人体に鍼が刺さるということ
鍼が刺さるという物理的刺激は、人体にどの様な変化をもたらすのか?
①皮膚表面で、チクチクとかキレるような痛み、速い痛み、嫌な痛みを感じる
この痛みは出したくない痛みです
鍼が皮膚表面で弾いたり、スパッと皮膚に刺さらない時に起きる事があります
皮膚表面には外界からの侵害刺激から体を守るために嫌な痛みを感じるセンサーが多いために起こります
②皮膚表面を通過した鍼先が筋肉の膜を通過する時、ズシっと重く鈍い痛みを感じます
この痛みは出したい痛みで、筋膜にはズシっと重く鈍い痛みを感じるセンサーが多いために起きる現象です
腰痛や肩こりなどの慢性痛が鍼を刺される事で再現されるような痛み、再現痛が起きれば異常収縮を起こしている筋肉筋膜が緩むサインだと思ってもらうといいです
③筋肉筋膜が緩むことで神経や血管のロックを解除出来ます
血流停滞や神経の異常な電気信号を除去します
また、ロックされた神経の絞扼を解除してやる事で神経が引っ張られて起きる牽引痛を改善させる事が出来ます
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどによる神経を刺激している状態であっても筋肉筋膜の二次的な痛みがメインの痛みである事がほとんどなので手術をお考えの方でも鍼治療を試す価値はあります
また手術後の痛みや痺れのケアにも有効です
④免疫系の活性化
人体に鍼が刺さるという物理的刺激は免疫系にも影響を与えます
炎症反応を再現する事で慢性化した痛みの超回復が期待できます
炎症とは、発赤、腫脹、熱感、疼痛
・発赤とは、赤くなる
・腫脹とは、腫れる
・熱感とは、熱くなる
・疼痛とは、痛み
鍼を刺す事でもう一度怪我をさせるイメージで、免疫系が活性化して傷を修復する様に働きます
⑤全身のロックを解除する
鍼治療の一番の目的は筋肉筋膜を緩める事で血流を良くしたり神経の絞扼を解除する事での痛みや痺れの緩和、除痛となりますが、もう一つの鍼治療の重要な目的は、脳をニュートラルな状態にして全身のロックを解除してやる事です
鍼を刺して痛覚をコントロールすることにより下行性痛覚抑制系を賦活させます
体に起きている痛みが脳に伝わることにより脳から痛みを抑えるフィードバック機構です
慢性痛以上の痛覚を一定時間以上加えることにより脳が痛みを感知し脳下垂体からβエンドルフィンという麻薬様物質を分泌し体の痛みを抑制します
ランナーズハイと同じ状態となり、βエンドルフィンが程よく放出されれば、鍼治療後お風呂上がりの様なスッキリとした感じや軽い運動をした後の様な爽快感が得られます
痛みの感受性には個人差があるため、鍼治療の刺激量と刺激時間にも個人差があります
βエンドルフィンは痛みに反応して放出される自己の麻薬様物質で、もともと人体に備わっている痛みを抑制するためのフィードバック機構により機能するのですが、慢性化した痛みには反応しにくくなっているため、新たに痛覚を加える事でそのフィードバック機構を活性化する事が出来ます
オーバードーゼになるとフワフワした様な感じになったり眠くなったり、数日は体がだるく感じる事がありますが、オーバードーゼギリギリまで痛覚をコントロールする事で全身のロックが解除されます
コルチゾールなどのストレスホルモンの排出にも作用します
鍼治療による痛覚刺激→脳下垂体からのβエンドルフィン放出→痛覚抑制→リラックス→変性意識状態(脳がニュートラル)により脳の凝りをとるイメージです
激しいトレーニングや禅寺での苦行、薬物以外で、効率的に脳をニュートラルに導ける手段の一つとなります
体の痛みをとる事、除痛はもちろん大切ですが、その先の脳をストレスフリーにしてやる事が大切です
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