夫が倒れる6年前、近所の友人から突然「犬飼わない?」と電話がかかってきました。

聞けば中学生の息子さんが、ボーイスカウトの帰り道、大きなハスキーを保護したそうですわんわん

動物保護センターでは、飼い主が現れなければ処分されてしまうと、いうのです。

彼女の家は、マンションなので飼うことが出来ず、私の家で飼えないか?という電話でした。

我が家は一軒家ですが借り家ですし、大家さんに問い合わせをしてまでもと思いましたし、第一、今まで犬を飼ったこともないのにいきなり成犬のハスキーなんて考えられなかったので、その場で断りました。

夜、会社から帰ってきた夫にこの話をすると「みすみす殺されるって分かって断るなんて・・・。明日、大家さんに聞いてみろよ。」との答え目

それから、大家さんに許可を取ったり、保護センターでは「この犬種は問題が多いので、譲渡の対象になっていないんですよね。もし飼い主が現れなかったら、本当に飼えるかどうかテストをしてみて考えましょう。」と言われ・・・。


その後2週間経ち、結局飼い主は現れず、保護センターで譲渡前講習、譲渡後講習をうけて、晴れて家の飼い犬になりました。

本当に見た目はちょっと恐いのですがいい子で、目はブルー。遠くから見ると足もちょっと短く愛嬌もあります。「ケリーにしよう。」という夫の一言で名前も決まり、散歩バックも「ケリーバックです。」なんて冗談を言っていました。

捨てられた哀しさからか少しでも家を離れると「ウォー、ウォー」と悲しげに鳴き、買い物も誰かがいるときでないと出掛けられなくなりました。

でも、半年するとどこに行ってもおとなしく待っているようになり、やっと信頼関係が築けたような気がしました。

わんちゃんと一緒に泊まれるペンションに旅行に行ったり、公園に行ったり、そうそう、バーベキューにも行ったり、すっかり家族の一員でした。

ケリーは、多分家に来たときでも推定7歳ぐらい。

もともと肝臓の数値も良くなく、主人が倒れる年の夏には、肝臓に腫瘍が出来ていて「この夏持たないかもしれないですね。」と獣医さんに言われ一時は歩けなくなりました。

でも秋には少し持ち直し、散歩にもいけるようになり、食欲も出てきて、これならこの冬越せるかも。というまでになりました。


このケリーが、不思議なことに夫が倒れてから断食をするように、食べ物を食べなくなりました。

27キロもあったケリーですが、それからはどこに異動するのも私が抱き上げ、すっかり軽くなっていきました。

年末29日は、娘の誕生日ケーキささやかですが、病院の帰りにケーキを買って、ケリーも一緒にお祝いをしました。

翌日、何となくケリーの様子がおかしく、娘は私の母と留守番。私は、ケリーのことが気になりつつも、ICUは面会時間が短く決まった時間に行かないと面会出来ないので、病院に向かいました。

病院から帰ると、娘が「ママ、さっきまでケリーママのこと待ってたんだよ。どうして早く帰って来なかったの?」と、涙で顔がクシャクシャでした。

ケリーの身体はまだ温かく.本当に安らかで・・・。今考えても、胸が痛くなるくらいどん底で、暗い2007年の年の瀬でした。

今この話をすると、「きっとケリーちゃんを助けたのはご主人だから、きっと恩返しをしたんだよ。ケリーちゃんは、ご主人様が大変な時がよく分かっていて身代わりになったんだよ。」と、言われることがあります。私も今はそうだったのかもと思えます。


2007年の年の瀬は、夫も倒れてまだ意識もなく、家族の一員だったケリーも亡くなり、明日はどうなって行くんだろう。

という感じでした星空