はじめに

両手をだらんと下げて、軽く前後に振ってみてください。

「気をつけ」の姿勢で振ったときと、膝を緩めて少し前傾したときとで、手の重さがはっきり変わる瞬間があります。

その軽くなる位置が、あなたの股関節重心です。

倒しすぎても、また重くなります。軽い位置は、一点だけです。

そして同じことが、噛み合わせでも起こります。頭の重さをどこで支えているかが変わると、顎の力み方まで変わるからです。

姿勢矯正トレーナー Regulusの星子豊英です。今日は「測る力」の1つ目です。道具はいりません。立ち上がって、一緒にやってみてください。

手の重さを覚えておいてください

つま先は真っすぐ、足の間はひと拳分。「気をつけ」で立って、両手を軽く振ってみてください。

今の手の重さを、覚えておいてください。あとで同じことをもう一度やります。そのときに、違いが分かります。

軽くなる位置を探す

膝をほんの少しだけ緩めます。足の裏は、母趾球側にふんわりと重みを乗せます。その状態で、上半身を少し前に倒していく。お尻の上を斜め後ろに突き出していくイメージです。

ゆっくり倒していくと、手がすっと軽くなる瞬間があります。肩の重さが抜けて、腕がただぶら下がっているだけになる。

その位置が、骨盤が前傾して、股関節に重心が乗った姿勢です。

胴体の癒着が強い方、腸腰筋や胸椎が硬い方は、違いが分かりにくいかもしれません。分からないままで大丈夫です。何度か繰り返すうちに、必ず分かるようになっていきます。

倒しすぎても、重くなる

軽くなる位置を見つけたら、そこからさらに前に倒してみてください。

また重くなります。

ただ前に倒せばいいという話ではないんです。軽い位置は、一点だけ。気をつけでも重い、倒しすぎても重い。その間のどこかに、軽くなる場所があります。そこを、どうか丁寧に探してみてください。

なぜ手が軽くなるのか

腕の重さそのものは、何も変わっていません。変わっているのは、支え方です。

重心が後ろにずれていると、上半身は後ろに引っ張られます。腸腰筋や胸椎が硬いと、肩が上がってきて、腕を体に固定しようとします。倒しすぎたときは、今度は背中が働いて、前に倒れないように支えます。

どちらも、どこかが代償して働いている。だから重いんです。

股関節に重心が乗ると、上半身を無理に支える必要がなくなります。肩が仕事から解放されて、腕はただぶら下がっているだけになる。だから、手が軽く感じるんです。

手の重さは、肩の状態を測っているのではありません。全身がどこに乗っているかを測っています。

「こんなに前のめりで大丈夫ですか」

受講生のほとんどが、同じことを口にされます。

実際にやってみると、かなり倒れている感覚があると思います。でも鏡で見てください。ご自身が感じているほど、前傾していません。

長年「気をつけ」に慣れてきた体が、本来の姿勢を異常だと認識しているんです。これは何度も繰り返しているうちに、普通になっていきます。それまでは、鏡や写真でご自分を確認してみてください。

今はまだ、自分の感覚を信用しないでください。信用できるようになるまでが、測る力です。

柔らかくなると、上体が起きてくる

今、前傾しないと股関節に乗れないのは、体が硬いからです。前鋸筋や広背筋の癒着、腸腰筋や胸椎の硬さが、上体を前に倒させています。

ここが柔らかくなると、どうなるか。

骨盤は前傾したまま、重心は股関節のまま、手は軽いまま。その状態で、上体がすっと起きてくるようになります。

猫背、巻き肩、反り腰、ストレートネック。全部、この過程で一緒に変わっていきます。形を直したからではなく、支え方が変わった結果として、形も変わっていく。

まず緩める。そして使う。姿勢の五つの力の順番です。

歩き方にもつながる

立っているときに股関節に乗れない方は、歩くときにも乗れません。膝で歩くことになるので、一歩ごとに膝や足首、腰に負担がかかります。

毎日1万歩歩いても、体を壊す方向に働いてしまうんです。

股関節に体重が乗ると、負担なく、軽やかに、呼吸が深いまま歩けるようになります。歩き方については別の回で詳しくお話ししますが、今日はまず、立っているときの軽さを覚えてください。そこが、歩くときの出発点になります。

噛み合わせも変わる

もう一つ、その場で分かる指標があります。噛み合わせです。

最初に、気をつけの姿勢で噛んでみてください。その感覚を覚えたまま、膝を緩めて、母趾球側で少し前傾する。手が軽くなる位置を作って、もう一度噛んでみてください。

噛み合わせが変わります。

意外に思われるかもしれませんが、咬合と重心は、かなり密接に関係しています。頭や首がずれると、下顎の位置もずれるからです。逆に、重心と姿勢が整うと、噛み合わせも変わっていく方が多いです。

歯科矯正の先生方も、この関係に注目し始めています。

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実際に現在、歯科医院にもRegulusのメソッドを導入していただいています。

ご興味のある歯科関係の先生がいらっしゃいましたら、ホームページのお問い合わせからご連絡ください。私が患者様に直接指導する形ではなく、医院のスタッフの方が患者様に指導できるようになる形です。歯科医師の先生、歯科衛生士の方に研修をお受けいただき、その医院で完結できるようにお手伝いしています。

頭の重さを、どこで支えているか

なぜ噛み合わせが変わるのか。

頭は5kgから6kgあります。重心がずれて、猫背や巻き肩、ストレートネックがあると、この重さを首や顎で支えることになります。支えるために、無意識に噛みしめます。眠っているときの食いしばりも、これと無関係ではありません。

股関節に重心が乗って、腸腰筋や胸椎が柔らかいと、頭が首の真上にすっと乗ります。まっすぐではありません。首は自然にカーブを描いています。

無理に支える必要がなくなるので、噛みしめが減る。結果として、噛み合わせが軽くなっていきます。

噛みしめが減ると、顎回りの緊張も緩みます。フェイスラインがすっきりしたと言われる受講生も、本当に多いんです。

外からほぐしても戻る理由

顔回りの緊張の原因が、顔にないことがある。これは、覚えておいていただきたいお話です。

顎のマッサージや美容矯正を否定するつもりはありません。受けた直後は、確かに緩みます。ただ、重心や姿勢そのものが変わっていなければ、同じ場所がまた緊張していきます。

外側からどれだけほぐしても、支え方が変わらなければ戻る。これが、ここまで何度もお話ししている構造です。

根本から変えるなら、重心と姿勢です。

まとめ

今日は、測る力の1つ目。手の重さで、股関節重心の感覚を見つけるというお話でした。

気をつけでも重い、倒しすぎても重い。その間に軽くなる位置がある。それが股関節重心です。

今は前傾しないと股関節に乗らなくても、胴体深部が柔らかくなれば、同じ重心のまま上体が自然に起きてきます。猫背、巻き肩、反り腰、ストレートネックも、一緒に変わっていきます。そして、噛み合わせも同じことを教えてくれます。

続けている間だけ調子がいいなら、それは楽になっただけ。何もしなくなっても崩れないのが、変わったです。

今日の話も同じです。このチャンネルは、楽になる方法ではなく、変わる方法を示しています。

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