レガリアです。

予告、今回は長いです。





久しぶりのブログ更新の毎日です。
そもそもまた、ブログなんぞやろうと思うきっかけがありまして。

最近、やたらと頭の中を回るものがある。


ひかるちゃんである。



ゆっくりほぐしながら話します(笑)




僕には、人生において聖書のようなものがあります。今ではかつてありました、ぐらいのスタンスにしてますが。

それは、きまぐれオレンジロードという、30年以上前に少年ジャンプ誌に輝く大ヒットマンガ。

僕自身が、この作品にであったのは四半世紀前の1993年。私の青春時代に欠かせないものでした。

で、そのきまぐれオレンジロードがテレビアニメになり、さらには好評につき劇場版映画「あの日にかえりたい」が製作され、その公開から今年で30年がたった2018年。運命か何かのいたずらか、今になって久しぶりにみてしまったというわけです。
しかも、この劇場版は原作者まつもと泉を始め、多くのオレンジロードファンの不評を買い、批判の対象になってきました。いわゆる「鬱アニメ」「原作レイプ」というレッテルを貼られ、他のテレビ版、OVA、さらには1996年公開の続編劇場版さえもDVD化されたというのに、この「あの日にかえりたい」は日本語版はDVD未発売。VHSしかないという有り様。ミエナイチカラが働いて、DVD化を阻害しているとかなんとか。


私?ちゃんとビデオ持ってますもの。

奇しくもまどかさんの声優、鶴ひろみさんが昨年亡くなるという、オレンジロードファンには悲しみのニュースが届いたこのタイミングに、あの映画は何だったのか今一度振り返ってみたいと思った次第です。そして自分の中のオレンジロードを、もう一回僕の言葉で放出してみたくなったので書いてみます。





そもそも「きまぐれオレンジロード」ってナニ?

ざっくり言って、ラブコメ。
しかも主人公春日恭介は、超能力が使える中学3年生。同じく超能力者の家族のせいで七回目の転校先にであったのは、ちょっと不良な鮎川まどか。スタイル抜群で勉強もできる。両親が音楽家で、音楽センスもずば抜けている。そしてまどかの妹のような舎弟ひかる。ひかるは恭介に恋してしまい、半ば彼氏状態。恭介は、まどかにぞっこん。こんな三角関係を描くSFラブコメ。
詳しくはウィキペディア先生に。



1.30年ぶりの感想

久しぶりに見た印象は、やはり「重い」。
16~18歳の高校生がやる修羅場じゃねぇな、って思う。特にひかるちゃんに対しての当りの酷さに胸が痛む。まだ高校1年だしね。

僕が「あの日にかえりたい」をはじめてみたのはそれこそ彼らと同じ、中学3年生だった。三角関係の恋愛がもつれた末路は、あんな風になるのかと、未熟ながらに思ったものです。
あれから30年経ち、自分も恋の酸いも甘いも経験をし、二児のパパとして迎える今日現在、ひかるちゃんの「答えてよ~❗」は、今聞いても胸をチクチクさせてくれる。16歳の少女が、彼氏と事実上の姉を両方もぎ取られる苦悩は計り知れないだろう。ホント、可愛そうだよね、って思っちゃう。
また、優柔不断が代名詞のはずの恭介の豹変ぶりがとにかくいただけないのだと思う。確かにいろんな方の批評通り、「きまぐれオレンジロード」というのは、春日恭介の優柔不断があって成立するもの。そのどっち付かずさが全然見られず、一方的にひかるちゃんを突き放してゆく。原作やテレビアニメのキャラからしたら、その一方的に突き放すようなことができない優しさ=優柔不断さが、春日恭介の魅力であり、それが仇となりここまでストーリーが続いてきた大事な要素なんだけど。この映画では、徹頭徹尾見事なまでに冷徹である。特段、象徴的だと僕が感じるシーンがある。ラストの突き放したあと雨が降りだして、自宅の外でけなげに恭介を待つひかるちゃんを案じ、一瞬傘に目をやる。でも思いとどまって悩んで出たことば、「さようなら、ひかるちゃん」。
違う、「ごめん、ひかるちゃん」じゃないのかと。恭介サイドに、ひかるちゃんを退ける苦悩や痛みを、この作品から感じることができないんだよね。鮎川まどかに対する想いや、試行錯誤の意図は感じても、ひかるちゃんに対しての感情は、いかにやり過ごすか、乗りきるかしか感じられない。この点は、唯一恭介の言動に賛同できない部分である。二回もキスしたんだから、もっと悩めよって、責任感じろ、って思うところ。
そうそう、2回目。小田急通過するキス。あれは恭介のミスだよね。
あれがひかるちゃんに過大な期待をもたせた。映画のシーンとしてはすごくいいんだけど、良すぎて生々しくて、ひかるちゃんの胸の内を思うと、心臓ギューですわ。
恭介も拒否しろよ。まどかさんに悪いという気持ちなくしたな。
あれで3人は、微妙なバランスを自ら崩していくことになる。ひかるちゃんのある意味抜け駆けが、まどかさんの反攻になっちゃったわけである。





2.鮎川まどかの「ズルさ」

僕が「あの日にかえりたい」で、個人的に一番腑に落ちない点、それはまどかさんの他人事感満載の様子である。
ひかるちゃんの「まどかさん、何もしないでズルいです!」は、この作品中のまどかさんを言い当てる名台詞である。
確かに、原作には、ひかるちゃんが恭介を初めて「彼」と呼んだ日から、表向きには姉として応援するスタンスを取っているとわかるシーンがある。しかし、まどかさんには、恭介がまどかさんこそが本命であり、超能力の話もアニメ版では伝えていて(アニメの続編と考えれば知っていることが前提になるし。)、明らかにひかるちゃんにアドバンテージを持っていることが本人も自覚しているはずである。そしてまどかさん自身も恭介がものすごく好きな訳である。そこへ妹分ひかるちゃんが夏の大攻勢をかけてきて、恭介と二回のキスをしたことが、まどかさんのある意味汚い部分を掘り返してしまった形になった。嫉妬深く、独占欲が強い、にも関わらず臆病で自分からは飛び込んでいけない性格。従って恭介の「弱み」を上手く操作し、ひかるちゃんを遠ざけるようにした訳です。
僕の私見。そこまで恭介のことが好きなのに、何で正面からひかるちゃんに対峙しなかったんだろう。前述の通り、ひかるちゃんを妹のようにかわいがり、ある意味恭介はひかるちゃんに譲っている状態。でも本心は誰よりも恭介が好きな訳で、ひかるちゃんとのキスで何とかして揺れ動いた恭介の気持ちをこちらに戻したいと思う筈である。しかしながら、まどかさんはあくまでひかるちゃんとの関係は棚上げにした上に、恭介にひかるちゃんとの絶縁を仕向ける暴挙に出たのである。オレンジロードファンの声を代弁して、あの「何もしないでズルいです!」は出たと思っている。
本当なら、もっと恭介を想い苦悩すると同時に、大事な妹分ひかるちゃんを失いたくない苦悩を感じなければなるまい。その部分が欠落している。僕個人的には、まどかさんVSひかるの取っ組み合いまでいかないまでも、もっとまどかさん自身が恭介の想いを主張して、「何か」行動して欲しかったと思うところです。まどかさん自身も、この恋の結末は決して無傷ですむわけないとわかってるだろうに。あのやり方で、この先ひかるちゃんに会わせる顔が果たしてあるだろうか。まどかさんの心にあるパッションを、もっと見せて欲しかったよね。



3.じゃあ、どんな終わりがよかったのか。

僕なりの考えでは、原作に沿う路線をとるならば、まどかさんはひかるちゃんに恭介を譲り、臥薪嘗胆、何もいうまいみたいに振る舞うように仕向ける。まあ、にげちゃうかな。アメリカとか。でもひかるちゃんはそんなまどかさんの気持ちを思いやって、苦しみながらもまどかさんとの関係を第一にして、恭介をまどかさんに返す。まどかさんはそんなひかるちゃんの思いに答えながら、恭介の想いを受け止める。恭介はひかるちゃんを傷つけた辛さをバネに、男らしくそれでも鮎川が好きだって告白。二人が結ばれることを、ひかるちゃんは、そう、これでよかったのと、新しい未来へ向かって動き出す。みたいな?
そう、3人には笑顔がなきゃ。

まあ、ひとそれぞれ。
結局は楽しい思い出ばかりに溺れて、面倒くさいことを棚上げにしてきた3人が、いつか乗り越えなくてはならない節目なことはたしかであり、大人になる試練でもある。けれどもそれをあんな風にリアリズムで破滅させなくても、と思う次第です。




4.作り手側の視線

30年経って、もうひとつ感じたことは、原作者と監督、脚本家との温度差がかなりあるということ。原作者まつもと泉先生の「裏」コメントによれば、原作漫画家が閉めきりと打ちきりの狭間で翻弄されながら、長く連載できるように努力して書き上げた作品を、劇場版だからと監督や脚本家が酒の席で思い付いたプランに沿って勝手に改悪され、見るに耐えない作品に変えられてしまったと嘆いている。オリジナルの生みの親として感じる思いは、切実な意見として共感できる面がある。だがしかし、ここでは冷静に30年経った今の感覚で考えてみる。 
 単純にテレビアニメの時と比べてみると、劇場版=映画館での興行と言う視点で捉えると、かなりのハイクオリティであることが分かる。キャラクターデザイン高田明美氏の画力はピカ一だし、音楽は鷺巣詩郎氏の透明感あるBGM。キャストはご存知あの頃お三方。作り手側としては、当時の最高レベルのスタッフ陣だろう。そうでもしなければ、一人あたり2000円程度のお金を頂いて観て貰うだけの価値はなくなってしまう。その見せる側の論理があるなかで、どうしてあのようなストーリーにせざるを得なかったのかは疑問である。しかしながら映画そのものの出来が高い分、反動としてストーリーに過重な批判が出てしまうのはしょうがないなのだろうか。テレビアニメとおんなじものを繰り返すわけにもいかず、新しい何かをやらないと始まらないと思ったのか。あまり作品自体をコテンパンに批判する立場では無い方なので、


5.ひかるちゃんを少しでも慰めてあげたい2018年


つらかったよね、ひかるちゃん。
健気すぎてキュンキュンしまくり。
あまり、ストーカー過ぎるのは、あの時代だから許せたというのはある。今やったらまずいよね。それくらい、恭介が好きだったのでしょう。

きまぐれオレンジロードって、男子からしたら、いかに「恭介の立場」になりきれるか、そこが面白いんだと思います。自分が春日恭介だったら、こうする、こうしたい、うらやましい、見たいな感情移入がいかにできるかという作品だと思っています。それが見事に入り込める余地を作れなかったのが「あの日にかえりたい」なのでしょう。
ひかるちゃんにはせめて、恭介みたいなはっきりしない男でなく、強く守ってくれるようなパートナーと結ばれてほしいものです。


最後に。
そっちの3人へ。

今でも仲良くしてますか?


アラフィフの3人には、まだあの夏は続いているのかな?


いつまでも、素敵な3人でいてくださいね。




以上、30年目のレビューでした。