第○○条  労働時間・休憩時間及び休日の適用除外 | 就業規則のネタ

第○○条  労働時間・休憩時間及び休日の適用除外

今回の条文については、就業規則中に載せる必要があるかどうかという点について、私個人としていろいろ考えることがあるのですが、労務管理上、問題になりやすい部分なので、あえて書こうと思います。


労働時間・休憩時間及び休日の適用除外 というのは、一般的に、

 課長になると残業代が出なくなる(会社によっては課長ではないかもしれないが)

といわれるものであります。

労働時間・休憩時間及び休日の適用除外であるから、1日8時間、1週40時間(業種等によっては44時間)を超えて、また、法定休日に働いても労働基準法違反にならず、時間外・休日労働の割増賃金を支払う必要もない、ということでいくら働いても残業代が出ないということになります。


少し早いのですが、一般的な条文を例示します。



(労働時間・休憩時間及び休日の適用除外)

第○○条

次のいずれかに該当する従業員には、第○○条から第○○条に定める労働時間・休憩時間及び休日についての規定は適用しない。

(1)監督もしくは管理の地位にある従業員又は機密の事務を取り扱う従業員

(2)監視又は断続的業務で、会社が行政官庁の許可を受けた従業員



(1)について、具体的には以下のようになります。

 監督もしくは管理の地位にある従業員(以下、管理監督者という) … 実体を伴った管理職

 機密の事務を取り扱う従業員 … 秘書など


ここで、特に労務管理上問題になり、会社と従業員とのトラブルの種になりがちなのは、管理監督者についてです。

 課長になると残業代が出なくなる

ということは、世間では割と普通に行われていますが、会社と従業員とのトラブルが発生したり、労働基準監督署の調査の際には、管理職という肩書だけでは管理監督者であるというようには認められません。あくまでも管理監督者であるという実体が伴っていることが必要となります。


その判断の基準としては、

①経営者と一体の立場で、労務管理を行っていること(労務管理方針の決定に関与したり、一般の従業員の指揮監督をしている)

②現実の勤務態様が、労働時間等の規制になじまない立場であること(労働時間等に規制を超えて働くことを要請されている)

③自己の勤務について、自由裁量の権限を持ち、出退勤の時間について厳格な制限を加えられていないこと

④管理監督の地位に対する特別の手当等が支払われていること

等を総合的に考慮する、ということになっています。

つまり、①から④のうち、1つでも実態と異なっている場合、管理監督者と認められることは難しいと考えられます。


そのため、同じ会社の同じ課長でも、勤務の実態によって管理監督者と認められたり認められなかったりということも起こりえますし、肩書がなくても管理監督者と認められるということもないとはいえません(これはまずないでしょうが)。

いずれにしても、むやみに肩書をつけて管理監督者ということにし、残業代を支払っていない会社については、それが発覚した場合には、必ず未払いの残業代の支払を命じられることになりますので、そのような会社では、早くそのような状況を改善する必要があるでしょう。


また、このように安易に管理監督者としている影響からか、本当に管理監督者にあたる人でもその自覚が足りないように見えることも意外と多いので、あらゆる会社において、管理監督者には、その地位と職務に対する自覚を持たせるということを徹底して行ったほうが良いと考えています。


(2)の、監視又は断続的業務については、寮母、宿直などが挙げられるが、実態に即して労働基準監督署が許可するかどうかを決めることになります。