前回より、一度独裁者を選んでしまうと、
維持・放逐にかかわらず、
その(運用)コストはかなり高いということは明確になったと思う。
さて、今回は、2022年上半期の金融市場の変動が起きた考察を述べる。
私は、今までの新陳代謝同様、繁栄していたある種が滅したのだと考えている。
前提として、
マーケティング理論では、新しい商品やサービスが市場に浸透する理論において、
以下のように階層を分類している。
1. イノベーター(Innovators):革新者
2. アーリーアダプター(Early Adopters):初期採用層
3. アーリーマジョリティ(Early Majority):前期追随層
4. レイトマジョリティ(Late Majority):後期追随層
5. ラガード(Laggards):遅滞層
報道によれば、
米英の物価上昇率が40年ぶりらしく、債券市場は世界中でメルトダウンした。
(2300兆円とのこと。)
債券よりも小さい株式市場も下落。
さらに小規模なコモディティー、暗号資産史上も下落。
おそらくイノベーターに属するであろう
E・マスク氏は、
4月からのTwitter買収に関して撤回を表明。
Tesla株を流動化(=現金化)させていた。
彼は議論はあるが事業家である。
そして、天才ともいえよう。
(あの時期にTeslaをあれだけ大量に売却したのだから)
その上で、
---- 議論はあろうが----、
おそらくアーリーアダプターに属する?
「孫」さん率いる
(彼は事業家ではなく金融プレイヤーである、当然、タイガー・カブもここに属する)
S▲F(アーリーマジョリティとしている)やそれに参加した投資家も
レバレッジと安い資金を楽しんでいた。
E・マスクに代表されるイノベーター(事業家)に、
事業家を追いかけざるを得ない金融プレイヤーである
アーリーアダプター及びアーリーマジョリティの方々が
そのレバレッジを解消させられた。
と考えている。
詳細は以下の通りだ。
金融市場におけるアーリーアダプターは、
短期的な売買益を求める方々で、
自分より遅れて参入するであろう
「バ■」が存在するであろうことを前提に
市場に飛び込んでくるファーストペンギンだ。
いわゆる彼らの収益の源泉は「更なるバ■」が存在することが前提である。
参照
得てして、アーリーアダプターは、
アーリーマジョリティーを呼び込むすべを心得ている。
(自ら組成した例を観測できるのは稀有である)
この生態系は極めて危険な存在であるが、
見分ける方法は簡単である。
金融市場において以下の言葉を使っている人間は、
「大馬鹿理論」主義者たち、
すなわち、アーリーアダプターと判定して良い。
一発逆転、爆落(or爆騰)する、新時代が到来する、
といったとかく過剰な市場変動を煽りたがる者たちだ。
彼らの共通点として、いつまでにといった「時間軸」を示さない。
また、彼らは、対象資産市場の流動性にもよるが、
相対的に短期的な売買目的である。
身近な例では、FX
(もうこれは外国為替ではなく外為証拠金という商品先物同様のリスククラスだ)
で言うところのピップス?等を判断基準に
反対売買を容易に行う。(強制的に行なわされることもある)
現在ではIT技術の発展によりナノ秒単位の売買も機械的に行える。
イメージしやすいのはデイトレーダーという分類で、
1日程度の短期で、売買を完了させる。
チャートだとかでトレンドを分析したりするが、
要は適当なテーマを題目とし、
自主的であれ、業者による強制であれ
容易に短期で反対売買を行う。
場を提供する市場運営側からは重要なお客様だが、
市場ではノイズである時が多い。
もちろん、「炭鉱のカナリア」として
最初に兆候を見せてくれる利点もある。
このアーリーアダプター及びアーリーが
レバレッジの強制的な解消を受けたというのが上半期の値動きであろう。
さて、レイトマジョリティはどうだろうか?
“過去”という『バックミラーしか見ない債券市場の方々』も、
景気後退は2024年末から・・・などと意見し始めている。
こういう人は来年まで待って
債券を買うのだろうか・・・?
1年間何もしないというわけには行くまい。
短期債を売却して長期債を買う?
頭良さそうだが、レバレッジが解消されている今、
そんなものをわざわざ行って
リスク管理を複雑にできる方は多くはない。
決して日本銀行に挑戦して日本国債10年を売却しろといっているわけではない。
実際に6月末に持ち高をロールオーバーできず、消えてしまった。
ちなみに、日本銀行は、イールドカーブコントロールや株式ETFではイノベーターである。
ただし、オプションにおいては、参加もしないのであるからラガードと言えよう。
ちなみに、メディアや金融機関がターゲットとするのは、
すぐに動く個人投資家を中心としたアーリーアダプターである。
残念ながら、個人を対象とする以上、
商品の選択肢は、未だにそんなに多くなく、
テイラーメード製品からは大きく離れている。
市場における予想変動率が上昇すれば、
期待利回りが上昇し、当然保有持高は縮小する。
世界中で同時に起きる事象が単に起きているだけだ。
これだけで景気後退にはならない。
なるとすれば、
大国における金融危機の予兆が明確になった時である。
特に、社会主義・共産主義国家で・・・である。
「リスクが小さく、リターンが大きいもの。」
私であれば、
香港の株式指数を売り持ちにして、
米国の株式指数を買い持ちにする。
社会主義、共産国家において、
金融不安なんていう資本主義的なものは存在しない。
それは国家や党の指導で、あり得ないのだ。
しかし、
未完成の集合住宅の住宅ローンを支払わない とか
建設はされたがデベロッパーが言っていた学校もモールも近所にないから住宅ローンを支払わない とか
そんな集団的なリーダー不在の「寝そべり運動」なんて言うものは、
彼らの大切な金融システムに対する挑戦である。
対象者である人民を全てブラックリスト入りにして、
高速鉄道にもパスポートも私立学校にも入れないようにしても、
ローンを出した金融機関には
大きく毀損した不動産(未完のものも含む)
即ち不良債権の残骸が手に入るだけである。
これは、今まで短期の債権で調達してきた
彼らの金融システムの根幹を揺るがし、
ひいては
政治体制への大きな影響を不確実性要素を産み出しかねない。
株式指数における、香港対米国はありではなかろうか。
もし、時間帯による流動性規模が違うことが気になるのであれば、
香港対日本でも良いと思う。


