティラム・ミスラ」と、書いた新しい表札がかかっていて玄関の呼び鈴を鳴らす。

↑冒頭のこの描写がすでにワクワクします。雨の晩、人力車、竹藪に囲まれた西洋館・・・ミステリアスな雰囲気が雨の湿度とともにムンッと伝わってきます。そこから話の終盤まで続くエキゾチックな不思議な体験を主人公と共に自分もしているように引き込まれました。

このお話の主題はシンプル。欲しいものを得るために欲を捨てる。ただし、いざ手に入れると今度は新たな欲が育っていることに気付かされる。人間はそれからなかなか解脱できないもの。

こんな人におすすめ 

エキゾチックな不思議な寓話、千夜一夜物語とか好きな方や、芥川龍之介の短編作品群のなかでも読みやすいのを探してる方におすすめかもしれません本


過去に読んだ本でしたが、個人的に思想的な部分というより、このエキゾチックな不思議感を味わいたくなり、たまに読みなおしたくなる中毒性のようなものがある作品です目