育児休業規程 第○○条 育児休業期間の賃金等の取扱い
育児休業を取得する場合に、休業期間中の賃金をどうするのかについては、会社として検討事項のひとつになります。
法令では、育児休業期間中に賃金を支払うことまでは定めていませんので、有給にするか無給にするか、有給ならどの程度支払うのかは、各会社が、支払能力や会社の方針などを含めて検討し、決定することが必要となります。
ただし、一度支給することにしたのに、後々、「やっぱり支給するのをやめた(あるいは減額する)」ということになると、“労働条件の不利益変更”となり、ややこしい問題が発生する可能性があるので、最初の段階で慎重に検討する必要があります。
できない約束はしないことが重要です。
その他、育児休業期間中の
賞与の支払い
昇給
住民税、その他賃金から控除すべきものがある場合の取り扱い
についても決定しておく必要があります。
これらの事項についても、法令上特に決まっていることはありませんので、会社の実態に応じて、どのようにするのかを決定すればよいでしょう。
以下、一般的な条文を例示します。
(育児休業期間の賃金等の取り扱い)
第○○条
育児休業の期間については、基本給その他の月ごとに支払われる賃金(諸手当を含む)は支給しない。
2. 育児休業者には賞与を支給しない。ただし、賞与算定対象期間中に育児休業を開始又は復職した者については、算定対象期間の出勤率を勘案して計算した額を支給する。
3. 育児休業の期間中に昇給があった場合にも、休業者の昇給は行わない。
4. 住民税の納付方法については、その都度個別に協議する。
5. 前項以外に育児休業期間中に毎月の賃金より控除されるべきものがある場合には、会社と従業員との協議により支払方法を決定する。
育児休業期間中には、
①社会保険料の免除(従業員負担分も会社負担分も免除される)
②育児休業基本給付金の受給(受給資格がある人のみ)
を受けることができます。
①については、子が満3歳になるまでの育児休業について、社会保険料が免除されます。育児休業中に賃金を受けていても社会保険料は免除されますし、従業員負担分だけでなく会社負担分も免除されますので、忘れずに申請してください。
(申請しないと免除されません)
②については、受給資格がある場合に請求をすれば、子が満1歳(事情によっては1歳2ヵ月または1歳6ヵ月)になるまでの育児休業について、育児休業前の賃金のおよそ40%(当面は50%)が育児休業期間中に支給されます。
なお、この給付金は、育児休業中に賃金を受けている場合、
育児休業中の賃金額+育児休業基本給付金の額 > 育児休業前の賃金のおよそ80%
となると、超えた額によって給付金が減額あるいは支給されない、ということになります。
育児休業期間中に賃金を支給する場合には、この点も考慮する必要があるでしょう。
中小企業では、育児休業期間の賃金は支払わないというのが一般的だと思います。
これは法律違反ではないので問題ないのですが、逆に考えると、育児休業期間中も賃金を(いくらかでも)支払うなど、会社が育児支援を積極的にしているというのはひとつの差別化になのではないかと思います。