現在、国連人権理事会では、日本の「代用監獄」による警察拘禁が自白強要の温床となっており冤罪の原因として問題視されています。最近ではブログ上の書き込みに関して4人もの被疑者が誤認逮捕されたことは記憶に新しいところです。例えば、フランスでは、当初24時間の警察拘禁、その後24時間の警察拘禁の延長のみが可能です。ところが、日本の「代用監獄制度」の下では、警察拘禁が23日間可能であり、先進諸国中では異例なほどの長期間となっています(日本弁護士連合会の自由権規約人権委員会による是正勧告等に関するレポート http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/daiyo_kangoku_leaflet.pdf#search='勾留期間 日本')。確かに先進諸国でも被疑者の長期間に及ぶ拘禁を認めている国々はかなりありますが、それは警察拘禁ではなく司法管轄下の拘禁であるという点で日本の制度とは異なります。それは警察拘禁が性質上自白の強要及び冤罪の温床となり易いからです。
この点に関し、まず、2007年5月、拷問等禁止条約に基づき、国連拷問禁止委員会は、「代用監獄」が広くかつ組織的に利用されていることに懸念を示し、日本政府に対し、「未決拘禁が国際的な最低基準に合致するものとなるよう、速やかに効果的な措置をとるべきである」と勧告しました。次に、2008年10月の国連人権理事会の審査においては、ついに「代用監獄の廃止」が明示的に勧告されるに至りました(上記「日本弁護士連合会の自由権規約人権委員会による是正勧告等に関するレポート」より引用)。ところで、国連の自由権規約人権委員会による「代用監獄」制度を廃止するようにという是正勧告は1993年と1998年にも為されました。上記国連の人権理事会勧告による是正期限は2013年ですが、仮に日本政府が国連の人権委員会及び人権理事会の勧告を3度も拒否したとなると、今度は国連総会の三分の二の多数の議決による日本の理事国資格停止という制裁も視野に入ります。すなわち、勧告が3度に及んでいる以上、国連人権理事会としても4度目の勧告は実効性がないと考え、今度は国連総会の三分の二の多数の議決による日本の理事国資格停止という制裁を検討する可能性が十分にあるからです
ところで、日本政府は、警察において「捜査部門」と「勾留部門」の分離が実現されていること、日本の状況は欧米の諸状況と異なること等で勧告の拒否を正当化しようとしています。しかしながら、警察内部において「捜査部門」と「勾留部門」が分離されても、両方とも警察の管轄下にあることに変わりはなく実効性に疑問があります。すなわち、警察拘禁が性質上自白の強要及び冤罪の温床となり易いということは歴史上検証された事実でもあります。また、日本独自の状況を主張しても世界の警察拘禁に関するコンセンサスから乖離していることには変わりなく、世界の異質者として日本は孤立するだけです。
国連人権理事会は、人権侵害の状況を解消するために、日本政府に2013年までに自由権規約第一選択議定書(自由権規約違反に関する個人通報制度を含む)の批准も実現するように勧告していますが、どうもこちらの方も日本政府は乗り気ではないようです。なお、ある情報によると、最高検察庁も最高裁判所も批准に反対ではなく、警察関係者の反対が批准に対するネックになっているとのことです。驚いたことには、3度の勧告を受けても日本政府はあまり危機感をもっていないということです。これでは国連総会の三分の二の多数の議決による日本の理事国資格停止という制裁も非現実的ではなく時間の問題かもしれません。