テレビ番組「日曜美術館」で速水御舟の展示がやっていることを知り、慌てて調べたらまだ会期中だったので行ってきた。
速水御舟は大正~昭和の日本画家で、作品『炎舞』が大変有名な画家である。
私は大学では油絵専攻だったのだが、日本画に少し触れる機会があり、何度もこの名前を聞いてきたので、一度は見ておいたほうがいいんだろうなあと思っていた。けれども、特にそこまで日本画が好きな訳ではないし、あまり興味もないので、今まで行った日本画の展示も話題になった『春画展』や『鳥獣戯画』くらい。
実際足を運んでみると、展示会場である山種美術館は広くもなく狭くもなく、とても落ち着いた雰囲気で、それだけでも行ってみて良かったなあと思える場所だった。
作品『炎舞』は写真で見るよりもずっと色が綺麗で迫力があり、まるでそこに炎が燃えているような作品だった。少し暗めの部屋で絵画の裏から照明を当てる演出だったので、余計そう見えたのかもしれないが、全て正面を向いて描かれている蛾も本当に飛んでいるように見えた。
背景の黒も、ただただ真っ黒に塗っているのではなくて、あらゆる色を何度も重ねたような奥行きがあり、蛾のまわりも少しずつ雰囲気が違っていて、ずっと見ていられるような気分になった。
御舟がヨーロッパ各地を巡って刺激を受けて描いた作品、群青にはまってその色ばかりが使われている作品など、その時々で作品の印象ががらっと変わるので、見ていて全く飽きなかった。日本画の常識を壊して創造していく姿勢が素敵だなあ。