衛生観念の不思議 ――降格はあれども昇格はありえず | イギリスはやっぱりマズい

衛生観念の不思議 ――降格はあれども昇格はありえず

なんと、スカイのカードは昨日の夜に見たら届いてました。
ひとまずほっ。


話変わって。
衛生観念って人種によっても、もちろん人によっても違いますが、
こんな話を聞きました。



Sさんは妊娠5ヶ月。
だんなさんが出張で家を空けることが多いので、
だんなさんのお母さん(Sさんにとっては義母)が
手伝いにきてくれることになりました。

Sさんは
「大丈夫です」
といったん断ったのですが、お義母さんは
「今やすまないと有給がぱーになるから」
と言って無理やりやってきました。


お義母さんはイングランド北部(=英中部)出身。
もともとかなり訛っています…
在英15年で英語には不自由しないSさんも、
さすがに訛りには対応し切れていません。
クリスマスには毎年数日いっしょにすごしますが、
耳がその英語に慣れるのに毎回時間がかかるそうです。


Sさんは子供の教育のためにと引越しを考えています。
今の家は持ち家なので、
これを売って新しい家を買うわけです。

(英国ではよくある話です。
最初買った家に住み続けるケースばかりではありません。
初めて家を買った人のことを
first time buyer(ファースト・タイム・バイヤー)
といいますが、その後お金をためて、
もっといい家に移り住んでいくことが普通におこなわれています)


英国では子供ができると
養育費がかさむから支払能力が減る
ということで、
住宅ローン(モーゲージ)を借りられる限度額が減ってしまいます
Sさん夫婦はその前に家を決めて、
たくさんモーゲージを借りなければなりません。


さっそく、
来週不動産屋が何軒か下見に来ることになりました。
物件を良い状態にして、
高く買ってもらう必要があります。

そこでお義母さんが言いました。
私がペンキを塗ってあげる!」



お義母さんの家系は元気モノの家系。
なんとお義母さんのお母さんは
95歳まで元気でペンキを塗っていたそうです。
人生で入院したのは出産の時だけ、
亡くなったのは
「天井にペンキを塗っていてはしごから落ちた
のが原因でした。

(ある意味、お義母さんもペンキを塗るのは縁起が悪いので
やめといたほうがいいような気がしますが…)


Sさんはあまり気が進みませんでしたが、
不和になってはいけないし頼むことにしました。


最初は家事やペンキ塗りをお義母さんに任せて
ゆっくり休養しようと思いました。
が、さすがに寝てばかりいるわけにもいかず、
お義母さんを手伝うことに…


それも、なぜかお義母さんは
台所を塗り終えないうちに廊下を塗ったりと
あっちこっちを中途半端にしたままなのです。
さらに、湿気のこもるバスルームに壁紙を貼ろうとするし…

土曜日には不動産屋が来るのです。
ペンキ塗りかけ、壁紙貼りかけの家など
誰が高く評価してくれるでしょうか。
それならまだ、何もしていないほうがマシです。

中途半端のまま家に帰られても困るので、
Sさんもお義母さんのペンキ塗りを手伝うことになりました。
(そのせいで、後で筋肉痛になってしまうのですが…
 妊婦が筋肉痛…)


ところが、Sさんは台所を見てはたと気づきました。
キッチンの流しにサラダボウルが置いてあります。


中にはなんと、
ペンキを塗ったはけを洗うための
シンナーのような液体
が入っていました…

サラダボウルのなかに……



…………………。



S「洗えばいいと思ってるのかしら…
 でもやっぱり、
 ペンキ塗りのはけを洗った後の入れ物で
 サラダは食べたくない…



ほかにもペンキ塗りに使った後の食器が
いくつか見つかったそうです。


そりゃ、洗えば衛生的には大丈夫なのかもしれませんが、
やはり気持ち悪いと普通は思わないでしょうか。
より卑近な例で言えば、食事の時、
洗面所で歯磨きの時使うコップで水を飲みたいと思うでしょうか?
私はなんとなく嫌です。

ちょっと汚れてしまった食器を洗面用に下ろすことはありますが、
その逆はあり得ない。


英国人の問題なのか、
お義母さんだけの問題なのか。

たぶん後者だとは思いますが、
衛生観念って人それぞれなんだなあと思うSさんと私でありました。