バランスボードの上で、教科書どおりの姿勢を作ってみます。

耳、肩、股関節、膝、足首。まっすぐ並んだ、あの姿勢です。

ボードが完全には止まりません。筋肉で頑張っても、3秒以上、力みなく完全静止させることはできません。

姿勢矯正トレーナーRegulusの星子豊英です。今日は「知る力」の3回目です。1回目と2回目の投稿を見ていない方は、ぜひご覧ください。

なぜ「正しい」とされる姿勢でボードが完全に止まらないのか。その理由が分かると、姿勢の見方が変わります。


先に言葉を揃えさせてください

重心とは、重力が作用した結果、全体の重さを1点に集中させたとみなせる点のことです。

やじろべえを思い浮かべてください。支点の下に重心があるから、手を離しても倒れません。

人の体も同じです。重心が1点に集約されていれば、力を入れなくても自然と立っていられます。逆に集約されていなければ、どこかの筋肉が働き続けて、倒れないように支えるしかありません。

ここまでは物理の話です。


医学生の教科書には、何が書いてあるか

では、医学生の教科書には何が書いてあるのか。重心が通る位置として、5つの点が挙げられています。

  1. 外耳道

  2. 第2頚椎の歯突起

  3. 股関節の後方

  4. 膝関節の前方

  5. 足関節の前方

この線に沿って立つのが、標準的な「正しい姿勢」とされています。

ここで、ひとつ注意していただきたいことがあります。

この線は、骨格バランスのみを考慮した姿勢です。

骨をどう積み上げるのか、という点で決められています。

私が見ているのは、そこには入っていないものです。


内臓の重さは、入っていない

体は骨だけでできてはいません。誰もが内臓があります。そして主な内臓は、体の前方にあります。

骨の並びだけを揃えると、前にある重さの分が入っていません。だから教科書どおりに立つと、見た目がまっすぐでも、重心は集約されていない。そんな状態になります。

そして、重心が集約されていないとどうなるのか。

体を固めて、力で支えるしかなくなります。見た目がまっすぐな姿勢ほど、実は力んでいます。これが、私が「重心がずれた姿勢」と呼んでいる状態です。

これは、教科書が間違っているという話ではありません。骨格を見るための線として、正確に書かれています。ただその線のとおりに立つことが、体にとって楽かどうかは別の問題ということです。


ボードが教えてくれること

ここが今日の核心です。

言葉で説明すると、どうしても意見の対立になります。でもボードの上では、結果が出ます。

止まるか、止まらないか。

それだけです。

目の前に起きている現象を重要視しています。ボードが少しでもぶれるということは、体のどこかに負担がかかっています。倒れないように、常に修正し続けている状態です。

では、どうすると止まるのか。

膝が緩み、骨盤が前傾し、上半身がほんの少し前に出る。止まりました。完全に。

今、私は全身が脱力している状態です。筋肉で止めているのではなく、重さが釣り合っているから完全静止します。

たかがバランスボード、されどバランスボードなんです。


骨盤前傾と反り腰は、別物です

骨盤が前傾すると聞くと、必ず反り腰を想像される方がいます。これはまったく別のものなので、今日はっきりさせておきます。

反り腰は、腰椎に力が入っています。腰を反らせて、上半身を後ろに倒している状態です。足の裏もかかと側で、膝がピンと伸び切っています。肩や首にも力が入っています。

対して、股関節重心の骨盤前傾は、腰椎に圧力がかかっていません。腰椎はゆるゆるです。

見るべき点は4つです。

  1. 首の根元

  2. みぞおちの中心

  3. 骨盤の中心

  4. 足首の根元

この4つが、1本の線に並びます。かつ、骨盤は前傾で、足の裏はフラット。これをRegulusでは「中心軸」と定義しています。

肩の位置も重要です。腸腰筋が活性化していると、肩は下に下がり、背中側に位置します。胸椎が柔らかいと、首の下には強張りはありません。骨盤が前傾していても、この4点が綺麗に並んでいれば、腰に圧力はかかりません。


止まらない人に、何が起きているか

ここが分かれ目です。

小学生も、プロサッカー選手も、日本代表選手も、最初はボードを静止できません。これには理由があります。

ずっと膝重心でプレーしてきたから。そして、腸腰筋と胸椎が硬く、胴体の筋肉に癒着が多いから。だからボードはぶれてしまいます。

癒着が多くて胴体が硬いと、深く前傾するしかボードは静止できません。胴体深部が硬いほど、前に倒れるしかなくなります。

これが癒着が取れて柔らかくなると、上半身をまっすぐ起こしたまま、完全静止ができるようになっていきます。同じ「止まる」でも、中身が違うんです。

だから順番があります。まず緩めて、そして使う。

姿勢の五つの力の3番目と4番目の話に繋がっていきます。


バランスボードを、試してみてください

今日、皆さんに1つだけお願いがあります。

公式LINEでお勧めしているバランスボードを手に入れて、乗ってみてください。現在、Regulus独自のバランスボードも開発中です。旅行や遠征でも持っていけるように、コンパクトなものを開発しています。

そして、教科書どおりの姿勢で立ってみてください。止まれないことが分かるはずです。

これは、私が今日説明した言葉を、ご自分の体で確認していただく作業です。

信じてください、ではありません。確かめてください、ということです。

これが、次の「測る力」につながります。止まらなかった方は、それが出発点になります。次回から、その理由をひとつずつ見ていきます。


今、進めていること

ここまでお話ししたことは、私の考え方です。まだ広く共有されている常識ではありません。

だから今、臨床研究センターと共同で、筋電図の測定を進めています。教科書どおりの姿勢と、股関節重心の中心軸のある姿勢で、筋肉の働き方がどう違うのか。結果が出たら、このチャンネルでそのまま出します。

仮説どおりでなかった場合も、そのまま出すつもりです。体感ではなく、計測で話したいと思っています。

その過程も発信していきますので、ぜひフォローをお願いします。


まとめ

今日の話をまとめます。

重心とは、全体の重さが1点に集約されること。集約されていれば、力を使わずに立てます。

医学生の教科書に載っている重心線は、骨格バランスのみを考慮された姿勢です。内臓を含めた重さは、そこには入っていません。だから教科書どおりに立つと、ボードの上では完全静止が3秒以上できません。ぶれるということは、体のどこかに負担がかかっている状態です。

次回から「測る力」に入ります。自分の体を、自分で測る方法を示していきます。

そして最後にもう一度。

続けている間だけ調子がいいなら、それは楽になっただけ。何もしなくなっても崩れないのが、変わったです。

今日の話も同じです。このアカウントは、楽になる方法ではなく、変わる方法を示しています。


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