つまり神こういうことじゃね? | ひっぴーな日記

ひっぴーな日記

よくわからないことを書いてます

 放課後というのはなんだか気だるくてやる気が起きないけど、なんだかワクワクするのはなんでだろう。そんなくだらない事にずらしていた思考を元に戻すと、今月末にある中間テストに関して少し長い担任の添田の訓示の終わりを期に、佐久間楓はバックを持って席から立つと素晴らしい速さで教室を出ようとした。
「あ、ちょっと楓っ! 今日掃除当番っ!」
 静かだが良く通る声なので楓を止めた少女の声は教室中に響く。少し歩調を緩めて教室の入り口に立つとそのルームメイトの少女に手をらひらひと横に振った。
「ごめん、ゆかちゃん。あとヨロシク、あとウラの鍵もヨロシクっ!」
 にっこりと子猫のような笑顔と長い三つ編の髪の残像を残すと楓はダッシュで廊下に出ていた。
 何事かと止めたゆかちゃんと呼ばれた少女と、同様に呆気にとられたクラスだったが、しばらくするとガタガタと各々で動き出す。ゆかと呼ばれた少女も盛大に溜息を吐くと自分の席に座る。
「ねー、ゆかっち」
「……何よ」
 ゆかは真っ白になった頭の中と顔を元に戻すと、隣の席から声掛けられた少女に対して適当に答え、不機嫌そうに机の中の教科書を鞄につめていく。髪は長く、首後ろ一つで纏めて容姿も可愛いと評判だが肌が異常に白いので運動系ではないお嬢様だなという一般生徒の意見を受けている。隣の少女はゆかの席に頬杖して彼女に聞く。
「楓ちゃんどこ行ったの?」
「さあ……。でもアレじゃないの」
「アレ?」
「そうアレ」
 ゆかが教室の外を指差すとそろそろ初夏にさしかかろうとする綺麗な夕焼けを映した雲が広がっていた。梅雨が明けてからの衣替えのこの時期には珍しくない光景だ。
「アレって夕焼け? 今日空赤いねー」
「……赤いからいいんでしょ」
 ゆかはまた溜息を吐くと、教科書詰めた鞄を机の横に提げて席を立ち上がった。


「おー」
 空を見上げると燃え上がるように鰯雲が広がっており、それに反射するように夕焼けの赤と橙が上から照らさせていた。昼間のアスファルトに溜まった熱気が地面から放散されているのか夏らしい陽気に楓はにこやかに空を見上げる。
 県立高校にしては敷地が広く、一学年毎に入れ変わる校舎が三つ、特別教室が集まった校舎が一つに校舎が四つに縦に並んだ造りになっている。グラウンドも広く、奥に並ぶように建っている校舎の右横沿いにあり、更に部室が集まった部室棟が昨年新築されたばかりの体育館の横に二棟並んで建っていた。楓はその校舎沿いのグラウンドの部室棟隅から校舎方面に向かって大きく手を広げて夕焼けを見ていた。森林が多いがグラウンド全体がよく見渡せる。
「赤いねー、なんでだろうねー」
 一人呟きながら傍に置いた鞄から薄型のデジタルカメラを取り出した。一度まだ少ない下校中の生徒に向けて校舎に向け、そして夕焼けに向けて、
「……眩しい」
 一旦カメラを下ろした。その間にいくつかはすでにシャッターをきって画像は保存していた。もう一度夕焼けの裾のほうから太陽へとカメラを向けたとき、
「……―ん?」
 ほぼ直上、真後ろの部室棟から何かも煙のような物が見えた。森林を挟んで更地のスペースである楓のいる場所とは数メートル離れているが二階建ての部室棟の一室の窓から煙のような、湯気のようなものが漂っているのが確かに見える。まるで後転するように仰け反ってカメラから覗いていた楓は随分無理な体勢だなと苦笑いしてから、身体を前にして改めて見上げた。
 長身の木々の合間に見える部室棟は昨年に体育館と同時に新築されたもので、こちら側からは新築前の旧部室が見ることができ、その二階の隅にある窓が小さく開いており腕がだらんと伸びていた。楓は訝しげに眉を顰めるとカメラを構える。
「なにあれ……」
 ズームで見てみると腕の先の手はタバコを挟んでいた。
 まさか悪戯かおもちゃの類かと楓がぼんやり考えている先で腕が一旦引っ込み、そしてまただらりと二階の窓に垂れる。
 どうやら誰かが窓際でタバコを吸いながら夕焼けでもみていのだろうと考えて、そんなのは自分くらいなんじゃないかなぁと反芻して楓が長い髪を一回片手で掬うと、
「あっ」
「んっ?」
 腕の主が窓の外に姿を現したので片手で構えたカメラのシャッターボタンを思わず押してしまった。暗がりなので強制発光にしていたため、はっきりと回りの影と一緒にその少年らしき人物の顔も陰影つきで撮ってしまっした。
「……」
 微妙な空気が流れた後、二階の窓から最初は驚きの顔でみていた表情から眠たそうな顔に変え、男子生徒が楓のことを珍しそうに見てくる。
 正直まずったと思った。楓はタバコを吸うのはあまり奨励しないがそんな率先して注意するほど優等生でもない。むしろ掃除サボって寮の門限の後に帰る自分のほうがよっぽど不良っぽいだろう。
 厄介事に関わるのは正直楽しいが、いや物凄い楽しいが自分からほいほいついていくほどお気楽にはできていない、と思ってる。
「あー、あんた、そこの……髪長い人」
 ぼーっと、この逃げがたい空気をどうしたものかと楓が鞄を拾おうと手を伸ばしたとき、男子生徒のほうから声をかけてきた。
「か、髪? わたしかな?」
「ほかに誰がいんの」
 地上から数メートル上の人と話すのは何だか雰囲気的に疲れるが、当の男子生徒はどうとも思っていない態度で一回タバコを軽く吸った。
 よく見ると随分と髪がぼさぼさな男の子だった。しかし汚いという印象はうけないのであれはあれで彼のファッションなのだろうと楓は考えた。髪も少し薄く茶髪だがそれほど不良という属性に分類される生徒には見えないのはなぜだろう。
「えーと、何してるのそこで」
 もっともらしい質問。
「え? いや、ちょっと写真撮影を」
「写真?」
「そう、夕焼け」
 楓が二人から正面にあたる赤く染まってもう沈もうとしている夕焼けを指差すと、男子生徒は不機嫌そうに顔を歪め、そして夕焼けを眺めて何か思い耽るような表情になって、そしてまた楓を眠たそうな目で見ると、少年は言う。
「変わってるな、あんた」
 随分と表情豊かな人だなあと楓はそれを見て思うと、変わってるとはなんだろうとようやく思考をシフトする。
「変わってるかな?」
「うん、変わってる」
「でも空、赤いよ?」
 そこで男子生徒はまた不機嫌そうな顔になり紫煙を吐き出して夕焼けを見て、また眠たそうな顔で、
「うん、赤いな」
 短い感想を楓に言った。
「綺麗だよね?」
「うん、綺麗だな」
 あまり関わりたくないのかなとチラッと楓は考えたが、楓はデジタルカメラを手早く鞄に仕舞うと肩に担ぐ。一旦あの男子にさよならを言おうか迷って、
「あ、ちょっと」
 逆に男子生徒から声を掛けられた。
「ん? なに?」
「いや、あんた暇そうだからさ。ちょっとおいで」
 そして本当においでと手招きをするので楓は反応に困る。以外に冗談好きな人なのかもしれない。
「おいでって……。ま、いいよ。すぐ行くから待っててねっ」
 軽く言うと男子生徒の顔も見ずに走り出した。



そっきょ~
1:オリジナル性があること
2:ゲーム性があること
3:選択肢に据えることができる物語の起伏があること

まぁそゆことだろ。しかしこの文章かなりB級になったなぁ