株式会社と各取締役の関係は委任関係であり(会社法330条)、民法651条が適用されます。ただし、民法に対して会社法は特別法の関係にあるので、会社法に規定がある場合には会社法の規定が優先適用されます。

そこで、会社法を見ると、会社法339条1項の取締役をいつでも株主総会の決議で解任できるとする規定、同332条1項の「取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その期間を短縮することを妨げない」等の規定はありますが、取締役の辞任を制限する規定はありません。したがって、取締役は、民法の委任の規定に従い、何時でも辞任できることになります。

もっとも、民法651条は任意規定であるので「役員は今後X年間は辞めてはいけない」という条項を定款に特記事項として規定すれば、当該規定は定款上有効になり社内的にも効力を有します(会社法29条・相対的記載事項)。そこで、違法だから法律的に無効という主張は成立しません。

ただし、取締役の任期に関する事項は定款の相対的記載事項(法律の規定によって、定款に記載しなければ効力を持たないこととされている事項)ですから、株主総会の特別決議(議決権を有する株主の過半数が出席する株主総会における3分の2の賛成)により定款変更することを要します(会社法466条、309条2項11号)。それゆえ、たとえ相手会社と当該条項を含む協定を締結しても、株主総会の特別決議が得られなければ、定款を変更して当該事項を定款に規定できず、社内的にも有効にはなりません。