債券市場に関して〜

実はこのBlogは毎週木曜日に更新しようと心がけている。

実際に、5月11日には初稿が完了し、5月12日木曜日には掲載するつもりであった。

株式市場(ECM)は、下落に次ぐ下落。

債券市場(DCM)も、日本以外の債券市場は債券価格として下落し続け、金利が上昇していた。

果たして、初稿を出す前にどうしても思いとどまらざるを得ない理由が露呈したが故に、

(言い訳がましいが)今日まで遅延してしまった。

それは、日本銀行によるDCMにおける市場介入

〜日本銀行が0.25%で無制限に10年国債を買い入れる指し値オペを連日実施〜

を継続したことだ。

 

このBlogを読まれている紳士淑女の皆様には説明の必要がないかもしれないが、

株式と債券には大きな違いがある。

 

株式は発行すれば即日資金調達できるものが根幹である。

債券はそれと違い、償還という期限があり、調達後、返済までの時間軸が存在する。

この時間軸が存在するということは、

IT技術の進展で発生したFXやネット株式、果ては暗号資産系など

一代系の投資家にはなかなか馴染めないものである。
(彼らにはもう一つ約定可能金額という致命的な弱点がある)

 

この時間軸は、極めて重要な要因で、

債券・金利市場において特に1980年代頃から金融工学の礎となっている。

 

古い話をしてもシラけるだけなので、さっさと現代の話に戻ろう。

 

お察しのように、世界中で金利が上昇している。

また各国の中央銀行も利上げをしている。

① FRB 5月3日 +0.5% 政策金利を0.75~1.00%
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/05/267c708ac62be8af.html
② ECB  7月、9月にそれぞれ+0.25%利上げ見通し 中銀預金金利は0.00%へ回復

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-22/RAQOUDT0G1KW01

 

およそ中央銀行が金利操作を行う際、政策金利であれ中銀預金金利であれ、

極めて「短期」市場が対象の金利指標である。

 

長期金利は、政府の発行する国債など一般的に無リスク

(正確な意味では民間的な信用リスクがないという概念)

の入札など市場が決める。


米国では10年の金利は3%程度であり、

欧州(ユーロ)では1%程度である。

では、なぜ日本では0%ないしはそれを下回るのだろうか?

 

これには、2013年(通常は5年をめどに新しい人材が総裁に就任する筈の)

就任した黒田日銀総裁が

2016年9月21日に実施し始めた

長期金利の操作を長期国債(主に10年物)の指値オペにて行うイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)による。

 

日本だけは長期金利を

市場ではなく中央銀行が

主体的に介入し操作している異質の背景がある。

(史上最大、そして今も継続する最長の介入といえよう)

 

これは、短期から長期に至るまでの金利水準を満遍なく低い水準

〜ゼロ〜

に据え置くことを目的としている。

(ゼロ・ファイターと揶揄され、カミカゼとも評される)

 

通常、中央銀行は、短期金融市場において、金利操作し、資金流入量を調整するのだが、

日本銀行は世界でただ一つ、

政府国債に対するオペで「長期」金利調整を目的として「介入」を実施しているのだ。

 

これは
財政法5条:日銀国債引受の禁止
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/op/f09.htm/

には抵触していない。

 

さらに、政府からは

金融支援として長期金利が低水準で据え置かれ、
財政支援としてコロナ対策で単年77兆円
https://www3.nhk.or.jp/news/special/covid19-money/
がばら撒かれた結果、

金利収入を期待できない資金が株式市場(ECM)

(ついでに有象無象のベンチャー、暗号資産、NFTなどにも)

にも流れ込み、

日銀によるもう一つの介入株式ETF買入とも合わさり、

未曾有の株価上昇が2021年11月まで醸成された。

 

日銀はイールドカーブコントロールとして

保有している低金利=高価格の日本国債

を大量に保有している。

 

これは保有ETFとは別だ。

 

日本銀行は、中央銀行なので、金融庁検査が多なわれるような主体ではない。

 

むしろ、金融庁と連携し、民間の金融機関を取り締まる?立場である

(銀行や系統系金融機関に限定されるが)

 

保有資産の時価評価?その含み損益の四半期報告?
日本銀行は上場企業(株価コード:8301)である。
https://www.boj.or.jp/about/account/zai2111a.htm/

正直、中央銀行の独立性は維持しているとしても、日本政府との連結決算が必要であろう。
https://www.boj.or.jp/about/account/zai2111a.htm/

仮に日銀の財務状況が劣化していてもそれを持って「破綻」とはなり得ない。

政府は国債を発行し続けるし

日銀は日銀券を発行し続けるからだ。

しかも長期に至るまで金利はゼロなので、返済する際の負担は調達元本以上ではない。

 

しかし、一歩でも国境を跨げば、国から3%、1%の金利を十年間期待できるので、Invest in aborad - 海外投資-

に資金は傾斜してしまう。