ヒトES細胞、マウス胚で分化成功 再生医療で応用期待 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

ヒトES細胞、マウス胚で分化成功 再生医療で応用期待

万能細胞のヒトES細胞をマウスの胚(はい)に移植し、神経や筋肉などになる細胞に分化させることができたと、近畿大の岡村大治講師(発生生物学)らの研究グループが発表した。人間の体が作られる仕組みの解明などにつながるという。論文が英科学誌ネイチャー電子版に7日、掲載された。
体のさまざまな部位になれる人間の万能細胞をブタなどの動物の胚に入れ、人間の臓器を作ることができれば、再生医療につながると期待されている。だが、人間とは異なる種の細胞を混ぜた状態で成長させるのが難しかった。
岡村さんらのグループは米国のソーク研究所で、ヒトES細胞を独自の方法で培養したうえで、マウスの子宮に着床した胚を取り出して移植。胚を試験管で1日半培養したところ、ES細胞はマウスの細胞と混じり、神経や筋肉などに成長する細胞に分化したことが確認できたという。従来の方法で培養したES細胞は胚の中で育たず、研究グループは「培養方法を変えることで、新しい性質を持ったES細胞を作ることができた」としている。
しかし、着床後に子宮から取り出した胚を戻して成長させる技術は確立されておらず、今回の研究成果を動物の体内で人間の臓器を作ることに、すぐに応用できるわけではないという。
岡村さんは「人間の細胞が着床後にどのように分化していくかを詳しく調べられるので、人間の発生学の研究には大きな前進になる」と話している。
(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASH525K4ZH52PLBJ001.html

ES細胞培養:受精卵と混在でさまざまなヒト組織細胞に
ヒトのES細胞(胚性幹細胞)を特殊な方法で培養し、マウスの受精卵と混ざった状態でさまざまな細胞に変化する能力を持たせることに世界で初めて成功したと、近畿大の岡村大治講師(発生生物学)らが6日付の英科学誌ネイチャー電子版で発表した。移植用のヒトの臓器を動物の体内で作る技術につながる成果で、ヒトの受精卵が成長する過程の研究にも役立つという。
岡村講師が米ソーク研究所に在籍中の研究。マウスのES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、他の動物の受精卵に混ぜると一緒に成長して体のさまざまな細胞や組織になる。ヒトではこの性質はなく、研究が競争となっていた。
岡村講師らは、特定のたんぱく質の働きを妨げる物質「Wnt抑制剤」などでヒトのES細胞を培養すると、マウスの受精卵に混ぜても増殖を続け、筋肉や神経などのもとになる細胞に分化することを突き止めた。ただ、子宮に着床した後のマウス受精卵で、腹から下になる部分でなければ増殖・分化せず、「領域選択型幹細胞」と名付けた。
さらに、ヒトのES細胞は細胞を1個ずつばらばらにすると死んでしまうが、新たな培養法ではばらばらでも増殖を続けることが分かり、ES細胞の簡単な培養法としても注目される。
移植用の臓器を作らせる動物は、臓器の大きさがヒトに近いブタが想定される。岡村講師は「さらに技術開発が必要だ」と話している。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150507k0000e040092000c.html

人の多能性幹細胞に新能力 マウス受精卵と混じり変化 近畿大講師ら
さまざまな細胞や組織に変化する能力を持つ人の胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)に、マウスの受精卵と混じり合って変化、増殖する能力を持たせることに成功したと近畿大農学部の岡村大治講師(発生生物学)らが6日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
傷ついた体の組織を人の多能性幹細胞で修復する治療法の研究が進む一方、臓器を人の体外で作るのは難しいとされる。新しい能力を持たせたことで、将来、ブタなどの動物の体内で人間の臓器を作り、臓器移植に使う研究に応用できる可能性があるという。
岡村講師らによると、「Wnt抑制剤」という化合物を加えるなどの新たな方法で人のES細胞を培養。着床後のマウスの受精卵に注入すると、下半身に成長する部位に定着し、神経や筋肉などの元となる細胞に分化した。iPS細胞も同様に増殖がみられた。これまで人のES細胞やiPS細胞は、マウスの受精卵に移植しても増殖や分化はしないとされていた。
国内では現在、倫理上の問題から、人の細胞を導入して動物の子を作ることは禁じられている。岡村講師は米ソーク研究所に在籍中に成果としてまとめており、「すぐに実用化に結びつくものではないが、人の発生の仕組み解明にも期待できる」と話している。
(産経新聞)
http://www.sankei.com/west/news/150507/wst1505070020-n1.html

ヒトのES細胞に新能力 近大、マウス胚に移植
近畿大学の岡村大治講師らはヒトの胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞を特殊な条件で培養すると、マウスの胚の中で神経や筋肉の細胞に育つ性質を示すことを突き止めた。再生医療向けに移植用の臓器を動物の体内でつくる技術につながる可能性があるという。
岡村講師が米ソーク研究所に在籍していた時の研究成果で、英科学誌ネイチャー(電子版)に7日掲載された。
ヒトのES細胞やiPS細胞はあらゆる細胞に育つ能力を持つ。ただ通常の培養法では動物の胚に入れても混ざらず、こうした変化は起こらない。
研究チームは特殊な化合物やたんぱく質などを加えてES細胞を培養した。マウスから着床後の胚を取り出し、将来下半身になる部分にこの細胞を移植すると、神経や筋肉のもととなる細胞に育った。
培養条件の工夫によってES細胞の性質が変わり、マウスの胚の中で死滅せずに増え、成長したと岡村講師は考えている。iPS細胞も同様に増えた。
今回の技術はヒトの発生の仕組み解明に役立つほか、将来、ブタの体内で人間の臓器をつくり患者に移植する再生医療につながる可能性がある。ただ実現にはES細胞などを移植した後の胚を動物の子宮へ戻す技術や、臓器につながる神経や血管をヒトの細胞から作る技術なども必要という。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07H31_X00C15A5CR0000/

人の多能性幹細胞に新能力 マウス受精卵と混じり変化
さまざまな細胞や組織に変化する能力を持つ人の胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)に、マウスの受精卵と混じり合って変化、増殖する能力を持たせることに成功したと近畿大農学部の岡村大治講師(発生生物学)らが6日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
傷ついた体の組織を人の多能性幹細胞で修復する治療法の研究が進む一方、臓器を人の体外で作るのは難しいとされる。新しい能力を持たせたことで、岡村講師は「移植用に人の臓器をブタで作らせる技術や、人の発生の仕組み解明に役立つ可能性がある」と話す。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201505/CN2015050601001461.html


動物胚でヒト細胞分化=ESで初確認、将来医療応用も-米ソーク研
一定の条件下でヒトの胚性幹細胞(ES細胞)を培養し、着床後のマウス胚に移植すると、細胞が定着、増殖し神経や筋肉の基となる細胞に分化することを、米ソーク研究所の岡村大治博士研究員(近畿大講師)らのグループが発見した。動物の胚で人間の細胞の分化が確認できたのは世界初という。論文は7日、英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載された。
岡村博士研究員は「何年先になるか分からないが、さらに技術革新が進み倫理的な課題が解決されれば、ブタなどの動物で移植用のヒトの臓器を作製できる可能性がある」と話している。
研究グループは、特定のたんぱく質と小分子化合物を用い、培養液として牛の血清を使わない条件で、サルやヒトのES細胞を培養。マウスの子宮から取り出した着床後の胚の後極(将来下半身になる部分)に移植したところ、ES細胞が定着、拡散し分化したという。同様の条件で作ったヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)もマウス胚で定着、拡散したが、ES、iPSいずれも胚の前極側では定着、拡散しなかった。
将来的には、動物体内での人間の臓器作製のほか、着床後のヒト初期発生のメカニズムを明らかにし、流産を防止する治療法などの開発に発展する可能性があるという。
動物体内で人間の臓器を生み出す研究は、人間か動物かはっきりしない生物の誕生につながる恐れがあり、日本では現在承認されていない。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015050700138




どこのグループかと思いましたが、ソークと聞いてもしやと思ったところ、やはりベルモンテでしたか。
ほんと、何でもやりますね。この人は。
ヒトでのキメラは日本では禁止されていて、かなりグレーな研究ですが、最近のEpiSC関連の複数の論文から考えると、十分に考えられる結果で、誰かやるんじゃないかと思っていましたが、さすが速いですね。。
目的にもよるとは思いますが、厳密なnaive化を目指すのか、はたまた今回の論文のようにより未分化なPrimedでいいのかはまだ一長一短があって難しいところです。ただ、それを補う技術さえあれば、かなり大きな可能性を秘めているのは間違いなさそうですね。