母が転倒し、病院に来た。


レントゲンを取り、診察室に呼ばれる。


素人の自分でさえ、骨が折れてズレているのが分かる。


医師:『かなりひどい骨折ですね。腫れが落ち着いたら、手術します。又後日詳しく説明しますが、多分2回に分けて手術することになると思います』


先生が色々話していたが、頭がぼーっとする。


意味わからん。


1センチ前後の段差に転んだだけじゃないか…


脱臼骨折ってなんだよ!?


私:『簡単に折れちゃうもんなんですね』


医師:『そうですね。年齢的なものもありますが、歩行器で歩いているから同世代の方に比べて、骨が薄いんですよ。全体重が足にかかるから骨が強くなるんですよ。歩行器だと、上半身の体重は足にはかかりませんからね』


骨が細いではなく、薄い…


脊髄小脳変性症でなければ、歩行器で歩くことはなかっただろう。


何なんだよ、脊髄小脳変性症って。


次々、母から出来ることを奪うのか。


脱臼した足を、少しだけ元の位置に戻す。


母:『痛い!!!』


大きな声で泣き叫ぶ母の声が聞こえる。


しばらくして病室に運ばれた母。


看護士さんが母の足を見て、色々話をしている。


看護士さん:『痛い?』


こくんと頭を下げる母。


私:『何でもいいので痛みだけ抑えてもらえないでしょうか?』