はじめに

体をひねってください、と言われたら、ほとんどの方は回転します。

回転は、下も上も同じ方向に向きを変えることです。ねじりは違います。下が止まったまま、上だけが向きを変える。体の中に差が生まれている状態が、ねじりです。

この差が、力の正体です。ゴルフも野球もテニスも、腕の力で飛ばしているわけではありません。下半身を止めたまま胴体をねじって、その差を解いた瞬間に力が出ます。回転になっている方は、この差が作れないので、腕と手先で合わせにいくことになります。だから再現性が落ちますし、腰や肘を痛めます。

姿勢矯正トレーナー Regulusの星子豊英です。今日は「測る力」の3つ目、胴体のねじりです。膝と骨盤を止めたまま、股関節を支点に上半身が90度ねじれるか。これだけです。

おそらく、ほとんどの方ができません。できないこと自体は問題ではありません。問題は、できていないことに気づかないまま、ストレッチもトレーニングも続けてしまうことです。

やり方|椅子に座って、90度ねじる

やり方をお伝えします。椅子を使います。

椅子に浅く座ってください。
骨盤と上半身を、前傾に傾けます。お尻の上から前に倒していくイメージです。
足と膝は、ひと拳キープ。開かないようにしてください。

手は、頭の後ろに置きます。

ここが構えの基準です。

次に、前傾のまま、右のお尻側に体重を乗せます。
膝と骨盤が動かないように止めたまま、上半身だけを右に90度ねじる。
左右やってみてください。

ポイントは3つです。
前傾を崩さないこと。
膝と骨盤が動かないこと。
股関節に体重が乗っていること。

この3つが揃っていると、ねじりになります。
どれかひとつでも崩れると、ただの回転か、代償動作になります。

たいてい起きる、四つの代償

やってみると、たいていこの四つのうちのどれかが起きます。

ひとつ目、膝が開く、または動く。
ふたつ目、骨盤がついて回る。
みっつ目、上半身が起き上がって、前傾が崩れる。
よっつ目、肘が下がって、肩だけで回ろうとする。

どれも、ねじれていない証拠です。
前傾のまま、膝と骨盤が止まったまま、股関節の上で胴体がぐるっと向きを変える。それ以外は、ねじりではありません。

できなくて大丈夫です。
大事なのは、今の自分の体がどこで代償しているかを、正確に知ることです。

ねじりと回転は、別物です

ここが今日の核心です。

回転は、下から上まで全部が同じ方向を向きます。差がありません。
ねじりは、下が止まったまま上だけが向きを変えます。差が生まれています。

この「差」が、力の正体です。

弓を引いた状態を思い浮かべてください。
弦を引いて、放った瞬間に矢が飛びます。引いた差が、放った瞬間に解けて、力に変わる。

胴体のねじりも、同じ仕組みです。
下半身を止めたまま胴体をねじる。この差が、解かれた瞬間に力になる。これが、ゴルフでも野球でもテニスでも、本当のスイングやスローイングの正体です。

回転になっている方は、この差が作れません。
だから、腕と手先で合わせにいくしかなくなります。力も出ないし、再現性も出ない。おまけに、腰や肘にすべての負担が集中します。

股関節で捉えていないと、ねじりにならない

ここでひとつ、注意していただきたい話があります。

スポーツ庁の室伏さんが、胴体をねじる動画を出していらっしゃいます。見た目は、今日お伝えしたやり方とよく似ています。

ただし、そこに大事な条件がひとつあります。
股関節で正しく捉えられているかどうか、です。

股関節に体重が乗っていないまま、同じ動きをやると、どれだけ上手にねじっているように見えても、中身はただの回転になります。
骨盤がついて回る、膝が動く、上半身が起きる。本人は気づかないまま、代償で動いています。

股関節で捉えていると、骨盤が止まります。
骨盤が止まっているから、上半身だけが別方向に向きを変えられる。これが、ねじりが成立する条件です。

どんなに見た目を真似しても、股関節に乗れていなければ、ねじりにはなりません。
だから、順番があります。まず股関節に乗れること。そのうえで、ねじること。この順番を飛ばすと、動画を真似しているだけになって、効果が出ないどころか、腰を痛めるほうに働きます。

腰痛と肘の痛みが出る理由

ねじれない人がねじろうとすると、どうなるか。

胴体の中が動かないので、動ける場所が動くしかなくなります。
腰椎と、肘です。

腰椎は、本来ほとんどねじれる場所ではありません。可動域はごくわずかです。
肘も同じく、横にねじる構造にはなっていません。

それなのに、胸椎が動かないぶんを、腰椎と肘が肩代わりしてしまう。
一回のスイングなら、何も起きません。でも、1日何十回、何百回と繰り返した結果、腰痛と肘痛になります。

ゴルフ肘、テニス肘、ゴルフ腰痛。
その多くは、腕や腰の使いすぎではなく、胸椎の動かなさから来ています。

スポーツと歩きへのつながり

ゴルフでクラブを振る瞬間、バットでボールを捉える瞬間、ラケットでスイングする瞬間。
どれも、胴体のねじりが解かれる瞬間に力が出ます。

胸椎が90度ねじれる方は、同じ力でも遠くに飛びます。
ねじれない方は、腕と手先で頑張っても、ぜんぜん飛びません。

そして、スポーツだけの話ではありません。
歩くときにも、小さなねじりは起きています。右足を前に出すとき、骨盤はわずかに右に進み、肩はわずかに左に残る。この小さなねじりの連続が、歩きのリズムをつくっています。

胸椎が固まっていると、このねじりが起きません。
だから、歩きが棒のようになる。腕が振れない。肩甲骨が動かない。結果として、歩くたびに肩こりが悪化していく、という循環が起きます。

左右差は、日常がつくっています

ねじってみると、ほぼ全員に左右差があります。

右にはねじれるけど、左にはねじれない。あるいはその逆。
これには理由があります。

座り方、荷物をいつも持つ側、足を組む癖、スマホを見るときの首の向き。
片側だけ使い続ける時間が長いと、その反対側だけが硬くなります。

左右差を直すのに、何か特別なことをする必要はありません。
癖のある側を、意識して反対にしてみる。足を組むのをやめてみる。カバンを持ち替えてみる。それだけで、半年もすれば左右差は小さくなっていきます。

ただ、すでに癒着が強い方は、動かし方のトレーニングが必要になります。
胸椎を柔らかくする体操と、胴体のねじりの練習です。

緩めてから、使う

いつも通りの順番です。

ねじれない胸椎を、無理にねじろうとしないでください。
まず緩める。それから、使う。

胸椎の間にある関節、肋骨、肩甲骨周り。
この辺りの癒着を取ってから、ねじりの練習に入ります。順番を飛ばすと、やはり代償が強化されます。

Regulusでは、胸椎講座でこのあたりを体系的にお伝えしています。
胸椎と肋骨が柔らかくなるだけで、呼吸、肩こり、スイング、歩き方、全部が同時に変わっていきます。

前回とのつながり

前回の胸の独立と、今日の胴体のねじりは、兄弟のような指標です。

胸の独立は、胴体が一括りの塊か、分かれて動けるかを見ます。
今日のねじりは、分かれて動けたとして、どのくらいの差が作れるかを見ます。

胸の独立ができない方は、ねじりもできません。
胸の独立ができる方でも、ねじりで90度まで行かないことはよくあります。

どちらも、腸腰筋と胸椎の状態を映しています。
鏡の違う角度から、同じものを映している、そんなイメージです。

まとめ

今日は、測る力の3つ目。胴体のねじりでした。

椅子に浅く座って、前傾のまま、膝と骨盤を止めて、股関節に体重を乗せて、上半身だけを90度ねじる。
これが指標です。

ねじりと回転は、別物です。
下が止まって、上だけが向きを変える。この差が、スポーツの力の正体であり、歩きのリズムの正体です。

胸椎が90度ねじれる方は、ほとんどいません。
できなくて構いません。今の自分の状態を、正確に知ることが、測る力です。

そして、これができるようになると、腰痛も肘痛も減ります。スイングが変わります。歩きが変わります。
一本の指標の裏に、生活のほとんどが繋がっています。

続けている間だけ調子がいいなら、それは楽になっただけ。
何もしなくなっても崩れないのが、変わったです。

今日の話も同じです。このチャンネルは、楽になる方法ではなく、変わる方法をお伝えしています。

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