今日はギターを弾きながらずっと曲づくりをしていた。
最近のオレらはメンバー内で何故かあまりうまくいっていないし、皆のメンタルも下がってるから、リーダーのオレがここで一発ガッツリ、ヤバイ曲を作って、もう一度みんなの気持ちを一つにしたいと思っている。
だからか、オレここの所凄く焦っちゃって煮詰まっちゃって何か何処かで聞いたことのあるような、流行りのメロディーばっか浮かんでしまって、そんなオレがダサくてちっさくて腹が立ってしょうがないので気分転換に、ミャンが歌っている「大声ダイアモンド」のCDをききながらオレも一緒に大声で歌ってみた。
大好きだ。君が大好きだ。声の限り叫ぼう。
そういえば誰かに大好きだって叫んだこと、実際は一度もなかった。
叫んだって「どうせギャグでしょ?」とか言われるんじゃないかとか思ってしまうし、そもそも恥ずかしくてそんな大それたことを一度もしようとは思ってなかった。
ミャンと初めて握手したとき、オレが「好きだよ」って言って、ミャンは「ありがとう」って言ってくれた。
ミャンと何度も握手するたびに、オレが好きだよと言うたびに、何処かでオレはミャンに本当はオレがすきだって事が全く伝わってないんじゃないだろうかって不安になった。嘘とか思われてるんじゃないんだろうかって。
オレ自身、本当に好きなのかよくわかってなかった。ミャンがオレは本当に好きなのかもしれないくらいに思ってた。
コンビニの前で買ったコーヒーとタバコを吹かしながら、オレは一体何をやってるんだろうかと思っていた。
空はもう気づけば夜だった。オレだけが夜なんて、本当にそんな気がしなく生きてるみたいだった。
見上げれば綺麗な星がたくさん輝いていた。
星なんて実際は手に触れたことがなくて、本当は嘘かもしれないけど、確かに沢山光っていた。
オレはさっきグダグダと考えていたことを思い出した。
ミャンは確かにオレに「ありがとう」って言ってくれた。「嬉しい」って言ってくれた。
オレはそのとき凄く嬉しかったし、何だかとても暖かい気持ちだった。それは確かなことだった。
その気持ちが「好き」ってこととどう違うのかオレには逆に解らない。
だからオレはきっとミャンの事がとても「好き」でいいと思うことにした。それがミャンに解ってもらえなくても。
オレはミャンだけが何よりも好きなんだ。
部屋に戻るとオレはすっきりしていて、素直な気持ちを歌にすることにした。
こんな歌だけど、今夜、ミャンに捧げます。
聞いてください。
TRUE LOVE
振り返ると いつも君が笑ってくれた
風のようにそっと
まぶしすぎて 目を閉じても浮かんでくるよ
涙に変ってく
君だけを信じて 君だけを傷つけて
僕らは いつも はるかはるか遠い未来を
夢見てたはずさ
立ち止まると なぜか君はうつむいたまま
雨のようにそっと
変わらないよ あの日君と出会った日から
涙に変っても
君だけをみつめて 君だけしかいなくて
僕らはいつもはるかはるか遠い未来を
夢見てたはずさ
夢見てたはずさ
歌い終えた後、気がついた。
それは思いっきりパクリだった。
でもオレは悪気もなく、ただ単純にはるかはるか遠い未来を夢見てるはずさ。
だからその未来の先、俺たち捨て猫、二人の子供にはハルカという名前をつけたいと思ったんだ。