歩き方が変わらない理由は、膝と股関節の切り替えにある
歩き方を直そうとして、姿勢を意識して、足を上げて、腕を振って。
それでも数日で元に戻る。そういう方がほとんどです。
理由はとてもシンプルで、膝で歩いているからです。
今回は「膝で歩く」と「股関節で歩く」の決定的な違いを、後ろ足という一点から整理してお話しします。
見るべきは前足ではなく、後ろ足
まず、理想の歩きから確認します。
骨盤が前傾していて、上体が持ち上がっていて、足裏はフラットに接地する。接地と骨盤と上半身の角度、この三つはいつもお伝えしている通りです。
ただ今日は、そこではありません。後ろ足に注目してください。
結論から言います。
後ろ足を、残さないんです。
それが股関節重心です。重心が骨盤の中に収まっているので、後ろに置き去りにする理由がない。だから足が前へスッと運ばれていきます。
この軽さです。まさに、子どもの歩き方ですね。
後ろ足を残した瞬間、どこに来るか
反対に、後ろ足を残す歩き方。これが現代人にいちばん多い歩きです。
実際に残してもらうと、はっきり分かります。
膝、太もも、ふくらはぎ、足首。ここに一気に負担が入ります。
この瞬間、重心は骨盤の中から外れています。膝のあたりで体を支えているような状態ですね。これが膝重心です。
早く歩いても同じです。大股で歩いても、膝で取られます。
股関節で捉えられている人は、膝に切り替わるギリギリのところで、もう前に運んでいる。この差なんです。
膝痛、足首痛、股関節痛。出る位置が人によって違うのは、どこで支えているかが違うからです。
モデルウォーキングが不自然に見える理由
膝をピンと伸ばして、寄せて、肩を引いて、頭を少し後ろへ。
いわゆるモデルウォーキングも、実は後ろ足を残す歩きです。
残す、残す、残す。だから膝が痛くなりますし、脚も細くなりません。股関節の付け根も、ものすごく使っています。
もちろん、魅せるための歩きなので、一時的にはそれで構いません。
ただ、日常がその歩きになっている方は、常に脚に負担をかけ続けている状態だと思ってください。
腰にも、首肩にも、膝にも負担がかかっています。
脚痩せや骨盤底筋は、狙って鍛えるものというより、重心が股関節に収まったときの副産物です。
基本の姿勢に、すべてが詰まっている
指標になるのは、肩の位置です。
肩が下に落ちて、背中側にある。この位置になるほど、体は楽になっています。
そのうえで、
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骨盤が前傾
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膝が緩んでいる
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足裏はフラットで、母趾球に乗る
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胸郭が開く
-
首も自然な湾曲になる
首の下、背骨がやわらかいので、胸椎はまっすぐです。
これが基本の姿勢です。ここが手に入れば、あとは自由自在です。
反対に、重心がずれた姿勢はこうなります。
骨盤が中立から後傾して、膝がピンと伸びる。あるいは後傾のまま猫背、巻き肩。呼吸が浅くなり、首も真上を向く。腰に力が入るので、首肩に来る。
この状態で歩いているんです。後ろ足を残して歩くと、こうなります。
ただし、注意点があります。
この基本の姿勢をそのまま真似しても、多くの方はただ腰が痛くなるだけです。
癒着がなくて、腸腰筋と背骨がやわらかいから、上体が勝手に上がってくる。順番が逆なんですね。
その場で確かめる方法
体験してみてください。
足はまっすぐ、膝と膝のあいだは一拳分。膝を少しゆるめて、母趾球に乗せます。
上半身をわずかに倒して、お尻を後ろに突き出す感覚です。
この時点で後傾になっていたら、それは違います。
そのまま股関節に手を置いて、母趾球、母趾球、母趾球、と乗り続けてみてください。
どうでしょうか。
後ろ足が残らない感じ、しませんか。自然と、後ろ足が前に行くんです。
あえて残そうとすると、途端に重さが戻ってきます。
指標は「手が軽くなるか」
正しく乗れているかどうかは、感覚で確認できます。
母趾球にふんわり乗ると、手がスッと軽くなります。
肩の力も抜けます。そして、噛み合わせが軽くなる。
ずれた姿勢では、手も重い、肩も重い、噛み合わせも重い。
やってみると、この差ははっきり分かります。
バランスボードで「止まれるか」
この感覚を身につけるために、バランスボードに乗ります。
まっすぐ一拳分で、均等な位置に乗る。膝を曲げて、お尻を突き出して、前傾する。
そして、ここで止めること。まずはここからです。
止まるのは、重力に逆らっていないからです。
逆らうと震えます。どこかに力が入ると震えます。
まっすぐ置けたつもりでも、ぶれていたら意味がありません。高バランスボードは、正確に止めなければいけない道具です。
止まったとき、浮いたような立ち姿勢が手に入ります。体に負担がないので、力が抜ける。
逆に言えば、皆さんは普段どこかに必ず力が入っているということです。
首、肩、左右差、開いた膝。常に重力に逆らい続けているから、悩みが解消できないんです。
腸腰筋が動いているかどうかの指標
前傾して乗せて、膝が開かないようにねじり、お腹を入れ込むように丸める。
息を吐きながら、丸めて、反る。これを十回。
骨盤が後傾したら、意味がありません。しっかり前傾で乗せて、ねじって、ふーっと吐きながら丸めます。
これで腸腰筋が活性化すると、肩が下がります。一回でも下がります。
もうひとつの指標が、頭と骨盤を動かさずに、胸だけを独立して動かす動きです。
小さく、大きく、また小さく。鎖骨とみぞおちのあたりで動きが出ます。
さきほどの肩の位置と、この胸の独立した動き。
この二つができないということは、腸腰筋が動いていない、ということです。
「ねじり」と「回転」は、まったく違う
前傾して乗せて、骨盤と膝を動かさずに九十度ねじる。
これが野球、ゴルフ、テニス、卓球の動きです。サッカーもそうですね。
一方、後傾して膝が開いた状態で回るのは、ただの回転です。これは誰にでもできます。
ミリ単位で、回転とねじりは変わります。
ねじりは股関節を境にして起きるもので、骨盤は動きません。骨盤が動いた時点で、それは回転です。
膝で入る人は、膝が少し伸びて、そこから動く。股関節で捉えられる人は、その手前から動けます。
着地の瞬間、膝の皿がグッと沈み込む感じがあれば、それは膝です。
股関節で捉えられていれば、膝は動きません。
内旋も、股関節で捉えていなければ意味がない
内転筋の感覚を、一拳分で膝を締めることでつくる。これを内旋と言います。
ただし、膝重心のまま内旋しても、内転筋はまったく感じません。
膝、ふくらはぎ、足首に負担が来るだけです。
膝を少しゆるめて、股関節から内旋する。そうすると、ふーっと内転筋が感じられます。
つまり内旋の意識は、股関節で捉えられていることが大前提なんです。
後傾して重心がずれた人が同じ意識をやっても、股関節の付け根、腰、膝、足首のどこかに負担が来ます。
最優先は重心です。膝がピンと伸びれば、太ももに来る。ほんの少しゆるんでいる、それだけで止まります。
結局、意識しなくても変わる
ここまで書いてきた膝と股関節の切り替えは、その場で意識してやろうとするものではありません。
もちろん練習はします。ただ、本質はそこではないんです。
基本の立ち姿勢が手に入り、その体が手に入り、その歩きが手に入ると、いま説明したことが無意識にできるようになります。
この立ち姿勢に、すべてが詰まっています。
いちばん基本のここができれば、あとは何でもできるようになる、という意味です。
歩き方を直そうとしてきた方ほど、直すのをやめて、立ち方から見直してみてください。
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