iPS細胞でヒトの精子や卵子作製へ 国内初、慶大など | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

iPS細胞でヒトの精子や卵子作製へ 国内初、慶大など

体のあらゆる組織の細胞になる能力のあるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ってヒトの精子や卵子を作る研究を、慶応大などのチームが計画し、学内の倫理審査委員会に申請した。倫理委に認められれば、年内にも研究に着手する。iPS細胞からヒトの生殖細胞を作る研究は国内初。不妊治療などにつながると期待されるが、技術的にも倫理的にも課題があり、情報公開を求める声も出ている。

岡野栄之慶応大教授(再生医学)らと全国有数の不妊治療件数のある「加藤レディスクリニック」(東京都)、実験動物中央研究所(川崎市)が共同で研究する。京都大の山中伸弥教授が白人女性のほおの皮膚からつくったiPS細胞を使い、生殖細胞に必要とされる遺伝子を働かせて精子や卵子に成長させる。受精や着床は行わないという。23日に慶大の倫理審査委員会に申請した。

ヒトの精子や卵子を作る研究については、4年前にiPS細胞作製の成功が発表された直後から、研究者らの間で是非が議論されてきた。

iPS細胞の安全性がはっきりしない中、次世代に影響を残しかねない生殖細胞づくりの研究には慎重論が根強い。さらに、理論的には1人の人間から精子と卵子を作ることも可能で、法律で禁じられているクローン作製との線引きが難しい面もあり、国内では禁止されていた。

しかし、生殖細胞ができる仕組みがわかれば、不妊症の治療研究にも役立つという研究者らの声を受け、文部科学省は今年5月、受精や子宮に入れることはせず、基礎研究に限るという条件つきで生殖細胞づくりの研究を認めた。

生殖細胞の作製は技術的に難しく、米国の研究チームがヒトのiPS細胞から精子や卵子の元になる細胞はできたと報告しているが、文科省によると、完全な精子や卵子までできたという研究発表は今のところないという。

基礎生物学研究所の勝木元也名誉教授(分子生物学)は「iPS細胞の安全性に関する基盤的な研究もまだ十分ではなく、不妊患者の過剰な期待をあおることは戒めるべきだ。不都合な真実も含めて積極的な公表が必要だ」。国立循環器病研究センター研究所分子生物学部の森崎隆幸部長は「細胞の提供者への十分な説明も重要だ。つくった生殖細胞の管理も適切になされなければならない」と指摘する。
(朝日新聞)
http://www.asahi.com/science/update/0731/OSK201007300182.html


生殖細胞:iPSから作成へ 慶大チーム、学内倫理委に申請
さまざまな細胞に分化する人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、ヒトの精子や卵子などの生殖細胞を作る研究を、慶応大のチームがこのほど大学内の倫理委員会に申請した。iPS細胞などのいわゆる万能細胞からヒト生殖細胞を作ることが今年5月、国の指針で解禁されたばかりで、同倫理委が承認後、国に届け出て始動する。承認されれば国内初となる可能性が高い。

慶応大の岡野栄之教授(再生医学)と、不妊治療専門医院、加藤レディスクリニック(東京都)の竹原祐志副院長らの共同研究。チームは既にマウスやサルの仲間マーモセットで、iPS細胞から精子と卵子を作る研究を始めている。今回の研究は、その手法をヒトに応用し、生殖機能の基礎的な仕組みを探る。国の指針は、精子や卵子の作成に成功しても受精させることは禁じている。

iPS細胞や胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から生殖細胞を作ることは技術的に難しく、哺乳(ほにゅう)類で完全な個体(子供)ができた例はない。岡野教授は「生命が生まれる基本的メカニズムの解明に挑戦したい」と話す。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20100731ddm012040020000c.html


iPSから生殖細胞 慶大など初の研究着手へ
慶応義塾大学の岡野栄之教授らのグループは、人体の様々な組織に成長するヒトの新型万能細胞(iPS細胞)を、精子や卵子などの生殖細胞に成長させる研究を始める。生殖細胞が形成されるメカニズムの解明が目的。このほど同大学内の倫理審査委員会に研究計画を提出した。承認されれば文部科学省に報告し、年内にも研究に着手するという。

研究が始まれば、国内で万能細胞から生殖細胞の作製に取り組む初のケースになる見込み。

研究は不妊治療クリニックの加藤レディスクリニック(東京・新宿)、財団法人・実験動物中央研究所(川崎市)と共同で始める。京都大学の山中伸弥教授が2007年に作製した、白人女性の皮膚細胞から作ったヒトiPS細胞を使い、精子や卵子などの生殖細胞や、そのもととなる始原生殖細胞などに成長させることを目指す。

万能細胞を生殖細胞に成長させる研究は倫理的課題があり、文科省の指針で禁止されていたが、今年5月、不妊症などのメカニズム解明に役立つ可能性があるとして解禁された。ただし作った精子や卵子を受精させることはできない。

万能細胞から生殖細胞を作るのは非常に難しいとされ、完全な精子や卵子を作製する技術はまだ確立されていない。岡野教授らはこれまで、マウスや小型サルの万能細胞をもとに生殖細胞を作る研究に取り組んできた。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819695E1E2E2E78B8DE1E2E2E5E0E2E3E29180EAE2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2





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