2011-12 リーガ 第6節 FCバルセロナvsアトレティコ・マドリー | 蹴球中毒な男の独り言日記-バルサ偏愛的バルサ備忘録

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 フットボールに魅了され、フットボール中毒に侵され、フットボールなしでは生きていけない男のフットボール的な日常についての独り言と備忘録です。愛するFCバルセロナの応援を中心に書いています。バルサのソシオなので、かなりのバルサ偏愛者です。

Liga Española 2011-12  1a División (Liga BBVA)

Jornada 06 (24/09/2011, Sábado – 22:00)

Estadio: Camp Nou (Barcelona)  83,154 espectadores.

蹴球中毒な男の独り言日記  -バルサ偏愛的バルサ備忘録--Jornada 06

Fútbol Club Barcelona  5-0  Club Atlético de Madrid

FC Barcelona: 3-1-3-3.
 Entrenador: Josep Guardiola.
 1 V.Valdés;
 2 Dani Alves, 14 Mascherano, 22 Abidal (19 Maxwell, m.81);
 16 Sergio Busquets (3 Piqué, m.54);
 6 Xavi, 4 Fàbregas (15 Keita, m.72), 11 Thiago;
 17 Pedro, 10 Messi y 7 David Villa.

At. Madrid: 4-3-2-1.
 Entrenador: Gregorio Manzano.
 13 Courtois;
 21 Perea, 23 Miranda, 2 Godín, 3 A.López;
 5 Tiago, 4 Mario Suárez, 14 Gabi;
 10 Reyes, 22 Diego;
 9 Falcao.

Goles:
 1-0, m.09: David Villa.
 2-0, m.15: Miranda (Proria puerta).
 3-0, m.26: Messi.
 4-0, m.78: Messi.
 5-0, m.90+1: Messi.

Árbitro:
 Delgado Ferreiro (Comité Vasco)

Tarjeta Amarilla:
 FC Barcelona: Piqué (m.71).
 At. Madrid: Perea (m.72).

Incidencias: Partido de la sexta jornada de Liga disputado en el Camp Nou ante 83.154 espectadores. Los jugadores del Barça saltaron al terreno de juego con una camiseta de ánimo a su compañero Ibrahim Afellay, que estará seis meses de baja por una grave lesión de rodilla.





 FIFAウィーク明け直後のアノエタでのレアル・ソシエダ戦、カンプ・ノウでのACミラン戦、そして前節のメスタージャでのバレンシア戦と、それぞれ内容や種類は違えど我らがバルサは3つのエンパテを演じている。しかし、その種類が違うのは明らかであり、アノエタでの課題はカンプ・ノウで改善され、カンプ・ノウでの課題はメスタージャで改善されている。


 特に3日前のメスタージャでは、前日の記者会見でペップが「バレンシア相手に3バックは少々リスクが高い」と語っていたにもかかわらず、当日は3-4-3(3-1-3-3)でスタート、中盤での数的有利でボールポゼッションは有効的な手段ではあったけれど、懸念された中盤でボールを失った直後の3バックの横のスペースを突かれてしまって先制、追加点と2度もリードを許す展開ながらも、狙いである中盤の有効性を活かして90分勝負で追いついたのは収穫であり、強いバレンシア相手にメスタージャから1pts.を持ち帰ったのは価値がある。


 今節は開幕から徐々に調子を上げてきているアトレティコ・マドリーだ。カンプ・ノウではビジャレアル、オサスナとゴレアーダで勝利しているとはいえ、カンプ・ノウでのバルサを恐れないアトレティコ相手では最大に警戒が必要になる。アグエロ、フォルランというアタッカーを放出したものの補強したファルカオが既にチームに適応してゴールを量産、更に諸刃の剣とはいえジエゴの存在もチームの攻撃を有効的なものにしているし、アルダ、アドリアン・ロペスと攻撃を支えるタレントは層が厚い。


 強力な攻撃陣を誇るアトレティコが相手であっても中盤を制圧してしまうためにも、またカンプ・ノウであることを考えればペップ・グアルディオラはバレンシア戦に続いて3-4-3を採用する可能性がある。アレクシス・サンチェス、アンドレス・イニエスタが共に大腿二頭筋の裂傷で戦線を離脱していることに加えて、イブラヒム・アフェライが左膝前十字靭帯を断絶 する悲劇に見舞われてしまった。しかし、このチームはファミリアであり、怪我人のためにも負けるわけにはいかず、足りない部分はカンテラで補えばいい、というクラブの哲学でもある考えをペップも貫き、信頼を置く全て選手たちで戦い抜くはずだ。


 アトレティコ戦を前にしてジェラール・ピケも医療サービス部よりプレー許可を受けている。8月23日のトレーニング中に左双子筋を負傷、全治3週間の診断を受けていた。回復期間を過ぎて尚も10日間をリハビリに費やして満を持して復帰することになった。ピケの復帰によりプジョールとのセントラルも可能となるし、プジョールとアビダルとの3バックも可能なオプションとなる。戦術的安定においても応用においてもペップの選択肢が増えることは間違いない。


 数字面での話題では、セスク・ファブレガスの開幕から5試合連続でのゴール記録がある。ビジャレアル、レアル・ソシエダ、オサスナ、バレンシアに続いてアトレティコも犠牲者に出来るのか。セスクがゴールを陥れることが出来れば、1950-51シーズンのセサル・ロドリゲス・アルバレス(César Rodríguez Álvarez | 29/06/1920-01/03/1995)、2009-10シーズンのズラタン・イブラヒモビッチ(Zlatan Ibrahimović | 03/10/1981-)以来、クラブ史上3人目となる記録に並ぶことになる。純粋なゴレアドールではなく、生粋のパサドールであることを考えれば凄い記録だ。しかし、そのゴールマシーンのセスクと背中合わせで存在するメッシを忘れることも出来ない。


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 新たにグレゴリオ・マンサーノが就任してチームが改革されたアトレティコはバレンシア同様に良質のフットボールをプレーしてくるはずだ。良いフットボールの相手には容易なゲームにはならず、バルサがそれ以上に良いプレーをしなければ勝利することは出来ない。しかし、ライバルが強ければ強いほど良いフットボールをプレーするのがバルサであり、カンペオンとして底力を発揮するのがバルサだ。今シーズンの“ペップチーム4.0”は戦術的な応用の幅もあり、強いライバルとのゲームでのえげつない強さを見せつけるところに期待したい。





 先発メンバー
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 ペップ・グアルディオラはポルテーロにビクトル・バルデス、デフェンサは右ラテラルにダニ・アウベス、セントラルにマスチェラーノ、左ラテラルにアビダルの3人を配し、セントロカンピスタはピボーテにセルヒオ・ブスケツ、右インテリオールにチャビ、左インテリオールにティアゴ、メディアプンタにセスク・ファブレガスのロンボ、トリデンテは右エストレーモにペドロ、偽の9番にメッシ、左エストレーモにダビド・ビージャの11人、前節に続けて3-4-3システムを採用してきた。


 ‘M’essi.’V’illa.’P’edro.のトリデンテは、スーペルコパとチャンピオンズでは先発出場があったものの、今シーズンのリーガでは初めての先発出場となった。ペドロにしてもビージャにしてもペップの絶対的な信頼は篤いものの、その信頼が絶対的なレギュラーポジションを保証するものではないことことが今シーズンのバルサの強みだ。コンディショニングを優先し、対戦相手のスカウティング、選択する戦術、その組み合わせによって先発メンバーが選ばれるのだ。


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 ベンチにはポルテーロのピント、デフェンサのピケ、プジョール、マクスウェル、アドリアーノ、フォンタース、セントロカンピスタのケイタの7人が控えた。プレー許可が下りたばかりのピケはベンチスタートとなった。アレクシス、イニエスタ、アフェライが怪我のため、守備的な選手ばかりがベンチに座ることになってはいるものの、マクスウェルとアドリアーノはエストレーモでもプレー可能だし、組み合わせによって戦術的な応用が利かせられる頼もしい選手たちだ。


 カンプ・ノウにイムノが響く中、ピッチへと向かう選手たちもベンチへ向かった選手たちも揃いの青いTシャツを着ていて、その胸には“Ánimo, IBI. Muchooooo¡¡¡”の文字がプリントされていて、全治6ヶ月の怪我を負ったイブラヒム・アフェライへの激励メッセージを送った。(クラブのイビへのメッセージ動画

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 北側エンドに陣取ったバルサのキックオフで開始された前半、バルサは3-1-3-3(3-4-3)の陣形を取った。ビジャレアル、オサスナ、バレンシアの3試合で3-4-3を採用しているため、この日もM.V.P.トリデンテと攻撃的なアウベスが先発していることもあったけれど、マスチェラーノとブスケツのセントラルは考えられず、普通に3-4-3を予想させられてしまうチームになった。これが“ペップチーム4.0”だ。


 メスタージャでの3バックと違い、この日の3バックは“2番”がマスチェラーノに代わってアウベス、“3番”がプジョールに代わってマスチェラーノ、“5番”がアビダルの組み合わせであり、バレンシアに狙われた右サイドは修正を加えて本職でスピードのあるアウベスが担当、後方からフィードなどパス能力を加味してマスチェラーノが担当した。この3人は“エル・ドリームチーム”時代のフェレール、クーマン、セルジ的な組み合わせに似たものだ。


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 3バックとはいえ、ビルドアップで数的有利になってパスコースを作る必要がある時はブスケツがオートマティックに下りて4バックでのスムーズな対応を見せた。これはバルサの3-4-3が特別に攻撃的なものとして用意されたものではなく、戦況に応じて、対戦相手の変化に応じて、“4番”が上下動することで周囲が連動する4-3-3から派生したものであるからだ。3-4-3で4番を下げれば4-3-3、4-3-3から4番を上げれば3-4-3、これがオートマティックなのがバルサの哲学だ。


 マンサーノ率いるアトレティコがバルサ対策として準備したのは4-3-3(4-3-2-1)の布陣であり、ティアゴ、マリオ・スアレス、ガビの3人をメディオセントロで並べ、アタッカーはファルカオを前線に残して右のレジェスと左のジエゴが中盤に下がってブロックを作るものだった。3人のメディオセントロがコンパクトになって中央を固められてチャビ、セスク、ティアゴとの3対3の数的同数の状況を作られてしまうものの、バルサはメッシが中盤に下がって加わって4対3を作って対応した。

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 アトレティコはレジェスとジエゴが下がって4対5を形成しようすれば、バルサはブスケツが高めの位置でボールに絡んで5対5を形成する。数的同数であればバルサが有利だ。ピボーテ、インテリオール、メディアプンタ、プンタの5人が横方向で並ぶことがなく、パスを受けるために角度を付けてのポジションをアトレティコの選手と選手の間で取ることで複数のパスコースを作った。加えてレジェスとジエゴの守備が、前節のパブロ・エルナンデスとマテゥー程にメディオセントロに連動していないことに助けられた。


 バルサはアトレティコ(4-3-3または4-3-2-1)と違って、相手より中盤でひとり多くの選手を置くためにデランテーロを削るのではなく、デフェンサを削ることで3-4-3の基本布陣から3-1-3-3や3-1-3-1-2に変化にさせて中盤に厚みを持たせて主導権を握っている。5人の中盤でワンタッチやツータッチでのパス廻しでボールを走らせることが出来れば3-4-3の狙い通りに中盤を制することが出来る。ボールを失った場合も5人のメディオが素早くボールフォルダーにプレス、これにエストレーモとラテラルが連動することでボールを回収することが出来る守備面でのメリットも用意されている。


 ブスケツ、チャビ、メッシにイニエスタという既存のメンバーに加えて、新加入のセスク、昇格したティアゴというバルサの哲学やDNAが完全に身に付いている選手たちの存在が“ペップチーム4.0”の戦術的応用を機能させている。そしてこの日の先発メンバーではペドロ、ビージャ、アウベスといった献身的な選手、アビダル、マスチェラーノといった黒子に徹して超攻撃的なスタイルの副作用を抑える役目の選手によって成立している。


 ゲームでは4分を迎える前、立ち上がりのアトレティコにボールを奪われると廻されてバルサの守備を掻い潜られてティアゴにシュートを放たれてしまうが、これはクロスバーに嫌われてバルサは救われる。しかし、その後は巧みなポジショニングによるパスワークが冴えてコルチョネロの面々にボールを追いかけさせ続けた。


 ゲーム内容に相応しく、8分過ぎにバルサは早くも先制ゴールを奪った。ボールポゼッションでアトレティコにボールに喰いつかせて、仕上げはチャビとティアゴがパス交換すると中央のチャビは一気に左サイドからペナルティエリア内へ斜めに入って来るビージャへ正確なフィードでボールを送った。ラテラルのペレアを越えたボールをビージャは胸トラップで落とすと寄せてくるミランダを内に切り返してかわし、ポルテーロのクルトワの股を抜く右足シュートでゴールネットを揺さぶった。

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 “エル・グアッヘ”のゴールはオサスナ戦以来2試合ぶりのリーガ3ゴール目だ。エースのメッシがゴール前で相手の致命傷を突くけるように、ビージャはダミーで偽の致命傷となるエリアへの動きが多いことは見逃せない。その中でも誰よりも致命傷となるエリアへの進入があれば最高のパサドールからボールが供給される。これを決め続けるのがグアッヘの仕事だ。

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 左サイドでビージャがゴールを奪えば、次は右サイドのペドロだ。12分過ぎ、中央の“El Mejor Jugador del Mundo”最高のパサドールのチャビから右サイドでアントニオ・ロペスの裏を取るランニングをするペドロへ一気にフィード、ペドロはスピードに乗ったままトラップしたものの、ファーストタッチがマイナス方向に落ちてしまってスピードが減速、タイミングを逸した左足シュートは枠を捉えることは出来なかった。


 両足共に遜色のないシュート技術が持ち味のペドロはゴールだけでなく、今シーズンも戦術を完全に理解した上での献身的な守備力も持ち味だ。ボールロスト直後の守備への切り替えはチーム随一であり、スピードを武器に一気に間合いを詰めて相手のプレーの選択肢を少なくしてしまう。このファーストプレスが連動するメディオセントロやデフェンサの守備を楽にしてくれる。

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 そのペドロが追加点を演出した。14分過ぎ、アトレティコ陣内バルサの右サイドでの強烈で怒涛のプレスでビルドアップを窒息させて苦し紛れのパスを奪ってボールを回収すると、ペドロが中央のチャビへスクエアパス、これをチャビがダイレクトの遊び心溢れるヒールで前方のスペースへ送り込んだ。オフサイドポジションのメッシはボールには関与せずにやり過ごしたと思いきや、チャビにボールを預けたペドロが猛然とダッシュでゴディンで競り合った。ゴディンと競り合ってこぼれたボールにメッシが左足シュート、クルトワに弾かれるもボールは戻って来たミランダに当たってゴールへと吸い込まれた。

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 15分にして2-0のスコアとしたバルサはこれまでの教訓を活かし、爆発力のあるアトレティコに対して早めにゲームを決めてしまうゴールを奪うべく、攻撃のアクセルを緩めることはなく中盤での優勢を作って攻め続けた。そして、カンプ・ノウには昼間から降っていた雨が再び大粒の雨となって降りてきた。バルサにとっては芝生の上をボールが高速で走る恵みの雨だ。

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 前節のバレンシアと比較すればアトレティコの守備組織は機能していなく、それに救われた面はあるけれど、バルサは次々にボールを走らせていく。メディアプンタのセスクとプンタのメッシが自由奔放にピッチを浮遊する動きに呼応するようにチャビが素晴らしい3人目の動きを見せる。チャビが自由に動けるのはティアゴがまたチャビに呼応するように巧みなポジショニングとシンプルなボール捌きでプレーに絡むからだ。中盤のタレントたちは狭いエリアでマークに付かれていても縦方向のショートパスで一旦喰いつかせて、喰いつかせてからリターンパスで後ろへ戻して前を向いた選手に次のプレーを選択させる繰り返しでアトレティコを疲弊させた。

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 そして25分過ぎ、クラックが凄味を見せる。右サイドの深いエリアでのスローインをメッシがチャビへ投げてチャビとのパス交換でメッシが右サイドを攻略、スルスルとドリブルでペナルティエリア内へ進入すると、得意の内へのコースをマリオ・スアレスとゴディンに切られると判断すると縦への抜け出し、あっという間にクルトワと対峙した。ミランダが寄せてくるもメッシはその前にシュート態勢、ファーサイドを狙うモーションからニアサイドを鋭く抜く左足シュートでクルトワを攻略、あっさりとゴールを陥れた。

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 メッシはオサスナ戦以来2試合ぶりのリーガ6ゴール目を決めた。メッシの活躍に都合の悪さを感じる場所からはメッシのコンディショニングを危惧する声が聞こえてくるけれど、これだけのゴールを量産し、多くのアシストで仲間のゴールのお膳立てをしていることを見れば、その声は消えるだろう。ドリブルでのボールの奪われ方が昨シーズンと違うと解説のマイクで示唆する輩もいるけれど、仮に奪われなかったらメッシのゴール数はリーガだけでも40ゴールは越えてしまう。いったい幾つのゴールを決めれば称賛されるのか。バルセロニスタはその辺は正しく理解しているからいいけれど。


 3-0としてからもバルサは攻撃を緩めることはなかった。中盤での数的有利とワンタッチでの素早いパスワークでアトレティコを圧倒、コルチョネロはただボールを追いかけるだけとなった。中盤で細かなパス交換でブロックを崩すだけでなく、デフェンサが浅くした警戒感が緩んだと思えば一気に裏のスペースへ送り込むパスも有効的で、アトレティコは成す術を失った感じとなった。


 40分過ぎには、メディアプンタとしてメッシの近い位置を左右上下に自由にポジションチェンジしてシンプルなボールタッチで機能していたセスクが見せた。基本通りにデフェンサの間でチャビからのボールを引き出すと、少し距離はあったもののポルテーロの位置を見てバセリーナでゴールを狙い、クロスバーの上側を擦るプレーでカンプ・ノウを沸かせた。しかしセスク、バルサに来てバルサ基準で判断してみても技術の正確さ、状況判断力の的確さ、即興性の豊富さとラ・マシア育ちのメディオたちと変わらない。バロン・デ・オロの最終候補者3名も現実味を帯びてきた。


 ボールポゼッション69%-31%、ゴールチャンス5-1、シュート数5(枠内4)本-1(枠内1)本という内容で3-0で前半を折り返した。後半はゲームをコントロールすることで無失点で3pts.を奪うことが目的ではあるけれど、バルセロニスタを楽しませるためには、あと2ゴールだ。首都対決の派手なスコア(6-2)を受けてのゲームだけに、バルセロニスタが求めるのはマニータだ。


 ハーフタイムを挟んで迎えた後半、マンサーノは存在感を失っていたレジェスに代えてサルビオ、守備に奔走させられたマリオ・スアレスに代えてアルダ・トゥランを投入、巻き返しを図って来た。しかし、選手交代したアトレティコが4-3-2-1から4-2-3-1でサイドアタッカーを配置したと判断するとバルサはブスケツがデフェンサに下がって4バックを形成してラテラルがサイドのスペースを消した。ブスケツのいたエリアにはティアゴが自然に下がって対応、チームとしてバレンシア戦の教訓が活きていることが証明された。


 53分過ぎ、ペップはセントラルに下がっていたブスケツに代えてピケを投入、ピケとマスチェラーノのセントラルの4バック、ピボーテにボールを捌けるティアゴ、インテリオールにチャビとセスクを置いた4-1-2-3の布陣に切り替えた。ピケはUEFAスーペルコパの直前に負傷していたため、今シーズンのリーガは初出場となった。競争力があってチームの雰囲気を上向きにするWAKA大将の復帰だ。


 ペースを落としながらも要所を押さえたバルサは機を見てゴールを狙った。66分過ぎには、右サイドでチャビのパスを受けたメッシがオフサイドラインを巧みに抜け出すビージャへのスルーパス、クルトワに防がれてしまったもののビージャの右足シュートを演出した。71分過ぎには、メッシが自陣でボールを受けるとスピードに乗ったドリブルでアトレティコ陣内へ進み、ペナルティエリア手前でペレアに倒されて(タルヘタ・アマリージャ)しまうものの、カンプ・ノウを沸かせた。

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 この直後、ペップは大車輪の活躍のセスクに代えてケイタを投入、中盤の安定を図った。この交代によりセスクの開幕5試合連続ゴール記録は途切れた。しかし、セスクの役割はゴール記録を作ることではなく、ゴールを決められるパサドールだ。マークを剥がしてバイタルエリアへの進入も巧く、ゴールも決められるセスクはチャビやイニエスタとも違うタイプでバルサの中盤に新たな色を加えるタレントだ。8年前、イニエスタでさえもがレギュラーを取れない事実を目にして“家出”したセスクだけれど、今ではそのイニエスタと同等の働きでチームに貢献している。


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 72分過ぎ、フリーキックをメッシが左インサイドで置きに行くキックで狙うもゴールの左側に外れるもカンプ・ノウを沸かせた。そして76分過ぎには、コーナーキックの流れで左サイドでティアゴがボールを持つとティアゴはアントニオ・ロペスと対峙、右足でボールを内に転がした次の左足のタッチで股抜きを敢行、往年のロナウジーニョ・ガウショを彷彿させるテクニックでペナルティエリアに入ると右足を振り抜いた。ブロックされたセカンドボールにメッシが強烈なシュートを放つもこれもブロックされてしまったけれど、カンプ・ノウは大いに沸いた。


 77分過ぎ、やはり役者が見せてくれた。カウンターから右サイドでアウベスがボールを受けると中央のメッシへと繋ぎ、メッシはペレアをかわして左斜め方向へのドリブルでグイグイと進んだ。ペナルティエリアに入ってペレアが追い縋り、ゴディンもコースを切るもメッシはお構いなしに左足を振り抜くと、シュートは逆サイドのゴールネットへと吸い込まれた。4-0とするゴールはメッシにとってこの日2ゴール目、リーガ7ゴール目となるものだ。

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 80分過ぎ、アビダルに代えてマクスウェルが投入、マクスウェルにもゲーム感覚とコンディショニングの上昇を掴ませた。リーガ、チャンピオンズ、コパ、クラブ・ムンディアルと戦い抜くためには、アドリアーノ同様にマクスウェルにもラテラルでもエストレーモでも奮闘してもらわなければならない。


 その後の83分、アトレティコの攻撃を牽引するジエゴが初めて仕事らしい仕事を見せた。バルサは中盤でジエゴに縦へのスルーパスでゴールチャンスを演出されてしまうものの、バルデスが集中力が途切れていないプレーで防いだ。無失点で終わることも勝利と同様に重要なことを理解している。


 このゲームの最後の仕上げはやはりギガ・クラック、レオ・メッシだ。90分を過ぎてアルビトロのデルガド・フェレイロが2分を付け加えた後の90分過ぎ、左サイドのティアゴからメッシへと繋がると、メッシはビージャとの壁パスでボールを受け直すとドリブルでペナルティエリアに進入、この日4度ゴールを許してしまっているクルトワの股間を鋭く抜く左足シュートでゴールを奪った。デ・ヘアの後の門番となった若いベルギー人ポルテーロには災難な日となった。


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 メッシはオサスナ戦に続く今シーズン2度目のハットトリックを達成すると共に、ピチーチ争いのライバルであるファルカオの目の前で3ゴールを追加して単独ピチーチとなる8ゴール目を決めて試合を締め括った。ボールはもちろん自宅のコレクションへと加えられる。

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 マニータ達成の1分後、タイムアップの笛が吹かれて、ビジャレアル戦に続く5-0(マニータ)で勝利した。ブラウグラーナが攻撃的なフットボールで圧倒、攻撃力が自慢のコルチョネロを沈黙させた勝利はチームに勢いをつけるのはもちろん、長期戦線離脱となってしまった“イビ”へと捧げられる。


 次節は10月2日(日)20時キックオフ、リーガ第7節、エル・モリノンの遠征してのスポルティング・ヒホン戦だ。しかし、ミッドウィークの28日(水)にはチャンピオンズリーグのグループステージ第2節、ベラルーシ王者のBateボリゾフとのフエラ戦が控えている。第1節では2pts.を失っているだけにフエラであろうとも3pts.が必要となる。


 23日間で7試合もあと2試合だ。ここまで3試合で2-2のエンパテ、2試合で8-0と5-0のゴレアーダと来ている。同じエンパテでもスコアだけでは判断出来ない内容の改善はされているし、対戦相手の戦術に対処するために選択したきた戦術も異なることでバルサはまだ試運転中とも言える。これまで15のコンペティションで12ものタイトルを獲っていることで研究され尽くされていることを考えれば、長いシーズンを戦い抜くためにも、ライバルたちに違いをつけるためにも戦術的実験は必要だ。


 “ペップチーム4.0”はその名前通り、昨シーズンよりも進化したフットボールを目指している。まだまだオプションとしての3-4-3だけれど、昨シーズンに見せた3-4-3の効果とは明らかに異なるし、4-3-3との併用で更なる有効的な武器となる。4シーズン目にようやく理想の3-4-3に辿り着いたというよりは、4シーズン目でも勝ち続けるために辿り着いた必然の3-4-3なのだろう。理想のためではなく、勝利のための戦術的応用だと理解して、ペップチームのやり方を信じたい。



¡Vamos Barça!